inti-solのブログ

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2016.03.18
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テーマ: ニュース(96595)
国産「メタンハイドレート」の価値3.3兆円 技術開発で投じた予算の30倍超

試算は政府の実用化計画に基づき、予定通り30年代後半に商業化したとの想定で、市場での販売額を積み上げた。
日本周辺では愛知県沖の東部南海トラフで10カ所以上の濃集帯(ガス田)が確認され、1カ所当たり1日100万立米程度の生産が期待できる。1カ所の操業期間は15年程度と想定し、仮に10カ所で操業できれば総生産量は547億5千万立米に上るとの前提で試算した。
商業化時の日本市場の天然ガス価格は、日本エネルギー経済研究所の予想に基づき100万BTU(英国熱量単位)当たり13.45ドルと仮定。その結果、メタンハイドレートの販売により3兆3638億円の売上高が見込めると結論づけた。
政府は13~30年度の18年計画でメタンハイドレートの開発を進めている。~30年代後半に商業化プロジェクトの開始を目指す方針だ。今年度で終了する第2期計画までに計上した予算総額は926億円。想定通りに進めば投資を上回る成果が期待できるという。
ただ、今回の試算は産出施設の整備費や、操業に必要なコストなどを考慮していない。また、メタンハイドレート由来のガスは、通常の天然ガスより割高になる見通しで、想定通りに販売できるかも不透明だ。経産省幹部は「民間主導で利益が出せるよう、試算をもとに計画を詰めていきたい」と述べた。

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バラ色の予測が並んでいますが、この種のバラ色の予測は、たいていの場合外れるものと相場が決まっています。100万BTU当たり13.45ドルという前提が、まず怪しい。言うまでもなく現在原油価格は暴落しており、それにつられて天然ガスの価格も暴落しています。現在、日本の天然ガス価格は、100万BTUあたり10ドルも割っています。13.45ドルという前提が妥当なのかどうか、大いに疑問の余地があります。
そもそも、引用記事でも認めているように、メタンハイドレートから抽出するガスは、通常の天然ガスよりコストがかかることは明らかです。それは、メタンハイドレートが固体であることが原因です。石油や天然ガスは、液体または気体です。それに対して、メタンハイドレートは固体です。ここに難しさがある。海底下で固体のメタンハイドレートを物理的に掘り出して運び上げる(石炭のように)、なんてことは不可能なので、何らかの手段で液体か気体にするしかありません。その、何らかの手段というのは、加熱または減圧(メタンハイドレートは低温と高い圧力によって固体になっており、常温常圧では気化してしまう)のいずれか、ということになるようですが、いずれにしてもまだ実用化はされていません。採算が取れるのかどうかもはっきりしない。
ただ、ほぼ間違いなくいえるのは、シェールガスよりも、採掘コストはじっと高くなるであろう、ということです。そのシェールガスも、現在の天然ガス価格低迷によって、採算が取れなくなっています。ましてや、メタンハイドレートが採算が取れるようになるのか。

先に石油価格の暴落に釣られて天然ガス価格も暴落と書きましたが、シェールガスの増産によってガス供給量が増えたことも価格暴落の一因でしょう。ということは、もしメタンハイドレートが大量採掘されれば、天然ガスの価格は更に下がる、ということになります。

というわけで、どう考えてもこの試算のように上手く行く可能性は低いと考えざるを得ません。

加えて、メタンハイドレートの採掘には、様々な不安材料があります。
天然ガスはCO2の排出量が(敵単・石油に比べて相対的に)少なく、クリーンなエネルギーです。が、そこには一つ危険な落とし穴があります。天然ガス(メタンガス)は、完全燃焼させればCO2排出量が少ないものの、メタンガスそのものは、CO2よりはるかに強力な温室効果を持っているのです。つまり、漏れ出したり不完全燃焼させたりしなければ天然ガスはきわめてクリーンなエネルギーですが、採掘時などに大気中に漏れ出すと、逆にひどい温室効果ガスになりえるわけです。

今からおよそ2億5千万年前、古生代ペルム紀末期に、地球上の全生物の9割以上が絶滅するという、地球の歴史上最大規模の大量絶滅事件か起こりました。我々哺乳類の遠い祖先筋に当たる単弓類は絶滅寸前に追い込まれました。

メタンハイドレートの採掘時に、やり方を間違えるとメタンガスの大量噴出の引き金を引いてしまうかも知れません。ペルム紀末期ほどの規模ではないでしょうが、メタンガス大量噴出から温暖化を招く危険は否定できません。

これらの点を考え合わせると、メタンハイドレートは資源としての質が悪すぎるように思われます。





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最終更新日  2016.03.18 23:33:17
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Re:取らぬ狸の何とやら(03/18)  
maki5417  さん
試算の適否は問題があるかもしれませんが、原発推進よりはいい話かもしれません。
開発の可能性を追求しておくのは、のちの世代のためにはいいことかもしれません。
正直シェールオイルがこれだけ開発され、米国が世界最大の産油国になるとは思いませんでした。コストも下がっているようです。
ただ、環境破壊は心配ですね。 (2016.03.21 09:24:42)

Re[1]:取らぬ狸の何とやら(03/18)  
inti-sol  さん
maki5417さん
>試算の適否は問題があるかもしれませんが、原発推進よりはいい話かもしれません。

もちろん原発よりマシではありますが、ただ採算はかなり厳しいだろうと思いますよ。

>正直シェールオイルがこれだけ開発され、米国が世界最大の産油国になるとは思いませんでした。

そのシェールオイルも、原油安で採算が取れなくなっているようです。

>ただ、環境破壊は心配ですね。

メタンハイドレートは海底にむき出しであったり、多少の土砂に埋もれているだけである例が多いようなので、環境面は非常に慎重になる必要があります。 (2016.03.21 18:16:50)

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