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2013年03月12日
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単なる訳本ではなかった。星氏の分析が面白い。

 星新一氏の本は数冊を除いて全て読んでいると思いますが、この本はその例外中の一冊でした(因みに他は『生命のふしぎ』『黒い光』『天国からの道』)。
 ただの翻訳だろうと敬遠していたのですね。流石に竹取物語なら話を知らない訳はありませんし。

 しかし、読んでみると意外に面白いものでした。

 章が変わるごとに「ちょっと、一息」と星新一独自の感想が入るのです。この部分が想像以上に長い。長くて得した気分。
 主に創作者としての視点から、竹取物語の“工夫”と“仕掛け”について、星新一が解説していきます。

 五人の求婚者のそれぞれの特徴分析など面白いなぁ。そもそも各々に性格的な違いがあると、考えた事もなかった(子安貝の人だけ若干違うかなと思った程度)。やはり、きちんと読まなければいけませんね(「有名な物語の不幸」というものはありますね。誰でも粗筋を知っているので、読んだ気になっちゃう。読む気になれない)。

 また、性格に関する論評も星新一ならではのものが感じられます。例えば、騙す為、「玉の枝」の偽造を職人に命じて作らせ、延々とかぐや姫に冒険譚を語った求婚者。私の昔受けた印象では、悪知恵の働く汚い人物というものだったのですが、星新一は違います。

 p51「まったく、すごいやつさ。その着想、財力、努力、物語を作らせても天下一品。しかも、身分だっていい。普通だったら、理想的な人物と扱っていいと思う。」
 ちょっと、ちょっと(笑)。しかし道徳訓ではないのだから、こういう評価で良いのでしょう(“アメリカンドライ”だね、星新一氏は)。
 一方、子安貝を得るべく、律儀に燕の巣を探っているうちに落ちて死んでしまった人物。私の昔の印象では、まぁまともな人物というものでしたが、星新一の評は
 p88「この人物の特色は、他人の意見をつぎつぎに求め、よりよい意見があると、それを試みる。最後には、自分で確認しようとする。経営学のはじまりみたいだ。」
 p89「この部分の物語の面白さは、自主性のない人物と、その部下の男達の、ドタバタにあるのは、すぐにわかる。」
 とバッサリ。


 天人がかぐや姫に着せる、羽衣の機能のアイディアが凄いと星新一。着用させると思考を一変させてしまうのです。確かにこれは凄い着想。空を飛ぶとか、百人力になるといった物理的なものは思いつくでしょうが。少なくとも10世紀以前にこのアイディアは凄い(これも指摘されて気付いたなぁ)。

 なお、星氏はチベットにある竹取物語類似の民話との関係について、日本の竹取物語が伝わったものではないかと、述べています(自分の作品も良く翻訳されているので、そのうち自分の話も民話扱いになるのではないか、だって(笑)。


巻末に原文も収録されていました。





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最終更新日  2013年04月26日 06時09分20秒
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