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もらった名刺がきらきら光っていた。どうやらインクにラメが混ざっているらしい。最近は色々な印刷がわりと安価で出来るようになって、名刺もなかなか個性的だ。 その名刺も、頭の先から足の先のさらにその延長線上までブランド固めといったステイタスシンボルにお金をかけたがる彼女らしい名刺だった。 そういう私も、少し前まで名刺に凝っていた。会うたびに 「名刺変えたんです」 と、言って相手に渡す。まぁ、一応デザイナーとしては、最初に見せる作品になるわけなので、合成写真を入れてみたり、エフェクトをかけまくったり、と、そりゃまぁ気合も入ってたわけだ。しょっちゅう変えるわけなのでプリントアウトの名刺だったが、それでも、その名刺のおかげで仕事がとれたりもした。 その中でも、一番ウケたのは「三角くじ名刺」だった。 「はじめまして」 の挨拶の後に、いきなり名刺入れ(ったって箱状)から、バラバラと名刺を手の上にぶちまけ 「好きなのをおとりください」 とやったのだ。 三角くじの表には「Please Open!」中を開けると、そこには「☆あたり☆」と共に「おめでとうございます。じゅんるなと一緒に仕事できます」と書いてある。で、オマケ程度に小さく住所等の情報。 これには全員が驚いた。 大笑いする人も、あきれてひきつる人もいた。なにしろインパクトは絶大だった。 ただ、この名刺には大きな問題がひとつあった。 もらった人の大多数が、そのまま打ち合わせのテーブルに忘れていくのだ。どうやら、三角に折り目のついた紙は、ほんの数十分の間にゴミとしか認識されなくなってしまうのだ。捨てられてしまいそうになったことも何度もある。 名刺用の用紙を一枚一枚、真四角に切り、丁寧に角をあわせて三角に折る。なるべく痕がのこらないように、細心の注意を払って端のほうをホッチキスで留める。こんなにすごい手間をかけているのに、数十分で「もっとも捨てたい名刺」になってしまうのだ。これはやりきれない。 それで、私はその名刺を使うのをやめた。 しかし、今考えてみると 「最初のインパクトだけ強くて、すぐに捨てたくなる」 その名刺.....やっぱりそれが、私にぴったりの名刺だったのかもしれない。 などと、今の私の、さしてなんのへんてつもない名刺を持つ彼女のネイルサロンで飾りあげた爪をみながら、ふと思った。 やはり、三角くじ名刺をもう一度作ろう。たくさんの情熱と手間ひまをかけて。 とびきり笑えて、気持ちよく捨てられて、 でも、今度は、捨ててしまった後、たまに思い出して捨てたことを後悔するようなヤツを。
2006.04.24
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からっぽなだけではあまりにもつまらないから いつもひとかけらだけのスイーツをころがして あまくとろけるひとかけらだけ いとおしんで生きていくのよ ねえ とろけさせてくれないかしら おなかがすいているのはべつにどうでもいいし なにをつめこんでもみたされはしないものだし せつなくとぎれる吐息をすこし すいこんで生きていくのよ ねえ あきらめるってなんだったかしら 開きかけた重たい扉の隙間から 眩い光が差し込んで暖かだったのは 目を開いていたころの記憶 青い空の錯覚 暖かだった面影の温度 見落としていた欲望の残り火 ひとかけらのスイーツ 一息で吹き消すろうそく 甘くとろけたせつない吐息と ひとときの勘違い ねえ スイーツのかけらをちょうだい
2006.04.20
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よくきたねまってたんだようん、まってたんだごめんね、いつもこんなときにばかり頼りにして久しぶりだねすごく遅かったからもう来ないかと思ってたよあまりに久しぶりすぎて道に迷っでもいたのかい?よくきてくれたよこれで少しラクになれるさあ入って入って私の奥底深くまで。
2006.04.12
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よそよそしい視界を横断する青い川赤い橋を渡そう 向こうに渡ろう橋の上からビッグダイブ大きな声で今を叫ぼうどろりと淀む愛の流れに身を沈めよう青い川の赤い支流に明日を見ようさあ 愛し合おう鋭利で無機質な愛を交わそう熱をもたない発汗の交歓そらぞらしい真実に横行する善意に赤いリボンをかけて ほら、さしだそう箱の中にはサプライズ開いた瞳孔にすむ小さな虫ジジジと鳴く狂気の渦に身を浮かせてねえ 今夜の月はとろけて甘い姿をもたない相姦の一環
2006.04.04
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