2008年09月16日
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今日のまとめ

1. 投資家が望んでいたマクロ経済面での改善の多くは実現した
2. ボラティリティーは次第に収まってゆく
3. 内容の良い順ではインド、中国、ブラジル

 ■投資家の望んだシナリオ

 このところの世界の株式市場の調整で投資家のセンチメントはたいへん悲観的な方向へ傾いています。しかし冷静に考えてみると年初から夏頃まで世界の投資家が望んできた「こうなって欲しい」という経済の改善は、ここへきて次々に実現しています。

投資家が選んだシナリオ_01

 こうしたマクロ経済面での変化を受けて、BRICsのそれぞれの国の経済のファンダメンタルズにもかなり大きな変化が見られはじめました。


 ■インド

 今回の一連の環境変化で一番恩恵を蒙ったのはインドです。インドは石油を輸入に依存しており、また石油価格を抑えるため政府が補助金を出しています。このため原油安はインドにとってダブルで助かるわけです。インドの卸売り物価指数はようやく下落に転じ始めています。

インドの卸売り物価指数_02



インドの外貨準備_03

 また、インド株式市場における、石油、素材株の比率は新興国の中では低い部類に入ります。これらのことから、今後、新興国への投資が再開された場合、インドが真っ先に買われる可能性が強いです。


 ■中国

 中国も穀物価格や原油価格の下落の恩恵を受けます。既に消費者物価指数はかなりくっきりとした下落トレンドに入っています。

中国の消費者物価指数と生産者物価指数_04

 ただ、世界経済の減速は中国の工業部門にとってはマイナスだろうと考えられています。実際、工業セクターには勢いの衰えが顕著に見られます。

中国の工業生産_05

 一方、中国の内需は相変わらず好調です。中国は貯蓄率が高いこと、さらに中国政府は最近、社会福祉制度の充実に力を入れ始めており、病気になった際、思わぬ出費に苦しむリスクを国民が心配しなくて良くなりつつあります。これは長期では貯蓄のより多くの部分が消費に回されることを意味しますから、消費、内需関連のセクターにとっては好ましいと言えるでしょう。

中国の小売売上高_06


 ■ブラジル

 ブラジル中央銀行はこのところ断固としたインフレ退治の姿勢を取ってきました。「ちょっとやりすぎじゃないの?」と思うくらい、大胆に政策金利を引き上げてきています。
ブラジルSELICレート_07

これが功を奏してインフレの進行は鈍化が見られ始めました。つまり中央銀行の処方は荒削りながら効果的なものだったと評価できると思います。

ブラジルのIPCAインフレ率_08


 ■ロシア

 ロシアだけはつい最近まで実質金利をマイナスに放置するなど政策面で後手に回ったこと、さらに経済が原油や天然ガスや素材などの地下資源に大きく依存していることから明らかに不利な展開になっています。ロシアの市場からは外国の投資家が資金を引き揚げており、外貨準備は減少に転じています。

ロシアの外貨準備_09

ただ、まだまだ過去に積み上げた巨額の外貨準備がありますので、クッションは十分にあると思います。また内需は引き続き堅調です。

ロシアの小売売上指数_10




 今日見てきたようにここ数ヶ月で世界経済を巡る環境は穀物・原油高からインフレ沈静化へ、さらにドル安からドル高へと大きく変化しました。このことは世界の投資家の投資戦略にも大幅な変更の必要が生じた事を意味します。それはボラティリティーの増加を招き、世界の株式市場のパフォーマンスに悪影響を及ぼしました。しかしポートフォリオの組み換えが終わり、ボラティリティーが収まれば、次にはいずれくる世界的な金利低下に呼応する形で株式のPEマルチプルはこれまでの縮小トレンドを脱し、逆に拡大しはじめると考えられるのです。これは株式にとっては好ましい投資環境と言えるでしょう。BRICs各国間での魅力度という点ではコモディティー価格の下落に足を引っ張られない国ほど安心な気がします。順位としてはインド、中国、ブラジルという順番になります。





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最終更新日  2008年09月16日 17時14分20秒


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