今日のまとめ
ブラジル中銀がサプライズの利下げ
8月31日にブラジル中銀が金融政策委員会(COPOM)を開催し、政策金利(SELICレート)をこれまでの12.50%から12.0%へ引き下げました。
今回の決定については「まだインフレ圧力が完全に払しょくされていないにもかかわらず利下げに転じるとブラジル中銀のクレディビリティ(信用)を損ねかねない」と辛口の評価をする市場関係者も多いです。
因みに現在のブラジルのインフレ率は7.1%で、これは政府のターゲットの上限である6.5%を超えてしまっています。
またインフレの方向性が確実に下向きになったということも未だ確認出来ていません。
その意味では上記のような批判が出てきて当然かも知れません。
しかし別の見方をすればこれまでブラジルの実質金利は5%以上であり、その面では新興国の中でも最もきつい金利政策をとってきたと言えます。
またインフレ退治に乗り出すタイミングもどの新興国よりも早く、しかもハッキリとインフレ・タカ派の姿勢を打ち出してきました。
従って、今回、ブラジル中銀が利下げに転じたからといって「カードが甘い」と批判するのは的外れだと思います。
ブラジルは歴史的に他の新興国よりも一足先に新しい金利政策を打ち出してきました。つまりブラジル中銀は新興国の金利政策のオピニオン・リーダー的な存在なのです。
今回の利下げも他の国々の中からいずれ追随する国が出ると思われます。
ブラジル株式市場の近況
ブラジル経済のファンダメンタルズは総じて良いです。市場関係者のコンセンサスでは今年のブラジルのGDP成長率は4%を少し下回る程度だと見られています。
強いて言えば経済のファンダメンタルズの良さに比べ実業界のコンフィデンス(信頼感)が低い点が気になります。
実業界のマインドが冷えている背景にはジウマ・ロウセフ政権になって以来、ブラジルの産業政策が1960~70年代の軍事政権下の産業政策を彷彿とさせる、国内優先の輸入代替工業化政策の色彩を帯びてきたことによります。
このような険悪なムードの中で政府から経営への介入が起こりやすいペトロブラス(PBR)やバーレ(VALE)のような旧国営企業の株ほど投資家から敬遠され、アンダー・パフォームするという現象が見られました。
現時点でもそうした懸念は払しょくされていません。
利下げの恩恵を蒙るのは?
このため今回のブラジル中銀の利下げの材料でブラジル株を買うなら、政府からの影響力が比較的及ばない、消費や内需関連が良いと考える国際機関投資家が多いです。
具体的には次のような企業が消費・内需関連になります。
| 銘柄(ティッカー) | セクター | 特徴 |
|---|---|---|
|
アムベブ(ABV)
|
飲料 | ブラジル最大のビール会社 |
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バンコ・ブラデスコ(BBD)
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金融 | ブラジル第3位の銀行 |
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ガフィーザ(GFA)
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住宅 | 大手宅建業者 |
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ゴール(GOL)
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航空 | 大手ディスカウント航空会社 |
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イタウ・ウニバンコ(ITUB)
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金融 | ブラジル第2位の銀行 |
|
ナショナル・スチール(SID)
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鉄鋼 | ブラジルの大手製鉄会社 |
特に銀行セクターはこのところの金融の引き締めでローンの焦げ付きが増えるのではないかと懸念されていましたから今回の利下げは朗報です。
また住宅関連はローンが組みやすくなることを好感される可能性があります。
航空会社は一般に負債が多いので金利敏感だと考えられています。但し上に挙げたゴールは世界の航空会社の中では比較的負債比率は小さく、しかも負債の一部は外貨建てなので今回の利下げが同社に直接与える影響は小さいと思われます。
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