2007年01月18日
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カテゴリ: マーケット状況
 そこそこの経済成長が5年間続いています。企業収益も5年連続で二桁増益で、4年連続の最高益更新が確実視されています。物価上昇率は低く、世界中で一番インフレ懸念のない国といっても過言ではないと思われます。ゼロ金利政策は終わったとはいえ、金融は緩和気味に推移していますし、為替も実質的には円安方向で安定しています。株式を取り巻く環境は申し分のない組み合わせになっていると言っても良いのではないかと思われます。

 昨年4月高値まで、日経平均株価は3年で2.3倍の値上がりをした後、6月安値まで20%弱の調整を入れました。足元の株価はこの6月安値を起点とする上昇第2ラウンドの途上にあると考えられます(第1ラウンドは平成15年4月から18年4月)。市場関係者の目はあらゆる角度から上場企業の“企業価値”に注がれています。

■長期上昇相場の共通点
 株価は企業収益の関数で、企業収益は景気次第ということから、結果として株価は景気の関数ということになります。戦後東証が再開されてから、下記のように我々は7~8年で、日経平均株価が5~6倍になった長期上昇相場を3回経験しています。

 これら3回の共通点は、(1)好況局面が長期間持続したこと、(2)その好況が設備投資主導型であったこと、の2点に集約できます。

 足元の好況は、期間においては戦後最長であった「いざなぎ景気」を更新したと思われます。その好況を牽引し、元気なのは企業ということになります。名目GDPに占める民間設備投資の割合は2002年の13.3%を底に、2006年(1~9月)では15.6%まで拡大してきています。好調な企業収益と潤沢なフリーキャッシュフローから判断して、この投資主導型の好況は持続するものと予想されます。投資拡大→持続的な景気回復→長期的な株価上昇という図式は今回も生きていると思われます。下記上昇相場の相場展開面での共通点は数ヶ月・20%前後の調整を間に入れて、上昇が前・後半に分かれていることです。

 今回も2003年4月安値から2006年4月高値までが上昇第1ラウンド(36ヶ月、2.31倍)であり、2ヶ月で19%下落した後の2006年6月安値が上昇第2ラウンドの起点と考える所以です。

【1】 1953~61年の相場・・・上昇率6.20倍・期間8年3ヶ月
(神武景気・岩戸景気)

(いざなぎ景気・列島改造景気)
【3】 1982~89年の相場・・・上昇率5.68倍・期間7年3ヶ月
(ハイテク景気・バブル景気)

■照準は「企業価値」
 デフレ下にあったわが国の株式市場においては長い間、保有資産は目減りするのが前提であり、資産に対する評価は過少になるのが普通でした。名目成長率がプラスになり、物価が水面上に浮上した今でも、資産の評価が正当になされているとは考えられません。結果としてPBR(株価純資産倍率)は先進国中最低であり、PBR1倍割れの銘柄が全体の2割を超えているというのも他では見られない現象です。この資産評価の見直しだけでも株価の上昇余地は大きいと思われます。

 豊富なキャッシュフローの活用の仕方によって、当該企業の株式市場での評価は決まるものと思われます。設備投資によって成長力を高める方向に動く成長企業、M&Aに活路を見出す企業、自社株買い・増配と株主還元姿勢を明確にする企業等、多くの企業が株価を刺激するような行動を起こすものと思われます。

 投資環境に目立った変化がない限りは、今年の株価は下値不安は大きくなく、2007年度利益が市場コンセンサスどおり、10%前後の増益ということであれば、2万円挑戦のシナリオが描けるものと思われます。

(マーケットアナリスト:貴浩志)





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最終更新日  2007年01月18日 11時09分25秒
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