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夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます [ イ・ミイェ ]<内容紹介より>ここは、眠っているときにしか訪れることができない<ドルグート夢百貨店>。どこかに存在するこの不思議な街の住人・ペニーは、そんな憧れの百貨店に就職したばかり。店主ドルグート、個性豊かなマネージャーたち、作品を生み出す夢師、不思議な生き物ノクチルカや妖精たちに囲まれながら、さまざまな夢を買いにくる客たちと出会う。気になるあの?の夢、家族の帰りを待ちわびる??がみる夢、繰り返す悪夢、夢追い人がみる夢、いまは亡き?との再会ー「<夢>はこんなにもリアルなのに、自分の無意識が作り出した幻に過ぎないなんてホントなんだろうか」。著者のそんなふとした疑問から生まれた、やさしい連作短編集。「夢を売る」なんて面白そうじゃない、と思い大分前に図書館に予約を入れていた本。ファンタジーです。主人公はごく普通(でも夢の世界の住人)だけれど、個性的なキャラクターが複数登場。アニメや漫画にしたらピッタリだなと思います。優しい夢、悪夢、願いetc.軽~く読んでも良し、人によっては夢が応援歌になるかもしれない。 ところで、夢って目が覚めても覚えていますか?私はその時々で違うのですが、覚えておきたい良い夢に限って目を覚ました時から忘れていることが多いです。あー今良い夢見てたのにーーー、でも何の夢だった? みたいな。それに対して、悪い夢は比較的覚えてる。内容は覚えていなくても、とても辛い、今は夢を見ているのだとわかっているのに目を覚ますことが出来ずにもがいていた、とか。ずっと覚えている夢もある。社会人になって職業柄という夢もあれば、小さい頃に何度か繰り返し見た嫌な夢や不思議な夢は3つくらい覚えている。はっっっこれはもしや子どもの頃から、超ネガティブだったということなのか。今の私は、三つ子の魂百までを具現化しているってこと?いやーん夢百貨店のおかげでちょっとほんわかした気持ちになっていたのに、なんだかショック・・・ でも、もし私もこのお話のドルグート百貨店で私も夢を購入していたのだと仮定したら、一体なんの夢を購入して、良い夢や悪い夢をみたのかな。
2024.02.07
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〈あの絵〉のまえで (幻冬舎文庫) [ 原田 マハ ]<内容紹介より>「絶対、あきらめないで。待ってるからね。ずっと、ずっと」。美術館で受け取ったのは、亡き祖母からのメッセージーー。作家志望でライターの亜衣は、忙しさを言い訳に遠ざけていた祖母を突然喪ってしまう。後悔と孤独に苛まれる亜衣を救ったのは、お節介な年上の隣人だった(「豊饒」)。傷ついても再び立ち上がる勇気を得る極上の美術小説集。原田マハさんの作品はこれまでにも数作読み切ないけれど温かみを感じる作品や、尖ったところがある作品を書かれる方という印象でしたがアート小説を多く書かれているのですね。そう言われてみれば「サロメ」もそうか。先に書いた「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」と並行して読みました。「白鳥さん」は単行本で300頁強、持ち歩くにはちょっと思いので家読み。「<あの絵>の前で」は文庫本で200頁ほどなので持ち歩き用。結果、この2冊を一緒に読んだことは大正解でした。以前ならこの作品もただ物語として読むだけだったと思います。ああやっぱりちょっと切ないけれど、最後は前向きになる物語だな、で終わったと思います。ところが「白鳥さん」でアートを決まりきった鑑賞ではなく多面的に好きなように鑑賞する具体的な方法というのかな、それを知ったことで各物語に出てくる絵画そのものに興味が出て、自分が今その絵を見たらどう感じるだろう。以前に見た時とは違う印象を持ちそうだ。なんて思いながら読むことが出来ました。2冊を一緒にと勧めてくれた方に感謝です
2024.01.11
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目の見えない白鳥さんとアートを見にいく [ 川内 有緒 ]<内容紹介より>見えない人と見るからこそ、見えてくる!全盲の白鳥建二さんとアート作品を鑑賞することにより、浮かびあがってくる社会や人間の真実、アートの力ーー。「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」という友人マイティの一言で、「全盲の美術鑑賞者」とアートを巡るというユニークな旅が始まった。白鳥さんや友人たちと絵画や仏像、現代美術を前に会話をしていると、新しい世界の扉がどんどん開き、それまで見えていなかったことが見えてきた。視覚や記憶の不思議、アートの意味、生きること、障害を持つこと、一緒にいること。そこに白鳥さんの人生、美術鑑賞をする理由などが織り込まれ、壮大で温かい人間の物語が紡がれていく。見えない人と一緒にアートを見る旅は、私たちをどこに連れていってくれるのか。軽やかで明るい筆致の文章で、美術館めぐりの追体験を楽しみながら、社会を考え、人間を考え、自分自身を見つめ直すことができる、まったく新しいノンフィクション!開高健ノンフィクション賞受賞後第一作!別な本に興味を持ったところ、それならこれも是非と勧められた一冊です。正直、普段の自分からは読まない部類の本です。読書は好きだけれど小説が中心で、ノンフィクションやエッセイ系はあまり。でもせっかくお勧めしていただいたので2冊とも読んでみることにしました。目の見えない人がアートを見るってどういうふうに見るの?私の乏しい想像力では、彫刻とか?あるいは手で触れることが出来る現代アートとかなのかなと思いきや、なんと絵画から始まり国宝級の仏像までと幅広い!本著で取り上げられた白鳥さんが鑑賞した作品のいくつかは私も過去に観に行きました。イヤホンガイドを使ったり解説を読みつつ鑑賞したけれど、実を言えばただ何となく眺めて「ふーん、そうなのね。へーここが凄いのね」程度にしか感じることがほとんどで、逆に何処が良いのかさっぱりわからん。なんてことも多々あり、ただ漠然と眺めているのが常でした。でも白鳥さんとお仲間(著者たち)の鑑賞の仕方は全く異なり新鮮でした。本当に、自由に鑑賞を楽しんでいるのです。えーそんなふうに見たらもっと面白かっただろうに。観に行った作品を思い出したり、掲載されている写真を見て、私にはこう見えると思いつつ読みました。うん、なんだか久しぶりに美術館に行ってみたくなりました。
2024.01.10
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レゾンデートルの祈り [ 楪 一志 ]<内容紹介より>あなたも、生きたくても生きられないのでしょうか」2035年、神奈川県・江ノ島の“ラストリゾート”。この場所で遠野眞白が出会う人は、誰もが「死にたい」と願っている。安楽死が合法化された日本。人命幇助者“アシスター”の眞白は、死に救いを求める人々と正面から向き合う。暗闇の奥底に微かな「生きたい」があると信じ、希望の光を照らしたい。もう二度と、あの日の後悔を繰り返さないために。苦しくても、生きる理由を見つめ直す。新鋭作家が紡ぎだす、切なくも温かい命の物語。安楽死が合法化された近未来の話。安楽死を望む必要資格要件を満たすREN申請者。難病、不治の病、脳死等が対象となり、本人家族が望むならその苦しみから解放してあげたい。そういうテーマの話なのかと思ったのですが、全く違いました。この人たちはRES(+αの要素がありますが、安楽死の必要条件を満たしている)。REN申請者は、精神的、肉体的苦痛等により安楽死を望み自ら要請した14歳以上の者(諸々の制限はある)。安楽死が可能になるまでには申請から、1年間で10回以上、人命幇助者<アシスター>との面談を要する。申請は生涯で一度限り。途中で気持ちが変わり申請を取り下げても、その後の人生で再度安楽死を願っても認められない。申請者が後の人生においても納得のいく安楽死回避に努めるのがアシスター。主人公はアシスター養成専門学校を卒業したばかりの、新米アシスター。彼女の担当する申請者たちの心の内、背景と向き合い寄り添う姿が描かれています。自ら死を望む理由は人それぞれ。他人からすれば、些細なことかもしれない。申請者本人ですら、本当の理由がわからないこともある。「死にたい」わけではなく、「生きていたくない」。数年前にSNSで話題になったというのが何となくわかるような。重いテーマであるのに、作風は静かで凪(舞台が江の島だからというわけではないよね)とでもいうのか。それとも、毎度言っているような気がするけれど、年々、感動することが薄れている私自身のせいなのか。個人的には、ちょっとほわんとした温かい気持ちになりたい時に読む本に入ります。「ママが読む本て結構ドロドロしているよねー、ちょっとタイプが違うんだよなー」と言われるのだけれど、娘が読んだらぐっとくるのかもしれない。とは言うものの、続編があるらしく、本作に出てきたREN申請者が主人公のようで、ちょっと気になる。
2023.05.26
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開かせていただき光栄です (ハヤカワ文庫) [ 皆川博子 ]<内容紹介より>18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男。戸惑うダニエルと弟子たちに治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には詩人志望の少年の辿った恐るべき運命が…解剖学が最先端であり偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちが可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む、本格ミステリ大賞受賞作。前日譚を描いた短篇を併録。「死の泉」の厳かだけれどおどろおどろしい作風がたまらなかった。もっと他にも読んでみたいと思いつつ時間が経ってしまいました。タイトルからして、少し軽めかなと思って読みました。うん、退廃的でちょっと残虐な描写もあるけれどライトな部類。顛末は思いつかなかった。ええ…そうなるのか。澱が残ったような、すっきりしない終わり方でしたが続編があるので、最後にすっきり出来れば良いかなと期待。いや、この著者でそれは無理かな・・・多分。
2022.09.20
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星を掬う (単行本) [ 町田 そのこ ]<内容紹介より>辛かった哀しかった寂しかった。痛みを理由にするのって、楽だった。でも……。千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を「母」と呼び慕う恵真。「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活は、思わぬ気づきと変化を迎えーー。町田そのこ 2021年本屋大賞受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。さざめきハイツに住まう4人の女性。捨てた側、捨てられた側。自分を責め、誰かを責め続けて生きている。歩み寄りたいと思い少しずつ近づく度、心の傷がまた増える。そんな女性たちの葛藤、再生が描かれています。親子、特に母娘関係は難しい(←自身でも感じてます)意識していないのに、自分を重ねて見てしまうことがあるから。ああ、若いころに母に言われて嫌だったことと同じことを娘に言っている。あんなにうざっと思って聞いていたことを。でも、今なら母の気持ちがよくわかる。そんなことがしょっちゅうあります。大きなすれ違いがない、ごく普通の母娘でもそうなのです。ましてや長年後ろめたさや、恨み、卑屈さを抱えて生きていたならば相手を理解することは容易ではない。一生かかっても理解どころか歩み寄ることも出来ないかもしれない。絶望、期待、怒り、諦め・・・そして希望 私は、もしかしたらある人が身を挺して亡くなってしまうのでは、と思って読んでいました。最良の〆方でした。
2022.08.28
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スタープレイヤー(1) (角川文庫) [ 恒川 光太郎 ]<内容紹介より>路上のくじ引きで一等賞を当て、異世界に飛ばされた斉藤夕月(34歳・無職)。そこで10の願いが叶えられる「スタープレイヤー」に選ばれ、使途を考えるうち、夕月は自らの暗い欲望や、人の抱える祈りの深さや業を目の当たりにする。折しも、マキオと名乗るスタープレイヤーの男が訪ねてきて、国家民族間の思惑や争いに否応なく巻き込まれていく。光と闇、生と死、善と悪、美と醜ーー無敵の力を手に、比類なき冒険が幕を開ける!鬼才・恒川光太郎がRPG的興奮と神話世界を融合させ、異世界ファンタジーの地図を塗り替える、未曾有の創世記!怖すぎず、どこか切なく、なんとなく纏わりついてくるような作風が多い著者。これはちょっと違うタイプの作品でした。内容紹介にあるように異世界ファンタジーですが、ありがちな転生物ではありません。流されるままに引いたくじ引きに当選し、気が付いたら見知らぬ場所に立っていた。スタープレイヤーと呼ばれる身となり、願い事が10個まで叶えられる。100日経ち元の世界へ戻ることを願えばそれも叶う。願った内容が実現されることにより元の世界に歪が生じるようなことはないようなことが書いてありましたが、いやいや、きっと元の世界で何か問題が起きているはず。と思いつつ読んだ私の予想は外れました。元の世界に問題は起きていない。どころか、主人公が異世界に来た異も関わらず、元の世界は何もかわらない。では主人公の存在って何・・・?となり、そう来たかとなりました。でもそのおかげで、私がきっとこうなるだろうと思っていたどんでん返しや突飛なことはなさそうだとわかり、安心して、純粋に「あり得ない異世界物語」として読むことが出来ました。ラストにもの悲しさが残るわけでもなく、この著者にしては(全部読んでいるわけではない)珍しいタイプなのかも。同著者の異世界ファンタジー続編として、「ヘブンメイカー」があるそう。これもそのうち読んでみようと思います。【中古】 スタープレイヤー/恒川光太郎(著者) 【中古】afb
2022.08.19
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文庫 フーガはユーガ (実業之日本社文庫) [ 伊坂 幸太郎 ]<内容紹介より>常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの、誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」のことー。ふたりは大切な人々と出会い、特別な能力を武器に、邪悪な存在に立ち向かおうとするが…。文庫版あとがき収録。本屋大賞ノミネート作品!少し前に、宮部みゆきさんの「龍は眠る」を読んだせいか内容紹介にある「特別な能力を武器に」という一語が気になり読んでみました。親の貧困は子に連鎖する。それはよく言われること。そして貧困には暴力が伴うことは多々あること。でも、ここまで苦しい境遇の若者が集まるとは。それに対し、異常な悪者強者たち。特殊能力よりも、そちらが際立ってしまう。自身の心に、思ったよりも重く圧し掛かってこないのは犯罪が、直ぐに思いつくようなものではないために、自分とは別世界の物語と感じるからかもしれません。
2021.12.18
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今更なのですが、読みました。なんと30年も前の作品なのですね。少し前にBSで古いドラマの枠で放送していて途中まで見ました。凄く面白かったのですが、予定があり半分くらいしか見れなくて、どこかで聞いたタイトルだよなと思い調べたら、宮部さんの作品とな。そりゃ面白いわけですわ。それならば録画するよりも本で読みましょ、と思いまして。エスパーが題材で、やはり30年も前の作品となると今となってはやや古いと感じるところもあります。ほら、いろいろなドラマや小説で、今ならそういうのは普通にみんな知ってるよねって感じ。それでも面白くて、読むのを途中で止められない。登場人物の背負っているもの、心の闇を丁寧に描き、多分そうだろうと思ったよ、というところがあるかと思えばえっ、そっちにもそんな展開をしちゃうの?読み終えて、つくづく思いました。普通の人が持ちえない力(龍)を持っていなくて良かったと。いや、この本ではそうはいっていない。「誰でも一頭の龍を飼っていて、凄い力を持っているけど眠っているだけ」と。ならば言いかえましょう。私の龍は眠っていて良かった、ずっと眠っていてください。凄い力を持って、自分の思うように過ごせるならば持ってみたいけれど力を持ったが故に、知らなくてよいこと、知りたくないことありとあらゆる情報に苛まれるあらば、絶対にいらない。凡人として過ごしている今でさえ、さまざまなプレッシャーや嫌なことに押しつぶされそう(そんなにやわじゃないでしょって?)なっているのだから。
2021.10.17
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希望の海へ [ マイケル・モーパーゴ ]<内容紹介より>十歳にも満たない戦災孤児アーサーは、汽船に乗せられ、たったひとりでオーストラリアに送られた。そこで、待ち受けていたのは…。過酷な現実を生きる中にも、ちりばめられる愛や幸せ。巨匠モーパーゴが描く、父娘二代にわたる感動の物語。2015年 青少年読書感想文全国コンクール課題図書久しぶりに感動物でも読んでみようかと思い手にした一冊。著者は映画にもなった「戦火の馬」の作者です。戦災孤児アーサーは姉キティと引き離され、大勢の子供たちとオーストラリア行の船に乗せらせた。オーストラリアで暮らすためにイギリスじゅうから特別に選ばれた孤児だと説明されて。戦争もなく新しい国で食べ物はいくらでもあると聞かされ、子どもはこれまでの生活から素晴らしい未来が開けたと期待をする。しかし待ち受けていたのは厳しい奴隷生活。数知れない苦難と、数少ない愛情を注いでくれた人々との出会いを経験し大人になり本当の家庭を持ったアーサー。生き別れた姉キティ、愛する妻と娘に自分の全てを知ってもらいと思い綴った物語。それが第一部。第二部は彼の娘が、病で亡くなった父の遺志を継いで伯母キティを探すためただ一人でイギリスに向けヨットで荒れ狂う海を航海し目的を果たす。第一部は大人になったアーサーが語るのですが、度々子どものアーサーが話しているように錯覚しました。子どもの目線でリアルに語られています。それに対して大人になってからの部分はやや駆け足に語られているなあと思います。子どもの時、大人時代、それぞれに大きな苦労、悲惨な時を経験しているアーサーですが彼の最後は幸せで恵まれた物であり、救われた気持ちになります。第二部は正直なところ、ややモヤモヤというか何と言うか単純にああ良いお話だったと思えないところが私にはあります。アーサーの娘アリーが、航海での数々の苦難を経験しながらも周りの人たちの愛情、支援を受け目的を果たします。その背景には恵まれた家庭環境、裕福な家庭であったことが非常に大きいのです。ごく普通の家庭では難しかったのではないかと思うと、複雑な気持ちになるのです。これは純粋な心を失くしてしまったアラフィフの僻みなのかもしれません・・・さて、内容紹介から史実を基にしたものであることは想像できますが、あとがきを読んでその内容の悲惨さに驚きました。1970年代まで「児童移民」と呼ばれる子どもの強制移民が行われていてそれは国と国との間でとりきめられた政策であったと。多くは戦災孤児でしたが中には騙されて子どもを連れていかれた親もいたそうです。移民先では過酷な労働と暴力、虐待が横行していたのだと。2009年に当時のオーストラリア首相が、2010年にはイギリス首相が正式に謝罪したそうです。児童移民経験者からの訴えを受けたマーガレット・ハンフリーズの書いた「からのゆりかご―大英帝国の迷い子たち」には、ベールのかからないもっと赤裸々な事実が書かれているようです。この本を基にした「オレンジと太陽」という映画もあるのですね。映像では見る勇気はないけれど・・・オレンジと太陽 字幕のみ【洋画 中古 DVD】メール便可 レンタル落ち戦火の馬【Blu-ray】 [ エミリー・ワトソン ]
2021.09.15
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わが母なるロージー (文春文庫) [ ピエール・ルメートル ]〈内容紹介より〉『その女アレックス』のカミーユ警部、ただ一度だけの復活。連続爆破犯の真の目的が明かされたとき、残酷で美しい閉幕が訪れる。パリで爆破事件が発生した。直後、爆破犯は自分であると警察に出頭した青年ジャンは、爆弾はあと6つ仕掛けられていると告げ、金と無罪放免を要求する。右腕のルイとともに事件を担当することになったカミーユ・ヴェルーヴェン警部は、青年の真の狙いは他にあるとにらむが……。『その女アレックス』のカミーユ警部が、ファンの熱い声に応えて、富豪刑事ルイ、巨漢の上司ル・グエン、猫のドゥドゥーシュらとともに一度だけの帰還を果たす。『その女アレックス』と『傷だらけのカミーユ』のあいだに挟まる「カミーユ警部シリーズ」第2.5作。残酷にして意外、壮絶にして美しき終幕まで一気読み必至続編が出ていることは知っていたのですが、まだ読んでいませんでした。シリーズ3作は長編でかなりヘビーな内容でした。それに比べると、はるかに気楽に読めます。たぶんそうなんだろうなーと予想もついたし。でも久しぶりに、カミーユとルイに会えたことが嬉しかった
2020.11.25
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魔女の目覚め 上ロマンス【電子書籍】[ デボラ・ハークネス ]いやー自分でもびっくり。読書のカテゴリー、なんと3年ぶりくらいの更新だった読んでないわけではないのですよ。老眼が進んで、移動中とかに読む時間がかなり減ったのは事実ですけれど。そもそもブログの更新自体がかなーり減っているので、読んでもアップのタイミングが無かった。もう少し頻繁にアップせねばですね。<内容紹介より>その本は図書館の奥でひっそりと眠っていた。彼女を待ちわびるように…。イェール大学の若き歴史学教授ダイアナは、錬金術の研究中にオックスフォードのボドリアン図書館で一冊の写本を手にする。褪せた金箔が放つ虹色のきらめき、鼻をつく不思議なにおい。それは彼女に何かを語りかけているように見えた。由緒ある魔女の家系に生まれながら魔法を否定して生きてきたダイアナはすぐに本を返却するが、やがて周囲で奇妙な事が起きはじめる。すべてはあの写本が原因なのか?ダイアナはオックスフォードの教授で天才科学者と名高いヴァンパイアのマシューと共に壮大な謎に取り込まれてゆくが―。「オール・ソウルズ・トリロジー」として「魔女の目覚め」「魔女の契り」「魔女の血族」各上下巻 計6冊。ヴァンパイアが登場する話と言えば、何年か前に「トワイライト」シリーズが人気でしたね。こちらも気にはなっていたのですが、若い子がこぞって読んでいた印象だったので何となく触手が動かず結局読まず。それに対してこの「魔女の…」シリーズは登場人物の年齢設定が比較的高めで本屋で何度も見かけてはそのたびに気になっていた本です。コロナで家にこもっていた間に、ついに読むことにしました。著者は現役の歴史学教授。16ー18世紀のヨーロッパにおける魔法と科学の歴史を専門としているそうで、細かいことは覚えてないけれど、確かに歴史で習ったぞーという人物や出来事が出てきたりDNAやら生物学的な内容も説得力がある(本当はその辺よく理解できないけど)ものでした。ただのファンタジー、異種間ラブロマンスかと思って読んだら印象結構違うかも。「オール・ソウルズ・トリロジー」だそうで、直訳すると「全ての魂の三部作」確かに数世紀にわたる時代を通じてクリーチャー(魔女、ヴァンパイア、デーモンetc.)そして血の温かい者(人間)の異種間の軋轢、共存、起源、そして未来への希望。ピッタリなシリーズ名だと思います。とても壮大で、そしてとても身近なテーマ。読み始めたらぐいぐい引き込まれ、続きが気になってとまならい。やっぱりもっと早く、気になった時点で読んでおくべきだったーーと思いました。面白いから娘にも薦めたいけれど、うちの娘って長編が好きじゃないらしい・・・勿体ないなあ。スピンオフも1冊でているので、そちらもそのうちに読みたいと思います。
2020.11.07
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カンパニー【電子書籍】[ 伊吹有喜 ]<内容紹介より>妻子に逃げられた47歳総務課長。選手に電撃引退された女性トレーナー。製薬会社のリストラ候補二人に課された使命は、世界的プリンシパルの高野が踊る冠公演「白鳥の湖」を成功させること。しかし、高野の故障、配役変更、チケットの売れ行き不振と続々問題が。本当に幕は開くのか!? 仕事と人生に情熱を取り戻す傑作長編。宝塚月組の次回本公演の原作ということで読んでみました。この著者の作品は1作読んでいます。そちらはファンタジー色が強かったけれど、「カンパニー」はタイプが異なりますね。緩~い緩~い池井戸潤作品とでもいうのか。窮地に追い込まれたメインキャストが複数、追い詰めていく側はあまり描かれず。私にはこれくらいのドキドキ感も悪くないと思いました。最後は皆、自らの道を求めて成長しているところも後味すっきり。ガンガンに突っ走る池井戸作品も面白いのですが、ちょっと疲れるので(^^;バレエは細かいことはわかりませんが、これまでにも何度も舞台を観に行くくらいに好き。申し訳ありませんが、やはり海外バレエ団の公演が良いです。入団時に細かく細かく審査があるという体型、体格、首の長さ、腰の位置の高さ、甲の高さ等々それだけでも選ばれた人たち!という目で見てしまします。既に月組でのメインキャストは発表済み。さすがに、トップスターに妻子に逃げられたうだつの上がらない中年男を演じさせるはずもなくそこは愛妻に先立たれ生きる希望を失った青年サラリーマンになっています。<主な配役>青柳 誠二 珠城 りょう 高崎 美波 愛希 れいか 高野 悠 美弥 るりか名前も少しかえてありますね。ちゃぴちゃん(トップ娘役:愛希れいか)が美波となると、社長令嬢は海ちゃん(海乃美月)。那由多はありちゃん(暁千星)一択でしょう。気になる かなとくん(月城かなと)はついに女役?役の比重的には、元女子バレーボール選手で現トレーナーの瀬川由衣が濃厚ではと思っています。それとも・・・オリキャラ?違うと思うなー来週あたりその他の配役が出るのではと期待!
2017.12.10
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サロメ [ 原田 マハ ]≪内容紹介より≫ 「不謹慎」「不健全」「奇怪」「退廃的」…世紀末、すべては賛辞の裏返し。その悪徳とスキャンダルで時代の寵児となった作家オスカー・ワイルドと、イギリス画壇に彗星のごとく現れた夭折の天才画家、ビアズリーの愛憎を描く。一言でいうと、非常に面白かったですプロローグは現代のロンドン。サロメの作者であるオスカー・ワイルドについての研究者がサロメの挿絵画家オーブリー・ビアズリーの研究者に「未発表のサロメ」を見せる。それはヨカナーンの首ではなく・・・時代は1898年、ワイルドやビアズリーが生きた時代へと遡ります。「不謹慎」「不健全」「奇怪」「退廃的」と内容紹介にはありますが、「退廃的」が一番ぴったりすると思います。物語の主人公はビアズリーの姉メイベル。ワイルドとオーブリーの愛憎よりも、メイベルの心の動きの方が丁寧に描かれています。独学で有りながら人にはない天才的な才能を持つオーブリーと病弱な弟を思う姉が、ワイルドと出会ったこと、二人が「サロメ」に魅せられ、どんどん人間性が変わっていく狂気が描かれています。特にメイベルはサロメの象徴として描かれていると感じます。彼女の中では弟をワイルドの毒牙から守り、そして己の夢もかなえる為という大義名分があったものの、サロメに魅せられた彼女の愚かさ、浅はかさ、エゴ故。「馬鹿な女」と思いつつも私も女。そこは何となく理解できなくもないのです・・・男性が読むと感想がかなり違ってくるのかな?現代のくだりは必要なのか?とずっと疑問でしたが、最終章で一応納得しました。表紙の「お前にくちづけしたよ、ヨカナーン」をちょいちょい見返しながら読みました。なんか気になって見てしまうのですよ。表紙といえば、これは「イエロー・ブック」を意識しているのですね。詳しい方なら、きっと直ぐにそう分かるのでしょう。私はもしかして?とちょっとググってみてわかりました。
2017.08.25
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男役 [ 中山可穂 ]≪内容紹介より≫トップになって二日目に舞台事故で亡くなった50年前の伝説の男役スター・扇乙矢。以後、大劇場の奈落に棲みつく宝塚の守護神ファントムさんとして語り継がれてきた。大劇場では月組トップスター如月すみれのサヨナラ公演の幕が開き、その新人公演の主役に大抜擢された永遠ひかるの前にあらわれた奇跡とはー。男役という稀有な芸への熱いオマージュを込めて中山可穂が情感豊かに描く、悲しく切ない恋愛幻想譚。この著者の作品を初めて読みました。この本を読んで共感して涙なしに読めなかった。とインスタで紹介されていたOGジェンヌさんがいました。それくらい現実の宝塚の世界と重なるというのか忠実なところがあるのでしょう。温い一ファンとして楽しんでいる私には、どこが本当でどこが脚色なのか区別がつかない。それともほとんど脚色なんてない?そんなことはないか。大劇場のファントムさんと呼ばれる故・扇乙矢の悲惨な事故「セビリアの赤い月」のストーリーあのこと?あの作品と被るよね、と読みながら頭を巡ることが多々あり。二世、三世ジェンヌであるが故の辛さ下級生抜擢に伴う上級生たちの反感トップスターになるために犠牲にしてきた多くのことそれ故にトップスターにしか分からない孤独舞台、相手役に対する深い思い昇華するまで終わらない、そこまで求めた男役は男役でしかいられない男役以外の何者にもなれない一般人には想像の域であった、ある種聖域とも言える部分を物語であったとしても生々しく描いた作品でした。読んでいる間は物語に引き込まれて、都度都度涙がこぼれたり、思いもかけずぷっと噴出したりもしました。読み終えて少し落ち着いたら、考えてしまいました。私が過去に大好きだったトップさん、そして今大好きなジェンヌさんも同じようなことを多かれ少なかれ経験しているのだろうかと。
2017.03.27
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傷だらけのカミーユ [ ピエール・ルメートル ]≪内容紹介より≫週刊文春ミステリーベスト10 2016 海外部門1位! カミーユ警部の恋人が強盗に襲われ、瀕死の重傷を負った。一命をとりとめた彼女を執拗に狙う犯人。もう二度と愛する者を失いたくない。カミーユは彼女との関係を隠し、残忍な強盗の正体を追う。『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』の三部作完結編。イギリス推理作家協会賞受賞、痛みと悲しみの傑作ミステリ。カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの一応、最終巻。一応と書いたのは、このまま本当に終わってしまうの?という気持ちがあるから。それくらい、切ない、救いがない終わり方だと思いました。涙するわけではないし、結末はわかっていたけれど、それでももう少し救いが欲しい。解説にも書いてありましたが、中篇が2作あるとか。是非、それも出版していただきたい。今回は肩透かしを食らわされました。というのは、ヴェルーヴェン班のアルマンが登場しません。正確には実存者として登場不可能。そして同じくヴェルーヴェン班のルイが、これまた活躍の場が少ない。そもそもルイも登場場面がとても少ないのですよ。追い詰められていく、八方塞がりなカミーユを表現するにはこのほうが効果的なのでしょうねぇ・・・犯人はこの人だろうなと途中で気が付くことが多々あるのですが、今回は結構読み進めて、後半うーん残り1/3くらいになってやっと気が付きました。巻頭の登場人物、ここにしっかり目を通しておくと、犯人がもう少し早くわかったかも。これまでの事件で重要な役どころではあったけれど、あまり登場していなかった人。あー今更ここに名前載せるって、そういうことかと。
2017.03.21
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代体 [ 山田宗樹 ]≪内容紹介>『百年法』(第66回日本推理作家協会賞)から4年。新たに現代社会に問いかける衝撃の問題作にして、一気読み必至のエンターテインメント大作!人工知能が実現しつつある現代に生きる全ての人に問うーー「あなたは、本当にあなたですか?」近未来、日本。そこでは人びとの意識を取り出し、移転させる技術が発達。大病や大けがをした人間の意識を、一時的に「代体」と呼ばれる「器」に移し、日常生活に支障をきたさないようにすることがビジネスとなっていた。大手代体メーカー、タカサキメディカルに勤める八田は、最新鋭の代体を医療機関に売り込む営業マン。今日も病院を営業のためにまわっていた。そんな中、自身が担当した患者(代体を使用中)が行方不明になり、無残な姿で発見される。残される大きな謎と汚れた「代体」。そこから警察、法務省、内務省、医療メーカー、研究者……そして患者や医師の利権や悪意が絡む、壮大な陰謀が動き出す。意識はどこに宿るのか、肉体は本当に自分のものなのか、そもそも意識とは何なのか……。科学と欲が倫理を凌駕する世界で、葛藤にまみれた男と女の壮大な戦いが始まる! 凄くすごく面白かった『百年法』。その世界観を再び彷彿とさせる作品です!でも、ナノテクノロジーだの脳デバイスだの、ハイテク過ぎて細かい理論がわからないところもあります・・・だって私、どちらかというと、かなりアナログ人間なもので。いや、ただの勉強不足という?まあ、それはさておき、そんな私が読んでも、とにかく面白い。読むのが止まらない!理不尽だと感じること、こんな世界がやってきたら人間はどうなる?人間の存在価値なんて何もなくなってしまうのでは。という危惧はどこまでも付きまといますが、それでもやめられない面白さ!『百年法』の感想でも書いた気がしますが、この著者の作品は、私は好き嫌いが両極端でかなりはっきりします。『嫌われ松子の一生』のような、泥臭い作品は苦手。『百年法』『黒い春』は非常に面白かった。どうしたらこんな物語の構想を思いつくのでしょうねえ。それこそ、著者の頭の中を覗いてみたい!あ、覗いてみても私には何にもわからないけれど、はい。是非、年末年始の娯楽にお薦めいたします!
2016.12.28
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悲しみのイレーヌ [ ピエール・ルメートル ]≪内容紹介より≫週刊文春ミステリーベスト10 2015年海外部門 1位!コニャック・ミステリ大賞など4つのミステリ賞を受賞!異様な手口で惨殺された二人の女。カミーユ・ヴェルーヴェン警部は部下たちと捜査を開始するが、やがて第二の事件が発生。カミーユは事件の恐るべき共通点を発見する……。ベストセラー『その女アレックス』の著者が放つ衝撃作。あまりに悪意に満ちた犯罪計画――あなたも犯人の悪意から逃れられない。 本作に先駆けて、日本ではベストセラー「その女アレックス」が発刊されました。主役ヴェルーヴェン警部の妻イレーヌが、残虐な事件で亡くなったことが書かれていて、詳細がなく唐突だと思わされましたが、その前作となるのがこの「悲しみのイレーヌ」です。何で先にアレックスを発刊したのか?普通に順番通りに読みたかったよ、と思いません?と書いたものの、実は私としてはアレックスから読んで正解だったかも。というのは、アレックスに比べて、本作の方が描写が非常にグロいのです。しかもそれが、実際に起こった事件を題材にしているというところが凄惨さを増します。あまりの事件に、その実在の事件についてもググってみました。うわっっ 写真が掲載されているサイトもありました未解決事件というところも、なんとも怖い・・・そんなこともあり、イレーヌがどうなったのか、覚悟が出来ていて読むのと、そうでないのでは受け止め方がかなり異なったのではないかなあと思います。知っていて読むから、ちょこちょこ出てくる伏線にも気が付き、免疫も出来る。そうでなかったら、これは正直キツイ話です。それから、実に残酷な事件なのですが、ネチネチとした描写ではなく淡々と描かれているのも、立ち止まらずにぐいぐい読み進められた要因だと思います。これは翻訳された方がお上手なのか、原文がそうなのか。そこはわかりませんが、拍手ものです。このシリーズは3作目の「傷だらけのカミーユ 」が既刊されています。もちろん、読みます!シリーズ物なので、当然順番に読んだ方が良いとは思います。が、私のような例もありますので、場合によっては(読みたいけど怖がりな人とか)本作「悲しみのイレーヌ」は「その女アレックス」の後に読むのも良いかもしれません。順番を変えても、十分それぞれの本を楽しめます。
2016.12.18
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パードレはそこにいる 上 [ サンドローネ・ダツィエーリ ]パードレはそこにいる 下 [ サンドローネ・ダツィエーリ ]≪内容紹介より≫勇猛果敢でずば抜けた能力を持ちながらも、現在は休職中の女性捜査官、コロンバ。少年時代を誘拐犯に監禁されて過ごし、閉所恐怖症をわずらう失踪人捜索専門のコンサルタント、ダンテ。ローマで女性が惨殺され、その六歳の息子が行方不明になったとき、捜査の行く先を懸念する警察幹部は、ひそかに事件を彼らの手に託した。それぞれ過去の凄惨な出来事が残した傷を抱えるふたりは、喧嘩を重ねつつも協力して真相を追う!ローマで起きた児童失踪事件。その裏には、幼い自分を誘拐し、11年間にわたって監禁した犯人“パードレ”がいるーそう考えるダンテを、しだいに信じるようになったコロンバ。しかし味方のはずの警察は、型破りなふたりに疑いの眼を向けていた。孤立無援のふたりは、独自に過去の事件を洗い直す。わずかな証拠をたどった先で待っていたものとは?緻密なプロットと息詰まる展開。イタリアのベストセラー・サスペンス!最初は単なる性的異常者による犯罪なのかと思ったのですが、そんなものではありませんでした。もっとはるかに巨大で難攻不落な壁が行く手を遮っていました。ダンテが遭った事件については物語の序盤に明らかになっていますが、コロンバが休職となった件については、なかなか明らかになりません。彼女の件がどのように絡んでくるのかが気になるところでしたが、語られないには訳があった。ただ彼女の心身を傷つけた事件では済まず、それも全てパードレに繋がっていたとは。次から次へと予期せぬ事態が起こり、それでも、これでパードレに手が届くのか!と思ったら、事態は更に新たな展開を重ねていきます。パードレは誰なのか、そしてその後ろにあるのは何なのか。読み応えがありました。素直に面白かった!エピローグの最後の20行ほど。何だか微妙な終わり方だと思ったら、続編が執筆されているとのこと。ダンテの明らかにされていない部分が語られるのか?続編が翻訳されるのが待ち遠しいです。
2016.12.08
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マガイの子 [ 名梁 和泉 ]≪内容紹介より≫【第22回日本ホラー小説大賞〈優秀賞〉受賞後第一作】僕の姉は「取り替えられた」魔物なのか? 「マガイ」のおぞましい真実とは 「山に棲む『紛(まがい)』という魔性の獣が里の子供を攫って喰らい、己の子とすりかえる」「『紛』の子は見かけは人間だが、長ずるに従って徐々に獣の本性を表し、里に災いをもたらす」現代社会では迷信扱いされる民話だが、鞍臥の人たちは今でも、心のどこかで信じている。なぜなら、あたしがその「マガイの子」だからだーー。 いまは東京で美大生をしている坂見風哩は、8年前に「お山」で従兄が惨殺された現場に立ち会っていた。従兄の死体は獣に食われたようだったが、風哩には事件時の記憶がない。腫物のように扱われる田舎を出たものの、不穏な出来事が周りで続いている。セクハラ教授とのトラブルで訪れた風変わりなスクールカウンセラーとの話で、夢に見る「マガイ」のことをついしゃべってしまい……。 一方、まだ鞍臥に住んでいる高校生の弟・怜治は、8年前に姉を助けてくれた円藤老人が、砂原という謎の研究者と最近共にいるのが気になっている。砂原ら「聖泉協会」の人間は「お山」の「磨崖仏」を調べているというのだが……。 読み始めてしばらくして、どこかで読んだような既視感を感じました。細かいディテールは違うけれど、何となく全体的な雰囲気が恒川光太郎の世界に似ている。恒川光太郎の方が、まったりとしてまとわりつくような雰囲気は強いのですが、異空間からの侵入者とか、ゆがんだ空間というところがそう思わせる。あとは誉田哲也の「黒い羽」。こちらは異世界からの侵入者ではないけれど、見る者が震え上がる異形、破壊的な部分から、読んでいて思い出しました。ホラー小説大賞受賞ということですが、最後の最後はファンタジー?ちょっとご都合主義で取ってつけたような感じもしなくもないです。
2016.12.02
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氷の双子 [ S.K.トレメイン ]≪内容紹介より≫一気読み必至、双子の死の謎を巡るスリラー 六歳の双子の娘のひとり、リディアを事故で失ったアンガスとサラの夫婦。一年あまりの後、二人は家族の再出発のため、ロンドンからスコットランド・ヘブリディーズの孤島へと移住を決める。ところが、残された娘カースティにそのことを告げたサラに向かい、娘はこう言った。「どうしていっつもあたしのこと、カースティって呼ぶの、マミー。カースティは死んじゃった。死んだのはカースティだよ。あたしはリディア」 愕然とするサラの胸にある疑惑が芽生え、それは日に日に肥大化していく。そして孤島という密室に閉じ込められた一家に、次々と不可解な出来事が起こるーー。 刊行とともに英国でベストセラー1位を獲得、各メディアからも大絶賛された超話題のノンストップ心理スリラー。孤島の美しくも厳しい自然の中でじわじわと追い詰められていく夫婦をスリリングに描いた、一度読み出したら止まらない2016年イチオシの一作! 亡くなった娘はどちらの娘なのか。娘の死の本当の原因は何だったのか。これが答えなのか、と思うとあっと言う間に覆される。じわじわと怖い。最後の方は鏡のある部屋では読めないそして我が身に置き換えたとき、微妙に当てはまることがあるとなおのこと怖い。何が当てはまる?自分では思っていないのだけれど、子ども言わせると気が付かない内に贔屓をしているらしい。そう、下の子に言われることがあるのです。「どうせ○○の方が好きなんでしょ!」と。好きとか嫌いではなく、普段の生活態度でこちらの出方が変わるじゃないですか。例えば普段から、下の子はあれこれ買ってと煩くて、全部ではなくてもちょこちょこ買うことに。一方、上の子は必要な時しか言わないから、当然親も文句なく買うわけです。と、下の子は○○には「いいわよ~っ」てあんなにたくさん買ってるじゃん!!と思うらしい・・・でも、トータルすれば下の子の方がたくさん買ってもらっているのだけれど、本人はそれに気づかない。機嫌よく買ってあげているのだから、上の子の方が好きなんでしょ、と思うらしい。こんなことでも、積み重なると鬱屈していくのかなーとちょっと不安になりつつ読みました。が、結局はこの物語の直接的な起因は、愚かな女にあっただけのことだったのかちょっと微妙なところです。
2016.11.28
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野に咲く白薔薇【電子書籍】[ トーリ・フィリップス ]≪内容紹介より≫伯爵家の若君に舞い込んだ縁談の相手は、なんと身分の違う町娘?!15世紀末イングランド、キャヴェンディッシュ家当主の若かりし日の物語。★国王がアリシアの実父の名を知ったら、彼女を生かしてはおかないだろう。養父は幼い彼女の身を案じ、危険から遠ざけるためにキャヴェンディッシュ家の三男トーマスとの縁組を取り決めた。十年の歳月が流れ、輿入れの日がやってくる。十七歳のアリシアは妻となる覚悟に満ちていた。トーマスには婚約の折に会ったきりだが、心惹かれていたし、彼の心を勝ち得ることができなければ生きる道がないからだ。だが現実は困難の連続で、アリシアの心はずたずたに……。 「キャヴェンディッシュ」という家名、どこかで聞いたなと思ったら、大分前に読んだ「沈黙の騎士」がャヴェンディッシュ家シリーズ1作目でした。これは3作目にあたりますが、私2作目を読んでおりません。適当に粗筋見て買っているので(^^;まあ、世代が変わっているので特に問題ないし。1作目の感想を読み返すと、後半になってぐっと面白くなったと書いていました。今回の話は、ずっと平坦、並み程度に面白いという感じでした。可もなく不可もなく。内容紹介にあるほど、ヒロインの心がズタズタってほどにはなっていないと思うんだけど。私は女心がわからないのかしらキャラクター設定はちょっと変わっているかも。ヒーロー、ヒロインは強烈なクセがあるタイプではなく、ヒストリカルにしては割と普通。ヒロインのアリシアは、本当の出自を隠している為、必要以上に目立たない方がベターだからか、ヒストリカルのヒロインには珍しくあまり自己主張をしないタイプ。妙に意地を張ることもないし。ヒーローのトーマスも、24才になっても女性を知らないとはこれまた珍しい。ほら、ヒーローって大抵女性経験が豊富じゃないですか。こういう話でお互いが初めてでラブラブって新鮮です。脇役が徹底的に悪いというのは、1作目と同じ。今回の悪役は女性、トーマスの義姉イザベルで、未亡人。夫に先立たれ、子どもが無く、お金と権力が大好き。実家に帰されてはたまらない!トーマスをターゲットにするつもりが、アリシアの登場で計画が狂い追い出される羽目に。追い出される直前にアリシアの重大な秘密をつかんだことから、二人への復讐をたくらむ。気の毒な最後だけれど、実家に戻って再婚したとしても子どもは・・・なので、結果として結末は彼女の為にも良かったと思います。
2016.11.19
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イレーナの帰還 [ マリア・V・スナイダー ]≪内容紹介より≫死刑宣告を受けながらも生き延びたイレーナは、故郷シティアに14年ぶりに戻ってきた。両親は涙ながらに娘を迎えるも、兄を始めとする他の者たちは、敵対国で育ったイレーナをあからさまに嫌悪し、密偵に違いないと疑う。またも四面楚歌となったイレーナに、さらなる危機と試練がー明らかになる14年前の真実と、2つの国に蠢く陰謀、そしてイレーナが生まれ持つ宿命とは?見逃せない、第2章。毒見師イレーナシリーズの第2弾。イレーナが魔術を扱えることが最高司令官に分かってしまい、イクシアを追放されたイレーナ。 シティアの魔術師範アイリスと共に、ザルタル族の家族の元へ戻ったが、 両親は心から歓迎し愛を注いでくれるが、何故か兄リーフはイレーナを敵対視する。 シティアの魔術師養成所で学ぶことになったイレーナだが、イクシアの密偵ではないかと疑う者は後を絶たない。 その上、シディアでは残虐な事件が連続して起こっており、その根底にはとんでもない魔力を得るためのたくらみがあった。師であるアイリスの言に反してでも、阻止する為に独断で挑むイレーナ。 そんな折、イクシアの使節団がシティアを訪問。 シティアにとっては天敵であるヴァレクが変装をして乗り込んできた。前半でイレーナの出自、誘拐された際(詳細は後半で)の状況が明らかになります。 話が進むにつれ、イレーナの魔力が魔術師範達の予想を超えたものであることが判明。 案の定、イレーナを目の敵にする人たちが何人も登場。 そして、なかなか登場しないじゃないの もしや回想程度にしか登場しないの? と、やきもきさせられたヴァレクは3分の2を過ぎた辺りでようやく登場。 相変わらずのカッコよさですが、あれ、こんなに甘々に愛をささやく人でしたっけ? というくらいイレーナにぞっこんで、甘々に甘えさせています。 ハーレクインのみたいだわ~と思いましたわ。 あー、ハーレクインも同じ出版社ですよね~って、それとは関係ないか。 残虐な事件については、近頃のサスペンス物にありがちな、事細かに描写されてはいず、ある程度大雑把に書かれているのがありがたい。 それでもかなりうわっと思うところがありましたが。なので、イレーナとヴァレクのシーンになると、待ってましたとばかりにテンションが上がります。 イレーナのこの物語は3作から成るスタディ・シリーズとのこと。 前作は死刑を逃れる為の手段として毒味師になったイレーナの生への執念。 今作は魔法編と言う感じです。 シリーズ最終巻は既に発行されていて、予約待ちの私の手元には多分2ヵ月以内には届く予定。 どんな展開になるのか楽しみです。年内に読めると良いのだけれど。
2016.11.15
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【中古】 夜の子供たち 上 /角川書店/ダン・シモンズ / ダン シモンズ / 角川書店 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】【中古】 夜の子供たち 下 /角川書店/ダン・シモンズ / ダン シモンズ / 角川書店 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】≪内容紹介より≫アメリカ防疫センターの女医・ケイトは、ルーマニアで重度の免疫不全を持つ孤児を見つけた。最新医学によって、彼女はその遺伝子がエイズや癌の画期的治療の鍵だと気づく。だが、その子供はトランシルヴァニアの伝説、ドラキュラ一族にとっても、特別な存在だったのだ…。ドラキュラの末裔を手に入れた今、闇の一族は公位継承の儀式を急いでいた。一方、奪われた養子、ジョシュアを追って、ケイトはルーマニアに密入国した。呪われた遺伝子を受け継ぐその子を、彼女は最新医学で救おうとするが…。「ローカス」賞、ホラー・ダークファンタジー部門受賞作品。 少し前にヴァンパイア物がブームだったようですが、「トワイライト」でしたっけ。私は本も映像もいずれも見ていません。対象年齢がもっと若者向きな感じがしましてね。でも、ヴァンパイア物ってブームとまではいかなくても、常に一定の人気があるようですね。アニメとか漫画でも、内容は全く知らないけれど名前だけは聞いた事がある。よくよく聞いたら、ヴァンパイア物だったとか。私も気にはなるのだけれど、若い頃はとにかく敬遠していました。だって怖いんだもの・・・歳を重ねて図々しくなった分、怖さも減ったか?この本は図書館の書架に並んでいて、タイトルが気になったもの。表紙もちょっと美術館に飾られている絵画のようで素敵です。裏表紙のあらすじを見ると、現代まで生き残ったドラキュラ一族と、最先端医療を絡めた話。(といっても初版が20年前なので、今だとそれなりに治療法が確立されていたりします)表紙とあらすじがピッタリしたのも借りた要因です。ドラキュラ末裔の遺伝子が、エイズや癌といった難病の治療に活かすことが出来るかもしれない、という視点がなかなか面白かったです。舞台はチャウシェスク政権が崩壊した後のルーマニア。チャウシェスクも、秘密警察も、国家機関も逆らえない恐ろしい一族、伝説のドラキュラ一族(ストリゴイ)が現代においても絶対的な力を持ち存続している。免疫不全幼児のルーマニア孤児(ジョシュア)がその直系とは知らずに養子とし、彼を取り戻すため、単身ルーマニアへ潜入するアメリカ防疫センター所属医師ケイト。可愛いジョシュアを救う為、難病の画期的な治療の為、立ちはだかるストリゴイに挑むケイト。誰が味方で誰が敵なのか疑心暗鬼になりながらも、神父マルーク、ルーマニア医学生ルチアンと共にストリゴイに立ち向かう。ケイトの圧倒的な行動力に、軍事訓練というのか特別な訓練をしていない女性が、こんなこと出来るの?と、つっこみたくなるところは満載ですが、そこは目を瞑るとします。じゃなきゃ、こういう話は成り立たない。直ぐに叩きのめされて、はい、おしまい。になってしまいますものね。当時のルーマニアの本当の姿なのか、密告者ばかりで3人に1人は密告者。という言葉が、恐ろしく響きました。 怖いよーーーそう、ヴァンパイア物というと、怖い。だけどどこかヴァンパイアに哀愁を感じることが多いのですが、この話はちょっと印象が異なりました。生きる為に血を求めるだけではなく、残虐を好むというところがくっきり見えるからかと。だからひたすら恐れられる存在であり続けた。背景や設定がそういう感じだったので、後半で恋愛要素が入ってくれて良かったです。そうでないと、話自体は興味深く先が気になるのだけれど、私には「楽しい」とか「休まる」という要素が不足して、ただ疲れるだけだったかも。疲れる要因に、ストリゴイの長であるヴラドの回想があります。著者が、聖杯部分を除きヴラドの回想はすべて史実であると言い切れると書いています。そう、その史実の部分がね・・・人物の名前が全くもって読みにくく、黙読でありながらつっかえつっかえ読んでいる自分に嫌気がさしてくるほど。もともと世界史に強くないけれど、この辺りがテストに出たら相当酷い点数だと思いますわ。名前が覚えられないのは目に見えているものラスト、ヴラドが語るエピローグは意外な展開でした。まあ、絶対に死んでないよね、生きているよねというのは分かっていましたけれど。ヴラドもケイト側も双方丸く収まったということで、終わり方としては好きなのですが・・・物語全体が何というか薄暗い紫のベールが掛かっているような印象だったのが、ラストだけ朝焼けのような感じで、ちょっと浮いている感がして少しだけ残念。まとまらない感想だけれど、トータルすると面白かったです、はい。
2016.11.09
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月光のプロローグ [ マーガレット・マロリー ]≪内容紹介より≫騎士ウイリアムの胸の奥には、いつも一人の少女の面影があった。かつてウェールズ国境に近いモンマス城で出会った美しき城主の娘キャサリン。結婚を翌日に控えた彼女の願いを聞き入れ、ふたりは月明かりのもと最後の乗馬に赴き、そこでただ一度の口づけを交わしたのだった。それから五年後、王命を受けたウイリアムはモンマスへ戻ってきた。謀反にかかわって処刑された前夫にかわって、キャサリンの夫となるために…。15世紀イングランドとウェールズを舞台に展開する壮大な中世恋愛絵巻。図書館に予約をしている本が、あと1週間くらい待ちそうなので、買い置き本と図書館の書架で目についた本を気の向くままに読んでいます。これは買い置き本。無性にロマンス物が読みたくなって、まとめて沢山買ってしまった物の一冊。でも、これはイマイチでした。ヒロインが諜報活動をしていたり、抱える秘密がオオッとビックリなところは良かったのですが、主役の二人が、「信頼してくれない」「信頼出来ない」ってずっと繰り返しで面倒臭いしかもヒロインが誰もが一目見て惹かれてしまうほど美しい。出来過ぎじゃないですかねと思うほど、男性がみんな彼女に惹かれてしまう。そのあたりがベタすぎで(羨ましいだけ?いやいや)・・・ロマンス物は往々にして美男、美女。好きだ嫌いだ、付いた離れたの繰り返しだから、まあこんなものなのでしょうが。何が気に入にいらなかったんだ、私。うーん ヒロインが可愛げがなかったのかも。うんっ、きっとそう!
2016.11.01
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ダンカンの花嫁 [ リンダ・ハワード ]≪内容紹介より≫ “花嫁募集ー当方、健康な牧場経営者。子供好きの地道な女性求む”ある地方紙の募集広告に、マデリンはたちまち興味を持った。広告から読み取れるのは、この男が子供を産む道具と働き手を兼ねた妻を求めていることだけ。呆れるほど正直なその文面に、彼女は怒りよりも清々しさを覚えた。いったいどんな男なのだろう?優雅な都会生活にうんざりしていたマデリンは、ミスター・ダンカンの待つモンタナへと旅立った。小さな冒険に胸をときめかせながら。ここのところの歯医者通いで電車に乗ることが増えて、駅近くの図書館により安くなりました。 新刊はどうしてもアップされて直ぐに予約をいれないと、結構な期間待つことになるので、 とりあえず書架に並んでいる中から数冊ずつ借りてきています。 今回は、先日の「その女アレックス」と一緒に借りてきたMIRA文庫。 ちょっとハードな後は、デレデレ甘い物で。 日本で初版は2016年、10年も前のものでした。 新聞広告に「花嫁募集」個人が出すなんて、随分突飛なと思って借りました。 良く出来たヒロインと、意固地で扱いずらいヒーローというとこですかね。 最初の結婚での痛手のあまり、それを引きずりすぎ。 荒々しさを持つ男だけれど、逆に女々しい感じもする。 ヒロインもヒロインの親友も、一目でボーッとなるくらいのセックスアピール度なのだけれど、 個人的にはあまり惹かれないヒーローでした。すぐにキレる男って嫌いっ
2016.10.22
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その女アレックス [ ピエール・ルメートル ]≪内容紹介より≫おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。 読書好きの方のブログで紹介もされていて、タイトルは知っていました。国内ミステリー海外部門で6冠だったとか。でもその時は読もうと思わなかかったのですよね。だって、なんかもの凄く怖い、気持ち悪くなるetc.とか書いてあったから。じゃ、なんで読んだの?図書館でちょっと時間つぶしをしていたら、目についたのです。どっかで聞いたタイトルだよなー、と手に取ったらこの表紙!ああっ、あれねどうしようかなぁと思ったのですが、手にとったら気になっちゃって。しかも今だからこうやって書架に並んでいるけれど、少し前だったら、きっと予約がいっぱいでずっと待たされるところだったはず。と考えたら、そのまま書架に戻すのが惜しくなってしまいました。さて、感想はというと、思ったほど気持ち悪くなかったし怖くなかった。確かにグロいのですが、なんというか描写がそれほどおどろおどろしくない。普通じゃ思いつかない、かなり残酷な殺人方法なのですが、淡々と書いてある感じ。アレックスとヴェルーヴェン警部が交互に語り、最後まで・・・(もにょもにょ)ナイショ!ラスト120頁くらいの第3部が、私にはあまりに予想外でした。こんなことが・・・というアレックスの過去。一応予想されることではあったけれど、一部あまりに仰天する内容で。これも普通なら私が一番読むのを拒否する内容なのですが、具体的描写がないのでさらっと読めました。そして警察側の持って行きよう!いやいや、こういう風に持っていくとは!この作品はヴェルーヴェン警部が登場する3部作の第2作。日本ではこちらが先に出版されちゃったのですね。第1作の「悲しみのイレーヌ」も読もうと図書館検索したら、こちらは結構な”待ち”でした。でもかなりな冊数が用意されているので、多分数か月で来るんじゃないかなーと思います。悲しみのイレーヌ [ ピエール・ルメートル ]傷だらけのカミーユ [ ピエール・ルメートル ]
2016.10.20
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闇に眠る騎士 【電子書籍】[ マーゴ・マグワイア ]≪内容紹介より≫シャーンは明るく活動的な半面、よく小さな失態を演じていた。そんな妹が自分の立身出世の妨げになると考えた兄によって、彼女は1週間後に修道院に送られることになっていた。最後の自由を楽しもうと、城を抜け出して森を散策中、突然、荒ぶる猛獣がシャーンに襲いかかってきた次の瞬間、閃光のように矢がかすめ飛んだかと思うと猛獣がどっと倒れ、彼女の前に眼帯をした隻眼の騎士が現れた。その圧倒的な存在感と鋭い視線にシャーンは震え上がるが、騎士は問答無用で彼女を抱え上げ、どこへともなく歩きだした。 久しぶりにハーレクインを読みたくなって、買い置きしていた物を読みました。ハーレクインって、導入部分でイマイチ入っていけないなーと思うものもあるのですが、これは一気に行ってしまいました。誰が見てもイケメンなヒーローも良いけれど、傷ついたヒーロー「眼帯をした隻眼の騎士」、身体中傷だらけというのも、ヒストリカルではいかにもって感じで良いのですわヒーローとヒロインが年の差というのも結構ツボ。今週は抜歯の影響もあって、何気に疲れていましたの。疲れた身体には甘い甘いromanceおススメです
2016.10.15
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思い出のとき修理します(4) [ 谷瑞恵 ]<内容紹介より>不仲に思えた両親の絆、亡き妻への秘めた思い…時計店には今日も人々の「思い出」が持ち込まれる。そんな中、秀司が作ってくれているドレスウォッチの完成が近いと聞き、喜びとともに複雑な気持ちになる明里。秀司の元に、スイスの時計工房から手紙が届いているらしいからだ。ともに商店街で暮らす未来を夢見つつ、本当は秀司がスイスで修業を続けたいのではないかと悩み…。ついに完結!シャッター街となった商店街が舞台というのもあり、懐かしいような、ホッと肩の力が抜けるような作品。シリーズなので内容紹介を読むことなく読み始めましたが、途中であれ?これもう終わっちゃいそうだわね・・・ああ、やっぱり最終巻だったのですね。確かにこれくらいで終わったほうが間延びしなくて良いかも。ちょっと複雑な家庭に育ったからなのか、明里があまりに深く物事、人生を考えているのが私からするとあまりに出来すぎた子にも思えなくもありません。でもそういう明里だから、この商店街に馴染んだのでしょうし、秀司も心許したのであって、こういう明里でなければならなかったんですね。擦れてしまったアラフィフには出来すぎ感も残りますが、若い方には好まれそう。何にしてもラストが温かいのが一番ですし。ところで、太一の正体について私も物の怪の類かと思っていたけれど・・・違ったのよね?
2016.09.25
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】毒見師イレーナ [ マリア・V・スナイダー ]≪内容紹介より≫ある殺人を犯した罪で死刑囚となった少女イレーナ。ついに絞首台へと送られる日を迎えるも、そこで思わぬ選択肢を与えられるーー今すぐ絞首刑か、それとも、国の最高司令官の毒見役になるか。だが毒見役を選んだイレーナを待ち受けていたのは、逃走防止の猛毒だった。かくして少女は毎日与えられる解毒剤なしには生きられぬ身体に。わずかな生きる希望に賭け壮絶な日々に立ち向かうが……。 すごく久しぶりに読書カテゴリーをアップです。全然読んでいないわけではないのですが、それにしてもアップしてなかったなーいやー、歳には勝てない。急激に老眼が進んでおりまして・・・でも老眼鏡のお世話になりたくない。眼鏡だとまだ良いのですが、コンタクトレンズ使用中は、本当に字が読みにくいのですよ。仕事にも支障が出ている・・・(ダメじゃん)けど、もう少し粘りたい。てなわけで、読書から遠ざかっておりました。この本は時間つぶしに入った本屋で見かけて気になったので、Kindleで検索したら、ちょうどお安くなっていましたの。電子ブックなら字の大きさも自由自在ですから、迷わずポチッ殺人の罪を犯した主人公が、生きるために意に沿わない生き方を強いられる。なんとなく「ニキータ」を連想したのですよ。私大好きだったのです「ニキータ」、映画ではなくペータ・ウィルソン主演のTVシリーズの方。DVDも揃えてるそんなところから、読んでみようと思ったのです。ニキータ同様、主人公イレーナのおかれた境遇の過酷さはかなりのもの。上官ヴァレクから知らずに与えられた毒により、毎日解毒剤を飲まなければ生きていけない。その解毒剤は特殊な物で、作り方はヴァレクの頭の中にしかないので逃げられない。殺した相手の父親は国の将軍で、愛息を殺された恨みから、イレーナは常に命を狙われている。どっちを向いても生きる希望はない。そんな日々の中、少しずつ身近な人々の信頼を得ていくイレーナ。「ニキータ」なんて持ち出してきて、アクション物かとサスペンスとか思わせてしまいましたか?ところがどっこい、違うんです。勿論、アクションシーンも心理的な駆け引きもたっぷりなんですよ。でも、なんと・・・これファンタジーです。魔法使いとか出てきちゃうんですよ。しかも歳の差、格差Loveにキュンキュンちょっと予想と違った内容でしたが、これはこれで面白い。続編が出ているので、気になるところです。が、Kindleでまだあんまり安くないんですよねー三部作らしいので、ラスト巻が出たら安くなるかなー早く読みたいんだけど・・・
2016.06.11
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】テミスの求刑 [ 大門剛明 ]≪内容紹介より≫ 殺人現場付近で撮られた敏腕検事の衝撃の姿、その手には大型ナイフ、血まみれの着衣。無実を訴えたきり口を閉ざした彼に法の女神が下す審判とは?WOWOWで放送されたドラマの原作。WOWOW入っていないので、初回しか見ていないのですが、桂ちゃん出てたのよねー落とし屋といわれるほどの敏腕検事である田島が殺人事件の容疑者となる。被害者は田島とは旧知で法廷で闘ったこともある弁護士。血まみれのシャツに凶器のナイフを手にした田島が映ったビデオ。誰もが田島を犯人だと疑わないが、田島は無実を訴え逃亡。実は、この事件の根底には過去の事件が深く関係していた。容疑者への自白強要、冤罪、冤罪が生んだ受刑者の自殺、そして事件が冤罪だったと知ったその関係者達の行動と心理。ページが進むにつれ、どんどん面白くなりました。え、そっちに行くの?えっ実はこうなんじゃないの??と。私は最後まで田島が隠していた事柄に気が付かなかった。容疑者の自白強要を防ぐため、今は取り調べの状況をDVD録画しているそうです。原版とコピーを作り、手を加えられないよう封緘されるのだそう。それがこの事件の最大のポイントになっています。この作者の著作は初めて読みましたが、他にも読んでみようかなと思います。テミスとは、ギリシャ神話に出てくる女神だそうで、ギリシャ語で「安固」「不動」「自然の法則」といった意味があるそうです。そこから、「掟」「法」を意味するようになり、法の女神といわれているのだそうです。
2015.07.12
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】ドリアン・グレイの肖像 [ オスカ-・ワイルド ]≪内容紹介より≫美貌の青年ドリアンと彼に魅了される画家バジル。そしてドリアンを自分の色に染めようとする快楽主義者のヘンリー卿。卿に感化され、快楽に耽り堕落していくドリアンは、その肖像画だけが醜く変貌し、本人は美貌と若さを失うことはなかったが…。この夏、ジャニーズの中山優馬さん主演で舞台化されることになりましたね。ジャニーズに興味はないけれど、舞羽美海ちゃん(元宝塚雪組トップ娘役)が出演。チケットも確保しました。ということで、原作を読んでお勉強しておきます。オスカー・ワイルドの唯一の長編小説だそうです。私は新訳版で読んだので、表現に違和感なく読むことができました。一通りのあらすじを。若く穢れをしらない美しさを誇るドリアン。その美しさに魅かれた画家バジルは、見事なまでのドリアンの肖像を描く。己の美しさをさほど認識していなかったドリアンだったが、バジルの友人ヘンリー卿と出あったことで、己の美しさと魅力を強く意識するようになる。そして、バジルの描いた自分の肖像画を見て、「いつまでも若さを失わないのが僕で、この絵が老いていけばよいのに」と言う。そこからドリアンの人生は狂い始める。美しく天才的女優の少女シヴィルに出会い、求婚するが、ドリアンへの恋を知ったために演技に集中できなくなったシヴィルを、バッサリと捨てる。シヴィルはそれを苦に自殺。ドリアンの心の醜さを現すように、肖像画に変化が現れる。ドリアンは肖像画を人目に触れることのない部屋へ移す。そんな中、展示会にドリアンの肖像画を出品したいとバジルが訪れる。ドリアンは肖像画をバジルに見せ、バジルはドリアンに悔い改めるよう勧める。しかしそんなバジルをドリアンは殺害してしまう・・・時は過ぎ、周りの人々は老いていくが、ドリアンだけは変わらぬ美しさを保っている、その分、肖像画は彼の醜さや罪を現すかのように変貌を遂げていく。ある日シヴィルの弟に遭遇するも、変わらぬ若さを盾に人違いだと言い含める。しかし、やはりそれがドリアンだったと知った弟は彼の周りに出没。ドリアンが開いたウサギ狩りの折り、ドリアン友人の誤射により弟は射殺される。己を脅かす存在が居なくなり、これを機にドリアンは改心を決心する。しかし変わらず醜悪な肖像画を見て、この肖像画は己の良心そのものであると気づく。肖像画に切りつけようとするドリアン、響き渡る悲鳴。屋敷の使用人達が発見したのは、美しい主人の肖像画と、醜く老いた老人の死体だった。非常に利己的で自己愛的、究極のナルシズムとでも言うのでしょうか。ヘンリー卿によって目覚めさせられた美と若さへの執着から、また、バジルがあまりに精魂こめて描きすぎてしまい、バジル曰く「自分の魂そのものを描いてしまった」故に起こった超常現象。良く考えると恐ろしい。ドリアンからすれば己の本質、それも醜い部分ばかりが浮き彫りになっていくのを突き付けられ、バジルにとっては己の魂そのものを込めた美しい肖像画が醜く醜悪になった様を突き付けられる。いずれも青天の霹靂、思いもよらぬ「おまえは間違っている」的な攻撃を受けたわけで、それに対処しきれず人生を狂わされているのです。ドリアンは悔い改めたつもりでも、実は本質は変わっていない。ただの偽善だと思い知らされる。良心なんてどうでもいい、現実の自分だけが美しく素晴らしければ良い。と割り切れてしまえれば、また違った話になったのでしょうが、それではただの悪人話で面白くないですものねえ。自己愛に溺れた者は自己愛によって滅びるってことか。また、著者ワイルドは同性愛の罪で実刑を受け、その後不遇のまま亡くなったそうですが、バジルのドリアンを美しさに魅かれ、清いままの存在でおきたいという思い、ヘンリーがドリアンに己の美しさと自覚させ、いかに美と若さが素晴らしいものかを説くさまは、明確にかかれているわけではないけれど、友人の域を超えた気持ちが見え隠れしています。ヘンリーとバジルはお互いに牽制したりジャブを放っている感じで、微妙な三角関係?口の上手い(独特な論理をもった逆説家)ヘンリーに、愚直なバジルはあっさり負けるのですが。この時代の、法に抵触しない程度のBLって感じでしょうかね。美海ちゃんは、ドリアンに恋して捨てられちゃう天才女優(17歳)の役。原作の中では、ジュリエットになったりロザリンドになったり。舞台でも色々な役になるのかな。楽しみです。
2015.06.26
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菊池寛 真珠夫人≪内容紹介より≫真珠のように美しく気高い、男爵の娘・瑠璃子は、子爵の息子・直也と潔い交際をしていた。が、家の借金と名誉のため、成金である勝平の妻に。体を許さぬうちに勝平も死に、未亡人となった瑠璃子。サロンに集う男たちを弄び、孔雀のように嫣然と微笑む妖婦と化した彼女の心の内とは。話題騒然のTVドラマの原作。 大正9年に新聞連載小説として発表され、新しい女性の生き方を描いて話題になったそうです。それを裏付けるように、何度も映像化されています。そう、大分前に、一種社会現象のようになった同名昼ドラの原作ですね。私はドロドロ愛憎劇のドラマが好きではないし、ほとんど見ていませんが、「たわしコロッケ」という言葉が流行ったことを覚えています。というものの、ドラマは時代設定も異なるようですし、登場人物も異なれば、後半は全く異なる展開だったみたいですが。青空文庫になっているので、そのうち読もうとKindleに入れていました。読む本が途切れた時に、電車の中で少しずつ読んでいたのですが、初めのうちは旧仮名遣いで読みにくく、なかなか進みませんでした。それが、主人公:瑠璃子が敵の荘田に嫁ぐことを決めたあたりから、ぐっと面白くなりました。大正の時代に、理不尽な運命にただ打ちひしがれるのではなく、己の運命を滅茶苦茶にした成金男に独自の生き方を持って仕返しをしようとした瑠璃子。若き未亡人となった後は、その対象となったのは己に群がってくる男たち。彼女の美しさと教養の深さ、奔放な様に夢中になっていく男たちを指先ひとつでどうとでも好きなようにあしらう瑠璃子。恋愛ゲームを楽しもうという者もあれば、本気で慕い軽くかわされ、打ちのめされ命を絶つ者もある。しかし瑠璃子はそんなことは歯牙にもかけない。男がしていいことは女も同等にしてよいのだ。男が女を弄んでいるではないか。妾を囲っても、娼婦で遊んでも、それは当然のことのようにとらえているではないか。それなのに、男を惑わす女は妖婦だというのは、男の我儘だ。女も男を弄んで良いのだ。というようなことが彼女の言い分。確かに今の時代ならば、男女平等で当然の考え方だけれど、発表当時は、さぞ斬新な女性像だったことでしょう。これを読んで腹を立てた男性、目からうろこが落ちた女性達が大勢いただろうと思います。しかし、憎い夫の実娘であり瑠璃子の義娘 美奈子への深い愛情は紛れもない母としての、家族としての愛情であり、妖艶に振る舞っていてもなお、初恋の男性 直也へ操を立て、思い続けた姿は、純情で貞淑な乙女の心そのものに違いありません。だからこそ、きっと多くの人に受け入れられた物語なのだと思います。まあ、ベタな感じもしますが(^^;それから、文中で瑠璃子のサロンに集まる男性たちが、文学論を戦わせるシーンがあります。ここもなかなか興味深いです。とても面白かったので、是非お薦めしたいところですが、無料とは言え、いかにせん旧仮名遣いは読みにくいです。新仮名遣い版も出ているようですので、そちらを読んだ方が良いかも。
2015.06.03
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】雨に泣いてる [ 真山仁 ]≪内容紹介より≫3月11日、宮城県沖を震源地とする巨大地震が発生し、東北地方は壊滅的な打撃を受けた。毎朝新聞社会部記者の大嶽圭介は志願し現地取材に向かう。阪神・淡路大震災の際の“失敗”を克服するため、どうしても被災地に行きたかったのだ。被災地に入った大嶽を待っていたのは、ベテラン記者もが言葉を失うほどの惨状と、取材中に被災し行方不明になった新人記者の松本真希子を捜索してほしいという特命だった。過酷な取材を敢行しながら松本を捜す大嶽は、津波で亡くなった地元で尊敬を集める僧侶の素性が、13年前に放火殺人で指名手配を受けている凶悪犯だと知る…。最大の挑戦にして、最高到達点。心を撃ち抜く衝撃の社会派ミステリ誕生。阪神淡路大震災の発災直後の取材において、苦い経験をした。だからこそ、今回の震災でも被災地に行かなくてはならない、という思いを持つ新聞記者大嶽。しかし、東日本大震災発災直後に駆け付ける大嶽には、もう一つ有難くない任務があった。震災で行方不明となった仙台支社の1年生記者かつ社主の孫である松本を探すこと。取材に集中したい大嶽だが、発災当時少林寺を取材していた松本を探すために時間を取られる。運よく助かった松本だが、彼女を救う為に少林寺住職が行方不明となり、結果、命を落とした。記者の使命は、見たことをそのまま記事にすること。しかし、松本は大嶽の指示に従わず、己を助けたために命を落とした住職心赦の死について、また、自殺志願者を説得し救ってきた奇特な住職の美談として記事にした。辟易しながらも松本に記者たる者の在り方を説く大嶽だったが、その一方で松本には隠して心赦について探り始める。亡くなった心赦が握りしめていた位牌から、心赦は10年前に東京で判事夫妻を殺害、逃亡した犯人である可能性があったからだ。大嶽の記者魂に火が付いた。社会派小説です。当時ニュースで流れた被災地の様子を、改めて思い出しました。津波で何もかもなくなって、瓦礫だけが残された映像。あの時、首都圏でも地面から揺り上げられるような、外で立っていてもぐわんぐわん揺れているのが感じられました。こんなに揺れたら、地割れが起こるんじゃないか・・・とも思いました。今も復旧されないままの施設や、もとの生活に戻れないでいる方たちが大勢いらっしゃる。そう思うと、そんな状況を小説で読むのは不届きなことのようにも思えてきます。ましてや、この小説の中では、報道(新聞)のトップ層が、報道を私的な物として扱っている部分がたくさん。社会派小説では、上層部と実働部隊との軋轢、それによる矛盾の山積みなんていうのは当たり前なのかな。が、どうもこれはいけない(ただ単に、私の好みではなかった)。お嬢様育ちの我儘娘、孫に甘い新聞社主のおじいちゃん、保身・昇進の為に社主に阿る上役たち。結局最後まで消化不良で、後味が悪いまま。しかも、この話のベースに震災をもってこなくても同じように書けたのではないかとも思えて、更にうーん・・・それとも、こんな大災害の場合でも、いや寧ろこんな場合だからこそ、世の中こんな矛盾だらけなんだ、みたいなことを言いたいのか。あまり社会派小説読まないからわからないのですが、こういうのは社会派小説では王道なの?ついでに言うなら、警察を舞台にした小説を読んだ後もそうなのですが、こういう本を読むと、社会秩序を守る、社会に情報を提供する、といったお仕事をされている方にはもうしわけないけれど、どれもこれも信用ならなくなってくる。受けとめる側が、散在する情報から取捨選択せざるをえないのね、と、いつも思ってしまいます。偶然と言えば偶然ですが、今日午後8時過ぎ、小笠原諸島で震度5の地震がありました。首都圏でも、かなり大きくて長いと横揺れを感じました。神奈川県では道路にひび割れが入ったところもあるとか。怖い・・・明日(ってもう今日だけど)、赤坂に行くんだけれど、電車はちゃんと動くのかしら・・・
2015.05.30
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黒い羽-【電子書籍】≪内容紹介より≫右肩にある瑕に、君島典子は幼い頃から苦しんできた。激しい痒みと痛み。どんな治療もほとんど効果がなかった。病院を転々とした末に辿り着いた遺伝子治療という選択。典子は主治医らとともに、人里離れた山奥にある研究施設へと向かう。ところが、そこには何体もの惨殺死体が転がっていた!ここには凄まじく危険なナニカがいる…。衝撃のサスペンス・ホラー。そうとは知らずに読み始めたのですが、「ストロベリーナイト」著者の作品でした。ホラーとは書いてあるけれど、あまりおどろおどろしていない物もあるじゃないですか。ファンタジーとホラーの中間みたいな感じの。でも、ストロベリーナイトの著者となれば、かなりエグそう。ちょっと読者レビューを見たら、「夜中に読むんじゃなかった、怖すぎ~」なんてのもあって、これは失敗したかな・・・と思いながら読み進めました。でも、確かに中盤の死体描写とかはオエッて感じでしたが、それほどでもなかったかも。あ、勿論、夜中どころか夜には読んでいません(笑)全体的な印象としては、微妙。先端医療の闇の部分にほんの少し触れられたいたくらいで、医療ホラーでもなく、ホラーに最後までどっぷり徹したわけでもなく、ちょっと中途半端な感じがしました。しかも、痣だったか腫物だったかに侵食されて奇怪な姿になっていくって言う話、どこかで読んだような気もするのですが、何だったかなあ?
2015.05.10
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】思い出のとき修理します(3) [ 谷瑞恵 ]≪内容紹介より≫穏やかな交際を続ける明里と秀司。ある日「秀司の時計店を女が手伝っている」と教えられた明里は、店で骨董店の娘・郁実と出会う。東京での仕事を辞めて帰ってきたという彼女は、商店街のお祭り準備で秀司が不在がちの今だけ、店番をしているのだという。自分と境遇の似た彼女に共感を覚えつつも、秀司との関係に少しだけ不安を感じて…。切なく温かく、心を癒やす連作短編集、シリーズ第3弾。2巻を読んだ際に、次巻あたりで太一の背景が明らかになりそうと感想を書きましたが、残念。今回の太一は、彼にしてはちょっと控えめな感じで何もなし。逆にほんわか纏まった感があった明里の、実の父親の存在が明らかに。ゆったりと動いている感じの物語なのに、登場人物が皆何かしら心の澱を抱えていてそれが次々と染みだしてくる感じです。まあ、心に澱が無い人なんていないでしょうから、特別なことでもないか。今回の4話どれも切なさがたっぷり詰まったお話です。1話の「星をさがす人」が私は一番良かったかな。
2015.04.29
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】夢見の森の虎 [ コリーン・ハウック ]≪内容紹介より≫レンとの別れを決意しインドから戻ったケルシー。けれど、あの青い瞳を忘れることはできなかった。聖なる夜に再会したのもつかの間、アミュレットを狙う魔の手にレンが囚われてしまう。レンを救うには、預言の謎を解くしかない。ケルシーは黒い虎のキーシャンとともに、“世界樹”を探しにチベットへ向かうが…。呪われた美しき虎と運命の少女のラブ・ファンタジー第2弾!タイガーズ・カース・シリーズ 第2作目です。お互いにとても惹かれあっていて、気持ちを確認しているのに、なんだかんだと理由をつけて(わからなくもないけれど)離れていくヒロイン。でも直ぐに元サヤに戻って、ラブラブ。この巻の最初の方は、どこかで見たような話だわーと思いました。それは『フィフティ・シェイズ』シリーズ。フィフティシェイズのような過激エロシーンはありませんが、設定もあってかな、どうも頭の中をチラついてしかたがなかったです。どちらもヒーローは誰がみても超カッコイイ。それに対してヒロインは、本人はそんなに目立つタイプとは思っておらず、「君は自分が思っているよりずっと魅力的なんだよ」なんて言われる。だから、自分が思うよりも何故かモテる。まあ、こういうキャラクター設定は似たり寄ったりが多いですからね。と、それは置いといて、冒険、苦難の旅が始まってからは、当然フィフティシェイズとは全く趣が異なります。前作でもかなり厳しい旅だったけれど、今回もまた。しかも今回の同行者は白虎王子レンではなく弟の黒虎王子キーシャン。私、この作品が漫画やアニメだったら、まず間違いなくキーシャンを応援してると思います。白系王子様よりも、”悪ではない黒”の方が好みなのです。でも小説で、しかも先にヒロインと出会っているのがレンとなると、ここはレンに肩入れしたくなるのです。なのにっっ!救出されてからのレンは、何てことなの!ドゥルガーが「代償が必要」と言っていたことから、当然なにかあると思っていました。レンの状態はその代償なのでしょう。でもねえ、「彼女には不快さを感じさせるところがある」とか「逃げ出したくなる」そこまで言わせなくてもいいでしょう、作者さん。って感じ。全5巻、まだ半分も進んでいないし、この手の話は大抵丸く収まるからなぁ。今大騒ぎしてもしょうがないんですけれど、次巻がいつ出るかわからない。そろそろ出ても良い頃だと思うのですが、訳者さんファイト~とにかくこの先が非常に気になります。
2015.04.11
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】アクアマリンの神殿 [ 海堂尊 ]≪内容紹介より≫桜宮市にある未来医学探究センター。そこでたったひとりで暮らしている佐々木アツシは、ある深刻な理由のため世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りにつき、五年の時を超えて目覚めた少年だ。“凍眠”中の睡眠学習により高度な学力を身につけていたが、中途編入した桜宮学園中等部では平凡な少年に見えるよう“擬態”する日々を送っていた。彼には、深夜に行う大切な業務がある。それは、センターで眠る美しい女性を見守ること。学園生活に馴染んでゆく一方で、少年は、ある重大な決断を迫られ苦悩することとなる。アツシが彼女のためにした「選択」とは?先端医療の歪みに挑む少年の成長を瑞々しく描いた、海堂尊の新境地長編!『モルフェウスの領域』の続編。モルフェウスがとても印象的だったので、続編のこちらはちょっとインパクトに欠けるかな。特に前半が学園物色が強く、しかも主人公アツシの友人が個性的すぎて、やりすぎ感が。コールドスリープで現実世界での成長過程を過ごしていないアツシに、中学生活を経験させる必要性も、麻生夏美も外せない人物だというのもよく分かる。それだけでは面白みが少ないし、ただ深刻なだけな話になってしまうので、他に個性ある登場人部が必要だとうは思うけれど、北原野麦ちゃんはちょっと行き過ぎキャラで、私にはウザッとなるタイプ。大概にして、海堂作品には強烈な個性の登場人物が多いですけれどね(^^;読み進めていくうちに慣れていったけれど、初めのうちはあまり面白味を感じませんでした。根本的に、私はこの作者に学園物を求めていないのだと思います。後半はグッとシリアス度が増し、ああ海堂作品にはこういうのを求めているのよ!と思いました。アツシ、夏美、コールドスリープから目覚めた涼子のその後について気になります。更に続編を期待したいです。それから・・・何だかんだと、怖い物見たさで野麦のその後についても、海乃藻屑賞は受賞できるの?
2015.03.30
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】金持ちゾウさん、貧乏ゾウさん [ 本田健 ]≪内容紹介より≫お金が紙くずになるXデーに備えよ!金持ちゾウさんと貧乏ゾウさんが繰りひろげる、笑いと感動のビジネス寓話。昔、炭鉱で栄えたカネー村。そこに降って湧いた投資話に、村のゾウ達が次々と巻き込まれていく…。果たして、カネー村のお金はどこに消えたのか?「お金と幸せ」がライフワークの著者による、作家デビュー10周年の記念作、待望の文庫化!子どもが大きくなるにつれ、教育費はかさむ一方。でも、サラリーマン家庭において、大きな増収入は見込めません。お金に無頓着な私も、少しはお金についてお勉強してみてもいいかも。と思い読んでみました。私のような経済事情無頓着、初心者向けの一冊です。ハウトゥー本なのかなと思っていましたが、ゾウの世界のカネー村で実際にあった出来事を、軽い読み物としてわかりやすく書かれています。子どもが読んでも良いかも。
2015.03.19
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】【まとめ買いでポイントアップ_KDKW】ローマ帽子の秘密 [ エラリ・クイーン ]≪内容紹介より≫ブロードウェイのローマ劇場で異常事態が発生。劇の進行中に、ほぼ満席状態の観客席から男の毒殺死体が発見されたのだ。騒然とする劇場に颯爽と現れたのは市警きっての名捜査官リチャード・クイーン警視。そしてその息子で、推理作家にして天才探偵のエラリー・クイーン。劇場から忽然と消え失せた被害者のシルクハットの謎を追う!ミステリ史に残る大傑作“国名シリーズ”が、新しいエラリー像と決定的訳出で華麗に開幕。 先に読んだ『災厄の町』がとても面白かったので、それに先んじてエラリーが登場する「国名シリーズ」を読んでみました。国名シリーズは、文中に細かい伏線や手掛かりがたくさんあり「読者への挑戦状」と言われているそうな。でも私、推理小説を読むにも、あまりあれこれ推理して読むほうではなく、(じゃあ、推理小説読む意味ないじゃん!ってツッコまないで(>_
2015.03.17
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児童文学作家の松谷みよ子さんがお亡くなりになったそうです。松谷さんの作品には、私もお世話になりました。『ふたりのイーダ』は知り合いのおば様からプレゼントしてもらったっけ。『ちいさいモモちゃんシリーズ』は、最初は絵に魅かれて、一冊読んで話も素敵で揃えました。今でも本棚に並んでいます。途中でモモちゃんのご両親が離婚して、正直衝撃を受けました。子ども向けの本に、こんなお話って・・・って。あたたかい文章だけれど、ただ優しいだけではない。現実の無常さ、厳しさも描かれた作品は、子供心にも強く残りました。そして、自分に子供が産まれて、子供たちに買ったの本の中には、『いないいないばあ』『おさじさん』等があります。子供たちも「いないいないばあっ」ってやるのが好きだった。あの頃は無邪気でとっても可愛い子だったのに、今ではとんでもなく生意気なティーンエイジャーです。これからも、変わらず多くの人達に読み続けられることでしょう。モモちゃんシリーズ、久しぶりに読み返してみようかな。ご冥福をお祈りいたします。私が持っているのはこれ文庫本タイプです 【中古】文庫 ちいさいモモちゃん / 松谷みよ子【画】
2015.03.09
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】僕の光輝く世界 [ 山本弘 ]≪内容紹介より≫とある事件で視力を失った少年・光輝。彼は、聴覚・触覚・嗅覚情報などをもとに脳が創り出すイメージにより、目が見えていなくとも、本人にはまるで視覚があるように感じられる形質を獲得する。それは、アントン症候群と呼ばれる、極めて珍しい症例だった。そんな、光輝の前に訪れる奇妙な謎。-消失する少女、突如変貌する世界、そして幽霊殺人事件…。彼は自らの想像力を駆使し、事件に立ち向かう。謎を解き、恋をし、少年は成長する。傑作青春ミステリー、ここに誕生!両親の離婚により、20歳の姉と二人暮らしをしている高根沢光輝。アニメやライトノベルが好きで、漫画家を目指す高校一年生。中学では、親の離婚が原因で理不尽ないじめにあっていた。同じ中学の子がほとんどいない少し離れた高校に通っていた。最初のうちは友達づきあいも上手くいっていたが、どこからか中学時代の噂が聞こえてきたのか、しばらくすると、周りには誰もいなくなっていた。ある日、橋の上で夕日に見とれていると、誰かに背中を押された。とっさに振り向くと、そこには黄金仮面がいた。更には、橋桁にしがみつく光輝の足をつかみ、橋の下へと突き落とされた。脳に大きな損傷を受け、奇跡的に命を取り留め、特に障害も残った様子はない。ところが、実はアントン症候群という病態失認で、光輝の目は視力を失っていた。本人は脳が作り出すイメージから、目が見えないことに気が付かないことから、周囲の者も気づくのに時間がかかる症例だという。実際の目は見えなくなったが、その代わりに不思議な能力が備わった。その不思議な能力で、ミステリーの謎解き、本当に起こった殺人事件の真相に迫っていく。いじめ、そして突然の殺人未遂事件により視力を失った15歳の少年。暗いイメージですが、キラキラした明るい未来を予感するような表紙です。アントン症候群(初めて聞きました)の特徴のひとつとして、多幸感があるそうです。そのため、以前は奥手で大人しかった光輝が、視力を失うという状況にも、くよくよせず、却って明るくポジティブになります。初めて会った女の子(光輝の脳が作ったイメージでは理想的な美少女)に、「お見舞いに来てほしい」と言えてしまうほどに。実は、そのその女の子は中学時代に光輝をいじめていた同級生の妹だったのですが、それを知っても、姉に反対されても好きなものは好き。友達以上、恋人未満みたいな付き合いから、積極的に前進しようとしています。また、その彼女がなんとも言えないキャラクターでしてね。そんなことから、光輝の未来は明るいぞ~!前へ前へ進んで行こう!という気持ちにさせてくれる一冊です。
2015.02.24
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】災厄の町〔新訳版〕 [ エラリイ・クイーン ]≪内容紹介より≫ 結婚式直前に失踪したジムが、突如ライツヴィルの町に房ってきた。三年の間じっと彼の帰りを待っていた婚約者のノーラと無事に式を挙げ、ようやく幸福な日々が始まったかに見えた。ところがある日、ノーラは夫の持ち物から奇妙な手紙を見つける。そこには妻の死を知らせる文面が…旧家に起きた奇怪な毒殺事件の真相に、名探偵エラリイが見出した苦い結末とは?本格ミステリの巨匠が新境地に挑んだ代表作を最新訳で贈る。エラリイ・クイーン・・・ミステリー界では有名な方なのですね。作品名を見ると『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』って、文庫本の後にある〇〇文庫の本とかで、良く見かける。夏樹静子『Wの悲劇』が映画化された時、てっきり”XYZの悲劇”も彼女の著書だと思って、あれ、外人さんの作品なんだーと思った記憶が・・・(^^;『災厄の町』は、日本では『配達されない三通の手紙』として映画化されたものなのですね。小学生くらいだったので見ていませんが、そのタイトルは良く覚えてる。そうそう、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』とタイトルが妙に似てると思った記憶がありますよ。横道にそれました。海外文学は、訳のせいもあるのかどちらかと言うと読み難いという印象です。なので、これまでこの著者の作品は全く読んでいませんでした。今回読んだきっかけは、図書館の新刊検索で「新訳版」がヒットしたことでした。内容もちょっと面白そうだし、と思って読み始めると、止まらない止まらない。登場人物が多いのがちょっと難でしたが、皆個性的で魅力的。伏線と思われる所が、幾つもあり、きっとこれが後で関係するのよ!と、私自身がちょっと探偵気取りになっていました。翻訳されたのは随分前のことなので、今更ネタバレもありませんが、詳細は伏せますね。でもここだけは言わせて!(笑)エラリイが最後に関係者二人だけに明かした真実、三通の手紙が誰に宛てた者だったのか、何時書かれたものだったのかという所、私もそこが突っ込みどころでしょう!って思ってましたよ。だから、半分はああ、やっぱりね~という感じでしたが、それでも面白かったんです。解説を読むと、今回の翻訳(越前敏弥)がとても上手に訳しているようです。この作品の他にも、新訳版がいくつか出ているので、そちらも是非読んでみようと思います。ところで・・・作者のエラリイ・クイーンは、二人の人物の共同著作の際に使うペンネームなのだとか。そのお二人の写真が載っていたのですが、お一人が何となーく、名探偵ポワロの様に見えて。そのせいか、作品の中のエラリイを最初うちはポワロみたいなおじさんをイメージしてたんです。ところが、途中で(早い段階でですよ~)こんなおじさんに若い男性が嫉妬するわけがないよねーとなり、調べてみました。おーっ!この小説家エラリイはなんと1905年生まれ。身長は6フィート(約183センチメートル)とな。この作品の舞台は1940年なので、35歳の好男性となりますね。ポワロ氏とは似ても似つかないわ。
2015.02.15
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沈黙の騎士(ハーレクイン)トーリ・フィリップス≪内容紹介より≫フランスから来たセレスト姫はイギリスにうんざりだった。道中、信じられないくらいの災難続きで、とても婚約者の待つ北の辺境までたどりつけるとは思えない。嘆く姫に、神は自らのしもべを同行者としてつかわした。教会のステンドグラスから抜け出てきたかのような、神々しいまでの美貌の修道士、ブラザー・ガイを。それはブラザー・ガイにとっては迷惑な話だった。女性がうとましくて、憎門をくぐったのに、誘惑がドレスを着て歩いているような娘の供をせよとは!彼は沈黙の誓いを立て、ひたすら無表情を保つことにした。 キャヴェンディッシュ家シリーズの第1作ヒストリカルは全く面白くないものと、後半になってグンッと面白く感じるものがあります。これは後者でした。最初のうちは、なんだか乗らないなーと思っていましたが、気がついたら先が気になってしかたなかった。登場人物がかなり個性的だからかもしれません。正直いうと、ヒーロー&ヒロインはそんなに魅力的ではありません。セレストのガイに接する態度は、女の目からみるとちょっとねーと思いますし、対するガイも頑な過ぎて、あー面倒くさい人!と思ってしまいます。でもまあ、これは俗世の女性、国王の女性関係に嫌気がさして僧門を選んだのだからまあ致し方ないのかな。そうそう、この国王ってヘンリー8世ですよ。アン・ブーリンの名前が出てきたもん(英語多読のお陰で背景がわかった)。それに、それがあったからこその結末なのですから。そして何と言っても、悪役が際立ってる。セレストの婚約者は、素行の悪さから騎士に名を連ねることが出来なくなり、更には身を持ち崩しての梅毒病み。その父は妻子が亡くなったばかりだというのに、後継ぎ欲しさ&お馬鹿息子の若く美しい婚約者んい目がくらみ、横取り。そして考えることは夜伽のことばかり。この親子があまりに色ボケ、粗暴すぎるので、ガイの色男ぶりが際立つのかも。ところで、ハーレクインを読んでいて思うのは、ヒストリカルのヒロインって自己中すぎ。ヒストリカルヒロインはお姫様が多いからってことなのでしょうが、そこのところが気にいらないことが多かったります。
2015.02.11
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】相手をイラつかせない怒らせない話し方と聞き方のルール [ 竹内幸子 ]≪商品説明より≫【内容情報】(「BOOK」データベースより)あなたのその無意識な言動が相手を怒らせているのです。「怒られやすい」あなたを救う39のルール。【目次】(「BOOK」データベースより) 初動の30秒間はただイエスを引き出し、怒りや不機嫌をよい印象に塗り替えていく。/自信がない人の共通点。マイナスの言葉で相手をイラつかせている。/会話のなかには「地雷」が埋め込まれていることがある。人をイラだたせたり、怒らせる地雷言葉を使っていませんか?/否定形を使わないコミュニケーションは「ノー」を喜びの「イエス」に変えてしまう。/相談されたら、相手の背中を押す同意脳コミュニケーションで応え、納得、喜びのエンディングにもっていく。/解決策を求められたら、「せ・か・し・て」トークで相手が望む解決策へ導いていく。/怒らせないコミュニケーションのカギは、一にも二にも、「聞く」こと。「なんて」を封印すると、「聞く力」が身についてくる。/「申し訳ございません」を禁句にすると、コミュニケーションの幅を広げるトレーニングになる。/相手の「文句」を拾って会話に散りばめると、プロが使う謝罪バリエーションが生まれる。/モノは言いよう。言葉の順番を変える、表現方法を変えると、「怒られる人」から「いい人」へ転換できる。〔ほか〕タイトルだけ見ると、私にピッタリの本です。よく夫に言われるんです、私。人が話している時に被せて話すな、とか、人の気持ちがくみ取れないやつだなーとかね。んー、まあ、こういうと怒るだろうなーとかわかっているんですけれどね。S(言葉でいじりたいタイプ)とM(いじられたいタイプ)どっち?と言われたら、完全Sなので。職場でも、「でたっ、S発言」てよく言われる。ちなみに、うちの職場はSとMが半々くらいなので、丁度いいんですよなんてこともあるけれど、ちょっと興味を持ったので読んでみました。読んでみると、39のルールで構成されていて、結構面白い。自分でも直さなくちゃと思っていることで、ドンピシャ当てはまることもありました。ってことは、やっぱり直さなくちゃねー(^^;珍しく、手帳に色々ノートを取りました。否定形封印、「申し訳ありません」封印とか。ただ、後半に入ると、前に出てきたルールの焼き直し的な物や、「申し訳ありません」封印って言ってるのに、結局言ってるじゃん。絶対言わないで通してみてよ!と天邪鬼的な感想を持つ部分がありました。ま、でもいくつかは実践してみてもいいなーと思います。ご機嫌斜めになりそうな時の夫に使ってみましょうか。
2015.01.31
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】Nのために [ 湊かなえ ]≪内容情報より≫ 「N」と出会う時、悲劇は起こるー。大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。台風による床上浸水がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。それぞれにトラウマと屈折があり、夢を抱く三人は、やがてある計画に手を染めた。すべては「N」のためにー。タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件。そして、その真実をモノローグ形式で抒情的に解き明かす、著者渾身の連作長編。『告白』『少女』『贖罪』に続く、新たなるステージ。登場人物は姓名のいずれかが必ず「N」。彼らが出会うきっかけとなる場所が「野バラ荘」でN。誰もが誰かNの為に、と良かれと思って行ったことが思惑とは別の物になってしまう。往き場の無い愛、報われない愛、独りよがりで理解されない愛、人によって受け止め方はさまざまだとは思いますが、やるせない愛が受け皿から溢れだしてしまったという印象です。ただ、読んでいて直ぐに、どこかで読んだ感がありました。この本自体は、間違いなく初めて読むのですが。Nの一人、西崎が書いた小説『灼熱バード』については、作中では一部の人を除いて評価されていませんが、私は結構面白いと思いました。別に虐待物が好きとか、そんなのではありませんが、登場人物のどうにもならない愛情(思い込みともいえる所もあります)を、切々と感じる。で、この作中小説の「顔を傷つける」シーンを読んでいて、ふと出てきた画像があります。梶原一騎の劇画『愛と誠』。『愛と誠』で座王権太が高原由紀を思うあまり、自ら顔に硫酸をかけて愛を証明するシーンとこの『灼熱バード』の男が女の顔を傷つけ、彼女に愛の証拠を求めるシーン。傷つける手段や、自らor他人による所なのか、背景等については、全く異なるにもかかわらず、私の中ではビジュアルとして同等なのか、鮮明に権太の顔が浮かびました。そういえば『愛と誠』も、それぞれが誰かの為の、報われない愛(とくに岩清水くんね)が描かれてましたっけ。こういうテーマは昔から、不変のテーマなのでしょう。個人的には、ハッピーエンドが好きだけれど、たまにはこの手の話も良いですね。
2015.01.28
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】秘密(上) [ ケイト・モートン ]≪上巻 第二表紙より≫1961年夏、紗ワーク。少女だったローレルは偶然、恐ろしい事件を目撃する。突然現れた見も知らぬ男の胸に、母がナイフを突き立てたのだ。ローレルはショックで気を失ってしまう。男は死亡し、その正体は当時、近隣に出没していた連続強盗犯と判明。ローレルの証言もあり、母の正当防衛が認められた。ローレルはあのとき男が近寄りながら「やあ、ドロシー、久しぶりだね」と母に声をかけたことを警察には話さなかった。男は母を知っていたのだ。そして母も男を知っていた。彼は誰だったのか?2011年、ロンドン。国民的女優となったローレルは、死期のちかづいたははの秘密を探り始める。なぜ、母はあの男を殺してしまったのだろう?彼と母のあいだに何があったのか?そして、母の本にはさまっていた写真の見知らぬ女性は誰なのか?その本に残された署名・ヴィヴィアンとは誰の名なのか?母と同じような人生ではなく、自分の思うままの人生を歩みたいと家を出たローレル。実は母ドロシー(ドリー)も、その母ジャニスも若い頃にはローレル同様、都会を夢み、他人に注目されたい願望を持っていた。しかし、最終的に行きついたのは、若かりし頃に思い描いた人生とは別の道。恋人ジミーを追ってロンドンに出てきたドリー。仕える老婦人宅の向かいに住む、作家の妻、美しいヴィヴィアンに憧れ、国防婦人会に入る。自分とは異なる上流世界に暮らすヴィヴィアン、特に言葉を交わしたことはなかったが、二人の間には特別なものがあり、友人だと思い込んでいたドリー。ロンドンに出て来る時には、ジミーと結婚したいと思っていたのに、ヴィヴィアンにはジミーのような人(上流ではない)を紹介できないと思い、プロポーズを受け入れることが出来ない。そんなある日、ヴィヴィアンの忘れ物を届けに行ったドリーに、ヴィヴィアンは夫の前で、友人ではない、隣人の使用人だと冷たい目で言い捨てる。ヴィヴィアンの態度にショックを受けるドリー。しばらくして雇い主の老婦人が亡くなり、遺産の大部分を自分が貰えると思い込んでいたドリー、しかし、彼女に遺されたのは着古された毛皮をはじめとした僅かな衣類だけだった。これはヴィヴィアンが老婦人にドリーのことを告げ口したからだと思い込み、逆恨みをしたドリーは、ある計画を思いつく。この計画が、ドリー、ジミー、ヴィヴィアン、ヴィヴィアンの夫ヘンリーの人生を大きく狂わせるとも知らずに。この作者の作品は初めて読みました。訳者(青木純子)の力なのか、作者ケイト・モートンの筆が素晴らしいのか、とても読みやすい文章で、先が気になりあっという間に読みました。死期の迫る母ドリーの秘密を長女ローレルが謎解こうとする現在と、ドリーとヴィヴィアンの子ども時代~戦時中の娘時代までの過去を行きつ戻りつしながら話は進んできますが、年と場所が章タイトルになっているので、分かりやすいです。若い頃のドリーは、気ままで思い込みが激しく、友人として付き合いたいタイプではありません。それでまた、ドリーが立てたヴィヴィアンに対する復讐計画(本人曰く懲らしめ計画?)が、なんとも稚拙で、そういう方向に行っちゃうんですかーー と思うようなもので、自己顕示欲が強いドリーが考え付きそうなことと言えば、まあそうなのですが。ここで一気にドリーの株が下がりました。母となってからのドリーは素敵なんですけどねぇ。ヴィヴィアンの方が奥行のある女性だと思います。わりと早いうちに、なんか話が読めちゃったよー、と思っていたのですが(でも面白い)、これは思いつかなかったー という、思わぬ大どんでん返しが待っていました。いやいや、最後の最後まで手を抜かず、という感じです。私、邪道と知りつつも、時々ラストを確認してから読むことがあります。怖くて先が気になって読めなくなってしまう時があるんですよ・・・これは先が読めたと思っていたので、そんなことはしませんでしたが、先にラストを確認してたら、面白さ90%(いや、それ以上?)減でしたね。きちんと流れに沿って読まなければいけない作品です。オマケ・・・ロマンス小説でもないのに、主要登場人物が、皆、美男美女というところも、嘘くさいけれど気に入りました。
2015.01.18
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思い出のとき修理します2 明日を動かす歯車-【電子書籍】≪内容紹介より≫寂れた商店街の片隅に佇む、「おもいでの時修理します」という不思議なプレートを飾った飯田時計店。店主の時計師・秀司と、彼の恋人で美容師の明里のもとを、傷ついた記憶を抱えた人たちが訪れる。あの日言えなかった言葉や、すれ違ってしまった思いー家族や恋人、大切な人との悲しい過去を修復できるとしたら?切なく温かく、心を癒す連作短編集、シリーズ第2弾。文庫書き下ろし。前作で恋人同士になった明里と秀司。人に甘える事に慣れない明里が少しずつ秀司に気持ちを素直に表していくようになります。ちょっともどかしいけれど、微笑ましいです。不思議な存在感の太一、少しずつ彼の背景が明らかになりそうな感じになってきました。次作くらいで、何か動きがあるかな~と期待。「きみのために鐘は鳴る」は、過去と現在の間に存在する不思議な領域とでもいうのか、ちょっと恒川光太郎の作品によくあるような感じがします。でも、もっとずっとライトな感じですけれど。「未来を開く鍵」では、とても立派なホールクロック(柱時計)が出てきます。振り子が付いていて、ゼンマイで巻いて動くものです。子供の頃、といっても中学生くらいまででしょうか、家にも柱時計があり動いていました。大きさはせいぜい40~50cmくらいだったと思いますが。両親の結婚祝いか何かだったのか、裏に金色の文字で何か書いてあったっけ。毎朝、振り子の両脇にある穴に巻き鍵(と言うのね、この本で知りました)を差し込んで、母がクルクル回してました。私が大きくなるにつれ、毎日巻いていても段々遅れてくるようになり、そのうち巻くことはなくなり壁に掛かっているだけになってたけれど。実家を新築する時にきっと処分したのでしょう。今はもうありません。あー、懐かしいなあ。
2015.01.03
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ボヴァリー夫人-【電子書籍】≪内容紹介より≫ 田舎医者ボヴァリーの美しい妻エマが、凡庸な夫との単調な生活に死ぬほど退屈し、生れつきの恋を恋する空想癖から、情熱にかられて虚栄と不倫を重ね、ついに身を滅ぼすにいたる悲劇。厳正な客観描写をもって分析表現し、リアリズム文学の旗印となった名作である。本書が風俗壊乱のかどで起訴され、法廷に立った作者が「ボヴァリー夫人は私だ」と言ったのは、あまりにも有名である。タイトルは知っていましたが、悲劇となると敬遠しがちな私。今まで全く読む気が無かったのですが、何の気の迷いか、読んでみる気になりました。悲劇でも、『アンナ・カレーニナ』のように面白いものもありますからね。ボヴァリー夫人こと美しい主人公エマ。母を亡くし牧場経営をする男親に育てられ、行ってみれば世間知らずの田舎のお嬢さん。父の怪我を治療した医師シャルル・ボヴァリーに見初められ、後妻になる。現実と憧れる虚飾の世界に上手く折り合いがつけられない上に、夫の凡庸さに直ぐに嫌気がさして、結婚したことを後悔する。そんな彼女に魅かれる書生レオン。互いに魅かれ合うが、どちらも一歩を踏み出すことが出来ずレオンは離れた土地へ行く。その後、伊達男のロドルフと不倫関係になり、駆け落ち直前にロドルフに逃げられる。エマは精神を病んでいく。レオンと再会したエマは、レオンとも関係を持ち、週一回の逢瀬を重ねていく。また、彼女の贅沢好きを見抜いた商人ルウルーに上手く乗せられつけで買い物を重ねる。つけ買いの額は膨大で、財産は差し押さえになる。どうにもならなくなったエマは、隣家の薬剤師オメー宅で砒素を食べ自殺を図る。夫シャルルはエマの死後、不倫の証拠の手紙を見つけるまで、彼女の不倫に全く気がつくことはなかった。エマの死後、名誉も財産も全て失ったシャルルは病死、幼い娘ベルトが残される。祖母に引き取られるも直ぐに祖母が亡くなり、ベルトは貧しい叔母に引き取られ生計を立てるために工場へ働きに出される。あまりに凡庸、夫婦生活も淡泊すぎるシャルル。妻の不貞を露ほども疑わず、相手の男性のことも良い人だと思っている。更には、妻が自分を遠ざけるような時は、精神を病んでいるせいで、逆にちょっと優しくなったりすると、自分は妻に愛されていて幸せだ~なんて思う。勿論、自分は妻と子供が大切だから、女遊びなんて全くしないし、意見が合わなくても、最終的には全て妻の言う通りにする。良く言えば単純で操縦しやすい、真面目な夫。言い換えれば、愚鈍すぎ、でしょうか。長年連れ添った熟年夫婦なら、それもいいでしょうが、新婚でこれは魅力なさすぎ。エマでなくても、大抵の女性は直ぐに嫌になるわーと言って、エマの行動は容認できるものではなし。もしロドルフやレオンと一緒になっても、結局はその生活だけでは満足できず何か別な物へ走るタイプの女性なんだろうと思います。エマの行動に共感できる部分は少ないのですが、シャルルに対する気持ちは同じようなものなので、エマはまだ若いし、うーん致し方ないかなぁ…と言う感じです。シャルルがもうちょっとしっかりしてればねえ。女性からしたら、全くもって魅力なし。全体的には、薬剤師オメーがあれこれ御託を並べているところ(長いわオメーの話)以外は、とっても面白いと言うほどではないけれど、割と読みやすかったです。
2014.12.19
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】思い出のとき修理します [ 谷瑞恵 ]≪内容紹介より≫仕事にも恋にも疲れ、都会を離れた美容師の明里。引っ越し先の、子供の頃に少しだけ過ごした思い出の商店街で奇妙なプレートを飾った店を見つける。実は時計店だったそこを営む青年と知り合い、商店街で起こるちょっぴり不思議な事件に巻き込まれるうち、彼に惹かれてゆくが、明里は、ある秘密を抱えていて…。どこか懐かしい商店街が舞台の、心を癒やす連作短編集。素敵なタイトルだと思いませんか?ちょっと切ない気持ちと温かい気持ちが溢れていそうな、そんなイメージが湧くタイトル。上手なネーミングだなあ、若い子が飛びつきそう、なんて思いました。で、若いからは程遠いアラフィフの私も手を出してみました。美容師として有名チェーン店で働いていた明里。先輩美容師に失恋、職場でのポジションも自力で得た物ではなく、彼の計らいだったと知り退職。今は貸家となった、子供の頃にひと夏を過ごした祖父母の家(美容院)で暮らすことにした。そこは時代に取り残されたような、さびれた商店街。斜め向かいには、「思い出の時 修理します」と小さなプレートが飾られた時計屋。人に話したくない過去の何かを抱えている、明里も時計屋店主の秀司。各話に出てくるメインゲストも過去の出来事にとらわれている人達。過去と現在を上手く行き来(タイムトラベルとかではありません)しています。秀司の持つ雰囲気や、極端に若い登場人物が少ないことも助力しているかと思いますが、全体的に、柔らかいふんわりしたお話です。そんな中、大学生で神社の社務所に住んでいる金髪・ピアス・鎖ジャラジャラな太一の存在は、この物語には少々煩いと感じましたが、話が進むにつれ、良いスパイスを与えていると思いました。また、最初の話あたりは、ちょっと説明が多すぎるようにも思いましたが、こちらも読み進めていくうちに、気にならなくなりました。若い子に人気があるのかなーと思っていたのですが、レビューを見ると、意外や意外40~50代の人に人気があるみたいです。50代男性の評価が高いのにびっくりです。2巻が既刊、3巻が今月発売予定のようです。コミックもあるんですね~思い出のとき修理します 1-【電子書籍】
2014.12.06
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