今日のまとめ
IMFの年次協議
国際通貨基金(IMF)がインドネシアに対する年次協議(Article IV consultation)を行いました。IMFは過去10年に渡るインドネシアの経済の体質改善の努力を評価しつつも、最近の世界的な景気後退に鑑み、インドネシアも経済政策の微調整が必要だろうという報告をしています。
GDP成長率
なお一人当たりGDPは2011年の実績で3,509米ドルです。
インドネシアの内需は信用創造の増加に助けられ、引き続き堅調で、インフレ率は年末までに5%程度になると見られています。IMFは、過剰流動性を金融システムの中から取り除くことで、金融政策に対する投資家の信頼性が向上するだろうと論じています。
政府の財政政策
インドネシアの財政赤字は今年GDPの1.8%程度になるものと見られています。これはアジア新興国の平均(3%程度)に比べて健全です。IMFはさらに財政の健全化を押し進めるために、燃料に対する補助金を減らした方が良いだろうと提言しています。
インドネシアは1990年代に起こったアジア通貨危機で大きな痛手を受けた国のひとつですが、国家負債のGDPに対する比率が2001年の76%から現在は25%に下がっていることからもわかる通り、見違えるような体質改善が実現されています。
また外貨準備もリーマンショック後の安値から、ほぼ2倍に増えています。
現在のインドネシアの外貨準備高は輸入の6.7カ月分であり、また短期負債(未償還ベース)の238%に相当します。
経常収支
インドネシアの経常収支は少し赤字に傾くと予想されています。
この理由は世界的な景気低迷で輸出が伸び悩む一方で、輸入は国内における積極的な投資拡大を背景に20%近い成長を見ているからです。
インドネシアの主な輸出品は、石油・天然ガス、石炭などのエネルギー関連の貿易商品になります。
投資家のセンチメント
資本市場の参加者はこのところの中国の景気の冷え込みを見て、新興国への投資に躊躇気味です。この環境下でインドネシアへの投資も神経質になっています。つまりインドネシアの株式市場や通貨の動きは、同国のファンダメンタルズもさることながら、アジア新興国全体への投資家のセンチメントによって左右されている部分が大きいと思われます。
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