2008年08月04日
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カテゴリ: インド
今日のまとめ

1. 連立与党が不信任投票を切り抜けた
2. 国際原子力機関(IAEA)が米印原子力協力協定を承認
3. 原油価格が下落すればインドの株式市場には好材料

 ■連立与党が政権を維持

 インドの連立与党、統一進歩同盟(United Progress Alliance)は野党から不信任投票(No-confidence vote)の挑戦を受けていましたが、7月22日にこの投票に勝ち、政権を維持することが決まりました。統一進歩同盟の中核をなすのはインド国民会議(コングレス党)です。今回の勝利でマンモハン・シン首相と彼の出身政党であるインド国民会議は米国との間で2006年の1月の基本合意以来、交渉が続けてきた米印原子力協力協定の交渉をいよいよ締結に持ち込むために必要な時間を何とか稼ぐことが出来ました。


 ■国際原子力機関(IAEA)は原発協定を承認

 米印原子力協力協定は、その前に先ず国際原子力機関の承認を取り付けることが必要になります。これについては8月1日に国際原子力機関とインド政府との間でインドの民生用核施設を国際原子力機関の監視下に置く保障措置協定が調印され、国際原子力機関は米印原子力協力協定を承認することが確認されました。


 ■今後のハードル




 ■株式市場への影響

 原発協定がインドにとって重要な理由は、現在、インドでは電力が不足しており、インフラストラクチャーの整備無くしては安定的な経済成長が出来ないところまで来ているからです。またシン政権が不信任投票を乗り切ったという事は政局の混迷を避けることが出来たという点で投資家は安堵しました。


 ■インド経済の近況

 インドの卸売物価指数は12%に迫ろうとしています。これは当然、懸念すべき材料です。このためインド準備銀行は7月29日にレポ・レートを50bp引き上げ9%としました。またキャッシュ・リザーブ・レシオは25bp引き上げられ、9%となっています。さらにインド政府は今年度のGDP成長予想をこれまでの8~8.5%成長から8%成長へと引き下げました。インフレ予想の方はこれまでの5.5%から7%へと引き上げられています。


 ■原油価格はインドにとって重要

 インドの場合、原油を海外からの輸入に頼っていること、そして石油製品に対して補助金を政府が出していることから原油価格が上昇すると貿易収支と財政収支にダブルパンチを喰らいます。最近、原油価格が下落しはじめていることは、見方を変えればインドにとってダブルでプラスであると言う風にも取れます。原油価格の先行きに関しては未だ予断を許しませんが、原油価格の下落が続けばインド株式市場に思わぬサマー・ラリーが到来することも考えられます。


 ■インド株式市場のバリュエーションについて

 インド株式市場は株価収益率で約15.5倍、株価純資産倍率では約2.9倍で取引されています。これは過去の同市場のバリュエーションに照らすと、大体、中間くらいの水準で割高感はきれいに払拭されています。先月、世界の投資家はインドから30億ドル程度資金を引き揚げました。これは近年に無い大幅な処分売りです。過去の経験則ではこういう慌てた売り物が出た後はマーケットが急角度で戻す例が多かったです。





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最終更新日  2008年08月25日 19時59分44秒


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