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2009年11月10日
第191回 予想通り浅かったブラジル株式市場の調整
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今日のまとめ
1.ブラジル市場は予想通り浅い調整の後、リズムを取り戻している
2.個別企業の決算発表はおしなべて好調である
■早くも出直るブラジル株式市場
海外からの投機資金を抑制するための「投資税」の発表以来、小さな調整局面を迎えていたブラジル株式市場が早くも反騰しはじめています。ボべスパ指数は10月中旬の67500の高値からちょうど10%調整した後、再び騰勢を強めています。私の考えは「今回の調整は浅いので押し目は強気で臨みたい」というものでしたが、これまでのところはその作戦が当たっているように思われます。
■企業レベルで起こっていること
私がブラジル株式市場に強気であるマクロ(巨視的)レベルでの説明は
第189回のレポート
に書きました。そこで今日は個々の企業のレベルで起こっていることを少し紹介したいと思います。
■バーレ(VALE)
バーレはブラジル最大の鉄鉱石の生産者です。同社は10月末に決算を発表しています。EPSは31¢と、コンセンサスの28.7¢を上回りました。とりわけ鉄鉱石の出荷量の多さがアナリストを驚かせました。第2四半期に比べると鉄鉱石ならびにペレットの出荷は+35.5%でした。EBITDA(利払税金償却前利益)は第2四半期に比べて75%も伸びています。そのうち価格上昇の寄与度は約7割、出荷量増加の寄与度は約3割でした。
バーレはリーマン事件以降、一旦休止を決めた鉄鉱石のプラントを再開する決定を下しています。同社がこのように強気姿勢を表明した背景にはグローバルな景気後退が思いのほか早く終息したという確信をバーレ経営者が持つに至ったからだという説明がされました。実際、グローバルな鉱工業生産は急速に反発していますしアルミニューム、銅、ニッケルの価格も軒並み上昇しています。バーレの考えでは今後、景気復活のペースそのものは鈍化するだろうけど、もう一度景気がつんのめる(=ダブル・ディップ)リスクは減少しているとのことです。
■ナショナル・スチール(SID)
ナショナル・スチールはブラジルの老舗の製鉄メーカーです。CSNという名称で呼ばれることもあります。同社の第3四半期決算発表は純利益6.59 億ドルと、こちらもバーレ同様市場予想を上回る好決算でした。売上高は前期比で18.4%、ボリュームは前期比で39.3%も増えています。営業マージンは29%で、これは極めて高い利益率であると言えるでしょう。なお純利益は前年同期の28倍にもなっていますが、これは同社の鉄鉱石部門、ナミサの一部を日本の鉄鋼メーカーなどからなるコンソーシアムに売却した特別利益を含んでいるからです。またブラジル・レアル高で利払い負担が軽減されたことも増益の原因です。ナショナル・スチールは今年中にも鉄鉱石の子会社、カーサ・デ・ペドラをIPOする予定であり、これは同じ鉄鉱石のバーレが既に株式市場で人気銘柄となっていることから考えて注目度の高いディールになると予想されます。
■ブラデスコ(BBD)
景気が戻ってきているので焦付きの見通しもここへきてある程度安定化していると言われています。従って引当金を積み増す必要は近い将来下がって来ると考えられます。
なお、上のグラフに見られるようにブラデスコはそもそもライバルの
サンタンデール・ブラジル(ティッカー:BSBR)やイタウウニバンコ(ITUB)
などより遅延ローン比率そのものが低い点に注目して下さい。貸付の資産の劣化が止まれば再び融資を積極的に拡大してゆけると思われます。ブラデスコはライバルのイタウ銀行とウニバンコ銀行が合併したことで規模的にはこのイタウウニバンコの後塵を拝する立場になりました。しかし経営の質という点では現在でもブラジルでNo.1であることには変わりありません。
銀行セクターを巡るリスクとしては未だADRがアメリカに上場されていないブラジル最大の銀行、
バンコ・ド・ブラジル
が近くアメリカでのADRのIPOを果たすべく水面下で動き始めているというニュースが出ている点です。現時点ではこのIPOが一体、どのくらいの規模になるのかはぜんぜん見当がつきませんが、先のサンタンデール・ブラジルのIPOが70億ドルという巨大なスケールだったことを考えると、かなりまとまった金額になると予想されます。
まとめるとブラジルの株式市場は大型の資金調達や「投資税」の導入などの悪材料で調整を余儀なくされました。しかしこれらのネガティブ要因にもかかわらず相場が早くも出直っているのは、そもそも歴史的に見て現在のブラジル株式市場のPERが余り高くない(向こう12カ月の予想EPSに基づいて12倍 →これは過去10年の同国市場の平均PERと全く同じ水準)ことに加えて、上に述べたように企業収益が極めて好調なことが原因だと考えられます。
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最終更新日 2009年11月10日 19時08分15秒
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