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読書は音読がいいのか黙読か
『-声に出して本を読めと「音読」を強く勧めていますね。そのわけは?
「音読と黙読では(理解する中身の)体へのしみ込み方が違う。たとえると黙読はバスでの遠足。バスは移動に楽で早いが、景色は目の前を飛んでいって、記憶に残らない。音読は徒歩遠足と同じ。一歩一歩踏みしめて行くので周りの風景はもちろん、空気のにおいまで感じ取り、後になってその時の様子が具体的によみがえる。それは読書の効用と同じだ」
-戦前の教育を受けた世代には音読主義に批判的な見方もある。
「これまで音読と言えば、ひたすら大きな声で読ませ、理解については“読書百遍意自(おの)ずから通ず”の寺子屋式だった。昔はそれで良かったかもしれないが、今の子どもには通じない。私は大学の講義以外に小学生対象の塾もやっていて、子どもたちと古文を読むことがある。そのときは、先に現代語訳で読んで意味を教え、頭の中にイメージをつくらせた上で、私が原文を区切りつつ読む。この際、読む調子を変えたり、抑揚を使って意味も伝えるように音読し、次に子どもたちに繰り返させる」
「これを私は完全復唱方式と呼んでいるが、能楽の謡のけいこと同じ。謡は先生と弟子が一対一になり、最初、先生が謡う短い文句を弟子が同じ節回しで謡う。そして復唱を少しずつ長くしていく。そうして弟子は上達していくわけで、私の完全復唱方式で子どもたちと夏目漱石の“坊ちゃん”ならたった一日5、6時間で読破できる」
-音読が身体に及ぼす効果についても力説されています。
「黙読は個人的な作業になってしまうが、みんなと音読すれば“共同の空間”を味わえる。声を発する身体運動によって体のリズムを他の人と共有できて、チームスポーツや、合唱を楽しむ気持ちと同じだと言える。本来、子どもは体を動かすのが好きだ。ところが、日常生活や学校で充分に体を動かせないでいる。そんな子どもの身体性の復活のためにも音読はいい」
「声を出す読書は脳の働きを活性化させ、記憶の定着力も強くなることが、川島隆太東北大教授らの研究で明らかになりつつある」
-音読は大人にも効果がある?
「大人でも音読すると脳が活性化し、呼吸が深くなる。高齢の方には、老化防止になるだけでなく、一種の健康法にもなる。一冊声を出し読破すると役者気分になり、良い気持ちになって本の世界に入りやすかった。著者の体に寄り添っていく感じがする。黙読は途中で気が散ることがある」
「作家の古井由吉さんは漱石の文章を音読してから書き始めると話しておられた。明治から戦前の昭和の作家の多くも気に入った文章を音読して自分の文章をチェックしていた」
「漢文調や美文調で書かれ、昔の人が名文とした文章を音読するのももちろんいいが、自分が実際に音読して、いいなあ、と思った文章が現代の名文であり、一回読んだだけで忘れない文章が名文だ。名文かどうかの判断も音読を重ねることで養われてくる」
「私も教育学の研究のため大量に本をこなしているので、黙読が情報処理に向いた読書法であることは認めるが、これは体にしみ込ませておきたいと思うときは何度も音読する。音読は時間がかかって能率的でないようでいて、急がば回れで、結局、音読して体に吸収し、記憶にとどめておいた方が役に立つ」
さいとう・たかし
1960年、静岡県生まれ。東京大卒。著書に「身体感覚を取り戻す」「声に出して読みたい日本語」「読書力」など多数。』
音読なんだから目と耳で。ということになるだろうか。中学時代お世話になった英語の先生が、兎に角音読と暗誦に力を入れていらっしゃった。覚えこんだら中々抜けない。ふっと文節などを思い出したりする。
覚え方はそれぞれ色んなパターンがあっただろうが、やはり声に出して読むのが一番だった気がする。
人が居る場所では流石に音読などできないけど、一人のときなら声に出して読んでみるのも良いかも。
さて、皆さんはどちら派?
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