今日のまとめ
新興国も先進国も似たようなパフォーマンスになっている
投資家の層が厚くなった事、投資商品が増えたことなどが影響
国の信用力の面でも格差が縮まった
先進国の景気循環要因により影響を受けるようになる
世界の株式市場の似通ったパフォーマンス
下のグラフは世界の主な株価指数の年初来のパフォーマンスです。

ここには新興国、先進国の両方が含まれていますが、大体どの国も同じようなパフォーマンスであることがわかります。
普通、世界の株式市場のパフォーマンスにはもっとバラツキが出るのが自然なのですが、このところの相場はどのマーケットも大体、同じような値動きでこれといった特徴がありません。
これは単なる偶然かも知れませんし、中・長期的な趨勢としてその傾向が強まっているのかも知れません。
BRICsに代表される新興国を投資対象として組み入れる投資家は着実に増えているし、それらの市場の流動性は昔とは比べ物にならないほど改善しています。
さらに個別の国のETF(上場型投資信託)や地域型ETF等、株価指数を簡単に取引できる金融商品も沢山登場しました。
それらの要因が世界のマーケットが似たり寄ったりの価格形成になる事を助長したのかも知れません。
理由はどうであれ、折角、新興国に投資することでユニークな投資成果を得ることを狙った投資家としてはギリシャ問題などの、本来新興国とは余り関係ない相場の材料に振り回される相場展開に少なからずガッカリしたのではないかと思います。
国の信用力という面でも格差が縮まった
ギリシャ危機に代表される欧州財政問題はヨーロッパの先進国の国としての信用力がかなり低下してきた事を改めて投資家に思い知らせました。
昔はソブリン(=国が発行体となる投資対象の意味)・リスクと言えばもっぱら新興国を巡る問題を指しました。
ところが過去10年ほどの間に新興国は見違えるほど国としての信用力をUPし、今では先進国と立場が逆転したかのような観すらあります。
先日、ブラジルが10億ドルにのぼる30年債を発行しました。当初5億ドルだけ調達する予定だったのですが前人気がとても高く、急遽発行サイズを倍増したのです。
落札利回りは4.694%でした。
イタリアの30年債の利回りが7%につっかけている事を考えれば私のような古くから新興国を見ている人間にしてみれば「世の中、ずいぶん変わったな」という感慨を禁じ得ません。
つまり新興国と先進国の株価形成が似たり寄ったりになってしまうもう一つの理由は信用力の面で新興国が格段に進歩を遂げたことも関係しているのです。
景気循環的なリスクは増大
製造業がアメリカなどの先進国から新興国へ移転することで新興国と先進国との間での貿易額はどんどん増えています。

このことは新興国の経済活動が昔より緊密に先進国の経済活動に組み込まれることを意味します。
これまでは新興国が先進国の生産者からシェアを奪う事で高い成長を実現できていたわけですが、アメリカの産業の空洞化がここまで完成してくると、もはやシェアを奪うことでの成長は望めなくなります。
それは今後先進国の景気循環的リスクに新興国がより大きく晒される事を暗示しています。
「先進国が不景気でも新興国は独自に成長できる」と言うのがいわゆるデカップリングの議論ですがここ2年ほどの相場を振り返ってみるとデカップリングの発想から新興国への投資判断を下したら大失敗の結果に終わっていたと思います。
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