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2016年10月20日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
父の話の続きです。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20161016.html

その後、私と母はケアマネージャーや現場の介護士さん、栄養士さんなどから立て続けにヒアリングを受けました。前の老健からは紙一枚で父に対する注意点などは引き継がれているようでしたが、詳細はまた家族から聞き出す必要があるとのこと。

これまで老健に居た時は、母は週に2、3度父の元に通っていて、私も仕事がありますから週1ペースで通っていました。正直、施設の中では一番家族が寄り添っていた方だという自負があります。そうは言うものの、ここ10年父と長い時間を過ごしていたのは老健の介護士さんだったわけで、なかなか我々だけでは状態が掴みきれない部分もありました。

そして話の最後にケアマネージャーから一枚の紙を渡されました。それは「状態が今よりも悪化した場合の対応について」という家族に対するアンケート。こういう状態になったらどうするか、というものが5項目くらいに分かれていましたが、つまりは「延命治療をするか、しないか」というものでした。

私は以前から延命治療には反対でした。母は「お父さんがどんな状態であっても生きていてくれるのが私の支え」と言っていましたが、私は父の気持ちを思うとなかなかそうは思えませんでした。

ずっと病院のベッドの上にいて、ただご飯を与えられ、ぼんやりとテレビを見続ける毎日。父は10年間ずっとそんな日々を過ごしてきました。私は自分がそうなったらと考えると正直ゾッとします。自分は何のために生きているのだろうと思わざるを得ないでしょう。

であれば正直ボケてしまった方がいっそのこと楽です。自分は何をやっているかわからない。家族も多少距離を置いて割切って接することができるかも知れない。

しかし幸か不幸か、父は頭はしっかりしていたのです。高次脳機能障害ですから単語が結び付かず、例えば私を含めた親族の名前を間違う(取り違う)ことが多々ありました。ただ記憶などはしっかりしていましたし、毎日新聞を読んで時事問題などには精通していたので、むしろ母よりも物忘れがありません。

ですから余計に辛かったと思うのです。実際父は「手術をしなければ良かった」と言っていました。



ゆっくりゆっくり身体の機能が低下し、死へのソフトランディングに向かうことを体感しながら生きていかないといけないのです。これはある種終身刑よりも辛い日々かも知れません。ご飯を食べて体操を兼ねたレクリエーションを受ける以外、何もすることがないのですから。

そんな父親のことを思うと「早く楽にしてやりたい」と思っていました。とは言っても、当然私が何か直接的に手を下すわけにはいきません。ですから私はせめて延命治療に関しては反対でした。単なる医療費の無駄遣いとも思いますし。

「このアンケートはあくまでアンケートですから、実際にそのような状態になった場合は改めてご家族のご意思を確認致します。もし何らかの事情でご家族と連絡がとれない場合のものです。ですから難しく考えないでください」ということだったので、母にも「アンケートだからとりあえず延命治療はしないということで」と言い聞かせて、延命治療はしない方に○を付けて提出しました。(つづく)





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Last updated  2016年10月20日 14時51分13秒
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