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Jan 25, 2005
『アララトの聖母』(終)
(2)
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****************
映画作家のエドワード・サロヤン(シャルル・アズナブール)は、聖なる山アララトの麓で起きたアルメニア人虐殺の史実を映画にするため、カナダのトロントに撮影にやってきた。
彼は、その虐殺で母を亡くした画家アーシル・ゴーキーに注目し、少年時代の彼を映画に登場させようと、ゴーキー研究家の美術史家アニ(アーシニー・カンジャン)に撮影の顧問を依頼した。
未亡人のアニには二回の結婚歴があり、最初の夫との息子ラフィは、死んだ父親がテロリストなのか英雄なのか悩んでいた。二度目の夫の娘シリアは、ラフィと恋人関係にあり、自分の父親の事故死の原因がアニにあると考え、彼女を激しく憎んでいた。
サロヤンの映画がクランク・イン。
敵役のトルコ人総督には新人のアリ(トルコ系ハーフ)が抜擢された。アリには同性の恋人フィリップがいたが、そのことで、フィリップと空港関税検査官の父デイヴィッド(クリストファー・プラマー)の関係はこじれていた。
撮影現場でラフィは雑用係として働いていたが、映画の内容に触発され、父の真実を知るためにアララトへと旅立っていった。やがて帰国したラフィは、空港の税関でデイヴィッドの取り調べを受けた。彼が持ち帰ったフィルム缶の中身が麻薬ではないかと疑われたのだ。ラフィはディヴィッドに、故国アルメニアへの旅で体験した喪失と回復の歴史を語り終え、解放された。そして、ラフィは、息子の身を案じて空港へと駈けつけたアニと固く抱き合うのだった。
***************
エゴヤン監督がこの映画を作ろうと思い立った理由は、作中で映画作家のエドワード・サロヤン(シャルル・アズナブール)が代弁しています。
民族や土地を失ったせいではない。
我々がいまも憎まれているからだ。
なぜ彼ら(トルコ人)はこんなにも我々を憎むのか。
なぜ今も事実(アルメニア人虐殺)を否定するのか。
そして我々を憎む。より一層の憎しみで。
我々の痛みとは、民族や土地が失われたことではなく、
今もアルメニア人というだけで憎まれ、
民族としてのアイデンティティを否定されているということの痛みだ。”
アイデンティティというものは、「事実」が人間の肉体に蓄積されることによって育まれていくものです。
「事実」とは、親兄弟との関係、言語、生活様式、文化、肌の色、そして共同体等における経験や歴史のことです。
ところで、事実とフィクションとを(現実と夢とを、真実と虚偽とを)分け隔てるものは何でしょうか。
ある事象を事実であると人が確信しうるのは、その事象を何度でも反復して結果の同一性を確かめることができるからです。
いま目の前にリンゴがあるとします。人がそのことを事実と確信するのは、何度みてもそこに同じ色、形、臭い、肌触りの「リンゴ」があるということを確認できるから(または、そのような確認作業によって同じ結果がえられるであろうことが高い蓋然性でもって確信できるから)、さらには、他者による確認作業よっても同じ結論に達しうるから(または、そのことが高い蓋然性でもって確信できるから)に他なりません。
アイデンティティの話に戻りましょう。
アルメニア人、とりわけ外国に住むアルメニア人にとって、1915年のアルメニア人虐殺(強制移住)は決定的に重要な「事実」です。なぜなら、アルメニア人たる自分が何故外国に居住しているのか、という問いに対する答えがここにあるからです。つまり、アルメニア人虐殺を生きのびた祖先たちが外国に逃亡したから、という「事実」がその答えです。
自分のアイデンティティの根拠としてアルメニア人を据える場合、この「事実(歴史)」は決定的に重要な意味合いを有します。エドワード・サロヤンが述べているように、母親からこの事実を物語りとして繰り返し繰り返し聞かされて、彼はアルメニア人としての自覚を育んできたのでした。
映画のなかで、アルメニア人のラフィとトルコ人(ハーフ)のアリとの間で、以下のような会話が交わされます。
ラフィ: 本気で言ったんですか? 虐殺は事実じゃないと。
アリ: 僕は虐殺の話を知らずに大人になった。
役のため下調べで”強制移送”について知った。
多くの人間が死んだ。第一次世界大戦だったからね。
ラフィ: トルコはアルメニアと戦争していなかった。
ドイツもユダヤ人と戦争していなかった。
彼らは守られるべき市民だった。
あの場面は事実にもとづいています。
あなたが演じた総督は、アリメニア人を殲滅するために
ヴァンに送り込まれた。
電報や公文書で・・・・。
アリ: ”何か”が起きなかったとは言っていない。
ラフィ: ”何か”?
アリ: 僕はカナダ生まれだ。君もそうだろ。
ここは新しい国だ。
過去の嫌な出来事は忘れて仲良くやろう。
誰も君の家を壊さないし、家族を破滅させない。
だからシャンパンを抜いて一緒に乾杯しよう。
ラフィ: ヒトラーは”ユダヤ人絶滅計画”を
将校たちにこう説明した。
”アルメニア人絶滅を誰が覚えている。”
アリ: 誰も覚えていない。今も昔も。
被害民族(アルメニア人)であるラフィは、このように、加害民族(トルコ系)のアリという他者から、自らが信じる物語の事実性を共有することを拒否されてしまったわけです。
ここでは、アルメニア人(ラフィ)とトルコ人(アリ)のアイデンティティが衝突しているわけですね。
実は、この映画では、他にも、自らが信じる物語と「事実」との間の乖離に悩むシーンがあります。
・ラフィ: 死んだ父親が単なるテロリストだったのか、それとも「自由の戦士」たる英雄だったのか。
・シリア: 死んだ父親は事故だったのか、それとも母親(アニ)に追いつめられて自殺したのか。
・フィリップ: 自分の息子は同性愛にはしり、堕落してしまったのではないか。
・本映画のモチーフとなった、母親の手が白く塗りつぶされたアーシル・ゴーキーの絵(「芸術家と母親」)にしても、ゴーキーの絵画は未完だったのか? それとも完成後、母の手は消されたのか? という問いが提示されます。
この母親の手は、虐殺とその後のトルコ側の否定によって祖国の温もりを失ったことのメタファなのか、それとも単なる未完なのか。
エゴヤン監督はアルメニア人ですから虐殺の悲惨さを描いてはいますが、あくまで「劇中劇」としてそうしています。つまり、完全無欠の「事実」として押し付けるようなまねは決してしないわけです。
彼は、アルメニア人虐殺とトルコによる否定いう悲観的現実から出発して、物語と「事実」との間の隙間を埋めることの困難さという、より普遍的なテーマへと射程を広げてゆきます。そして、双方の間の隙間を埋めることが極めて困難であるがゆえに、アルメニア人の心の慟哭の深さや閉塞感というものがよりいっそう伝わってくる内容となっています。
最後に、引退間近い税関検査官のデビッドを演じ、息子の同性愛が理解できずに苦しんでいましたが、ラフィとの出会いによって「真実」(物語と「事実」との間の和解)を受け入れる気持が芽生えていく様子を見事に表現しきった、クリストファー・プラマーが特に印象に残りました。
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Last updated Jan 26, 2005 01:28:02 AM
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