2006年08月21日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
今日のまとめ

1.ブラジル経済は「失われた10年」の後遺症から立ち直った
2.根本的な財政の健全化や市場メカニズムへの移行がその背景にある
3.ブラジルの得意とする輸出品目の好調も同国経済の立ち直りに寄与
4.BRICsの中でブラジルだけが政策金利を低め誘導している

新しい成長局面に入ったブラジル経済

最近のブラジル経済は高インフレと低経済成長に苛まれた、所謂、「失われた10年」の後遺症からようやく立ち直り、中国などの、今、勢いに乗っている新興国の経済との協調を高めることにより新たな成長の局面に入ろうとしています。

ブラジルがそのように「ふっきれた」理由はカルドソ政権時代に財政の健全化を断固として実行した点、加えて歴史的に政府主導型になりがちだった経済政策を市場メカニズムに委ねる方式に漸次移行したことなどが挙げられます。鉄鉱石、大豆、鶏肉、紙パルプなど、今の中国やロシアに不足していて、なおかつ自国内での供給増加の見込みの薄い商品について、たまたまブラジルがその自然環境や歴史的経緯(例:大土地所有制度)から大規模な事業化を推し進めやすい立場にあったことも無視できません。

そういうブラジルの得意とする輸出品目の好調からブラジルの貿易収支は改善しています。下の図はBRICs各国の2000年の貿易収支の絶対額を黒字、赤字にかかわらず起点、つまりゼロとして、そこからの増減金額をプロットしたチャートです。ブラジルは緑の線で示してありますが着実に黒字基調であることがわかります。

貿易収支の推移

一般に輸出が好調であればその国の国際収支は改善しますし、借款の早期返済もしやすくなります。そのことは為替の安定につながり、さらにインフレの沈静化を招来します。このような競争力の好循環が今のブラジルにも当てはまることを理解することがブラジル経済を見る上でたいへん重要です。

インフレ



ブラジルの消費者物価指数

金利政策

2004年9月から始まった金融引き締め政策が功を奏し、ブラジルのインフレは上で見たように沈静化しました。そこでブラジル中央銀行は2005年5月移行それまでの利上げ基調を変更し(ピーク時の政策金利は19.75%)緩和政策に転じました。ブラジルのCOPOM(通貨政策委員会)は2005年9月から金利引下げを開始しました。引き下げ幅は25bpから50bp、さらに75bpという風にだんだん大胆になりましたが、直近では引き下げ幅は50bpとなっており、引き下げ局面が終盤を迎えたことを感じさせます。なお、現行の政策金利は14.75%、次回のCOPOMミーティングは8月30日です。いまのところ、大方の予想では25bpの利下げをみています。

ブラジル基準金利

なお、現在BRICs諸国の中で政策金利の方向が下向きなのはブラジルだけです。このようにブラジルだけが緩和政策を維持できている理由は:

1.豊富な水力発電、ペトロブラスの深海探索の好調、エタノールへの移行が進んでいること、などの要因で原油高の悪影響を受ける度合いが低いこと
2.貿易収支、経常収支の好調による海外債務の圧縮による国家の利払い負担の減少などから信用力が向上しており、それが調達金利の低減につながっていること
などによります。

ブラジルの海外債務





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年08月22日 17時18分50秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: