2009年08月06日
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今日のまとめ

1.世界金融危機が中国政府にチャンスをもたらした
2.これまで欧米の縄張りだった中東に中国が正面攻撃をかけた
3.世界最大級の開発プロジェクトへの割り込みに次々に成功


金融危機が中国にチャンスをもたらした



中国の海外での石油開発はこれまでアフリカ大陸やカザフスタンなど、どちらかと言えば欧米のオイル・メジャーと呼ばれる大手石油会社と正面からかち合わない地域でおこなわれてきました。ところが世界金融危機以降、中国のグローバルな石油戦略が大きく転換しています。ひとことで言えば、伝統的に欧米企業の本拠地であった中東に正面攻撃をかけているのです。そして中国は僅か数か月のうちに大きな成果を上げています。これらの成功に共通する点はいずれの場合も資金調達力をフルに生かしているという点です。


イラク ルマイラ油田



ルマイラ油田はイラク南部の低地に位置する同国第2位の油田です。現在は日産96万バレルです。これはイラク全体の生産量のほぼ半分に匹敵する大型油田です。可採埋蔵量は150億バレルと言われています。

イラク戦争以来、外国の石油会社にイラクの油田の開発権が競り落とされるのは今回が最初です。落札者はちゃんと先行投資や技術供与を行ってルマイラ油田の生産量を大幅に増やすことが条件となっています。具体的には向こう6年間で日産285万バレルに持ってゆく計画です。これを落札したのは BP-CNPC(中国石油天然ガス集団)連合でした。

BPにはいろいろな面で有利さがありました。なぜなら同油田はもともと1953年にBPが発見した油田だからです。また現在、BPのロシア子会社、 TNK-BPが操業しているシベリアのサマトロール油田とルマイラ油田の構造が似ている点も指摘されています。サマトロール油田で蓄えたノウハウが生かせるのです。具体的にはウォーター・インジェクション(水攻法)などの手法が使われると予想されます。契約比率はBP:イラク政府:CNPC=56.25%:25%:18.75%です。

なお、同契約は地下資源の所有契約ではなく、油田運営/生産役務に対して一定のフィーを得る、所謂、サービス契約です。具体的には現在の生産量を超えて生産出来た分に関して、バレル当たり2ドルの役務フィーを受けます。入札当初はBP-CNPC連合はバレル当たり$3.99の対価を要求しましたが、これが2ドルまで値切られたわけです。このため実際の契約価値は30億ドルしかないとも噂されています。


イラン・アザデガン油田






イラン・サウスパース天然ガス田



イランのペルシャ湾沖合にある世界最大級の天然ガス田、サウスパースの「フェイズ・イレブン(第11鉱区)」の開発権も最近、所有関係が変わりました。これまでフランスの石油会社、トタールが持っていた30%の権益が最近、CNPCに肩代わりされたのです。「フェイズ・イレブン」の開発総額は47億ドルだと言われています。当初このプロジェクトの運営責任者として開発を請け負ったトタールは日産300キロBOE(=barrels of oil equivalent)の生産量を計画していたとされています。

こうしたイランでの一連の契約は折からの世界不況で石油の市況が悪化し、イラン政府の財政がひっ迫したタイミングで行われました。西側企業が資金用立て面、市況悪化による採算懸念などでひるんだ隙を狙って中国が躍り出たわけです。

これらの一連の権益獲得で、CNPCの海外投資計画としては、これまでポッカリ穴が開いていた中東がいきなり予算の最大の部分を占めることになりました。


ロシア・ブラジルとの友好関係の樹立



さらに中国は世界金融危機で債務の借り換えに困ったロシアのロスネフチに対しても巨額の融資を約束する見返りとしてロシアの石油の安定的供給を受ける約束を取り付けています。またリオデジャネイロ沖で次々に超深海油田を発見したものの、その開発のための先行投資費用のやりくりに困っていたブラジルのペトロブラスに対しても資金を用立てると約束しています。

これらの一連のディールにより中国の海外石油戦略のポートフォリオは短時間のうちにとてもバランスの取れたものに変貌しつつあるのです。





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最終更新日  2009年08月06日 17時56分15秒


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