2008年12月08日
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 今日のまとめ

1. 先週の人民元安は周到に計画された出来事だ
2. 人民元安に導かなければならない事情は山積みになっている
3. 人民元安は中国政府が景気テコ入れに腕まくりした事を意味する
4. 海外投資家の中国株戦略は根本的に練り直しを迫られる

■人民元安は偶然ではない

 先週の中国に関するニュースでとりわけ話題になったのは人民元が一瞬、弱含んだ事です。同時に中国の政府高官が「景気のテコ入れのためには財政政策、金利政策、為替政策のすべての取りうる処置を施す」とコメントしたことも極めて異例でした。なぜならこれまで財政政策や金利政策には言及がありましたが、景気テコ入れのツールとして 為替に言及したのは今回が初めて だったからです。中国は何か新しい事を始める際、先ず少しだけテストしてみて、大丈夫であればその政策を拡大するというアプローチを好みます。その意味では先週、為替に言及があり、実際に人民元のレートが元安に束の間でも振れたということはたんなる偶然などではなく、周到に計画された出来事なのです。

■人民元安に導く必要性

雇用を多く創出する軽工業の痛みが酷い ことに注目してください。

中国のセクター別輸出成長率


 中国の11月の購買担当者指数は38.8と10月の44.6からさらに下がりました。中国では景気が悪くなって以来、労働争議が頻発しています。中国の求人数の統計でもこうした異変を確認することができます。

中国の求人数


 中国にとっていまのっぴきならない問題は職にあぶれている田舎から出てきた農民にどうやって雇用を保証するか?という問題なのです。

■これまでの施策には反応薄

 中国政府は4兆元にのぼる大型の景気浮揚策を発表しました。さらに人民銀行は11月26日に政策金利を108bpカットしました。これにより貸付金利は6.66%→5.58%へ、預金金利は3.6%→2.52%になります。今回の貸付金利の下げ幅は1997年以来最大です。また今回のカットは9月 15日、10月29日に次ぐ利下げでその矢継ぎ早の利下げから考えて中国政府はかなり危機感を持っていることが察せられます。しかし 実態経済面でも株式市場的にもこれまでの中国政府の発表は余り効果を生みませんでした 。

■人民元安誘導は中国政府が「本気」を出した証拠

 中国のような輸出型経済の国にとっては不景気を克服するのに 最も手軽な政策は自国の通貨を安く誘導すること です。しかし中国にとってそれは選択肢に入っていませんでした。なぜなら通貨の切り下げによる輸出のテコ入れは国際政治的に極めて微妙だからです。中国は国際世論に配慮して、これまではこの「最後の手段」には訴えずに利下げや大型の景気刺激策の発表などで景気を浮揚しようとしてきました。人民元安誘導は なりふり構わぬ措置 であり、国際的には非難の対象にされることは間違いありません。しかし国内的には「内需振興による景気浮揚」などという時間のかかる、なおかつどれだけ成果が上がるかわからない「きれいごと」の政策よりももっと直接的なインパクトがあります。別の言い方をすれば国民の目からみれば「やっと政府は腕まくりして景気テコ入れに乗り出したし、我々の苦しい立場を代弁してくれる気になった」と感じるに違いないのです。つまり 株式市場的には人民元安は強気材料 なのです。

■貿易摩擦を生むようなセクターが買われる

 これまでの海外の投資家の中国株への投資スタンスは「世界は中国が輸出に頼るのではなく内需振興することで世界を引っ張って行って欲しい」という建前論に基づいた投資戦略になっていました。ですから 輸出型企業の株をアンダー・ウエイトし、消費などの内需株をオーバー・ウエイトするというのが強いコンセンサスを形成していた わけです。「人民元高メリット銘柄」を偏重する傾向も同じ発想から生まれたものです。しかし 中国政府の心変わりはこうしたセクター・ストラテジーを根本から考え直す必要を生じさせる のです。例えば鉄鋼などは輸出税の還付などの政府の政策によって輸入超過や輸出超過になりやすい、極めて政策に敏感なセクターです。そのような「政治の犠牲になってきた」セクターほど見直される可能性が強いのではないでしょうか?





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最終更新日  2008年12月08日 20時17分43秒


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