グランマの手料理レシピ

2023年02月23日
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カテゴリ: 豚肉料理
​ 豚ヒレ肉は脂肪分が少なく、叩くことで繊維が壊れて柔らかくなります。
お酢入りの照り焼きにすると、さっぱりして美味しく食べられます。

​​ 豚ヒレ肉の照り焼き ​​


豚ヒレ肉    120~130g
塩       少々
片栗粉     適量
油       小さじ2
ブロッコリー  適量
人参      適量


【調味料】酢    大さじ1
     醤油   大さじ1
     みりん  大さじ1
     砂糖   小さじ1

1.豚ヒレ肉は約1cmの厚さに切り、ひと回り大きくなるまで包丁の背で叩く。
  塩をつけてで下味をつけ、片栗粉をまぶす。

2.フライパンに油を入れ、豚ヒレ肉を並べて、ゆっくりと火を通す。

3.火が通ったら肉を取り出し、【調味料】を加えて煮詰め、タレをつくる。

4.肉を戻し入れて、タレを絡めながら照りが出るまで火を通す。

5.ブロッコリーと人参は食べやすい大きさに切り、それぞれに、薄い塩水を振ってレンジで加熱する。

6.皿に照り焼き肉をのせ、ブロッコリーと人参を添える。

​ ※豚ヒレ肉に片栗粉をまぶすとタレがよく絡みます。 ​


​
ブログ連載 長編時代小説 ​​ 密かごと ​​
​第4章 跡継ぎ​

​3.さちの病気​

朝から陰鬱な空模様だった。生暖かい風が吹き、空には鉛色の雲が垂れ籠めている。
江戸と木更津を結ぶ船の往来は、すべて止まってしまい、漁師たちも漁をあきらめ、風が吹き止むのを待っていた。
さちは暑気あたりで三日前から臥せっていた。一日も眠れば回復した体も今度ばかりは言うことを利いてくれない。それでもなんとか起きようとした。
「おばばさん、まだ駄目よ!」
佳乃に無理矢理、寝かされても店の指示だけはする。
「この天気じゃ、お客様もお見えにならないだろうから、店じまいするように皆に言っとくれ」

仲居や下働きの者たちが帰り、煮方の清三と焼方の藤助も長屋へ帰った。
住み込みの源八と耕平は、寝起きしている小部屋で詰め将棋をしようとした。
「こういうときは、手習いの稽古だぞ!」
真吉が二人に言葉をかける。慌てて将棋板を片づけ、座卓を引っぱり出す。二人は真吉からときどき、手習いの稽古をつけてもらっていた。
「きょうは、これが手本だぞ!」
真吉は二人の前に、献立を書いた紙を置く。
「二汁五菜の本膳料理だからな」
江戸で清蔵親方の脇板をつとめていた頃に、真吉がつくった膳立だった。

​​​汁​​
       三つ葉
       味噌仕立て

​ 膾 (なます)  細魚(さより)ささ作り​
       うど短冊
       青海のり 浜防風(はまぼうふう)

​ 壺       蛸(たこ)やわらか煮​
       里芋輪切り
       岩茸

​ 煮物      花くわい​
       えのき茸
       八重なり(緑豆)

​ 猪口 (ちょく) 烏賊(いか)​
       木の芽和え

​ 焼物      あいなめ山吹焼​

​ 汁       鱚(きす)​
       じゅんさい
       清まし仕立て

「これが本膳料理ですか」
年上の源八が献立書きを見入っている。
「そうだ、梅乃井で出しているのは会席料理だが、これは正式な料理なんだ」
会席料理は酒を主にしたものだが、本膳料理は婚礼とか饗宴に供されるもので、料理が一度に並べられるのだと説明する。

「これは?」
献立を見ていた耕平は、汁が二つあることに気づく。
「味噌仕立てと、清まし仕立てとあるだろう」
飯のときの汁は味噌仕立ての濃いめに、酒のときの汁は清まし仕立ての薄味と決められているのだと、真吉は説明する。
「壺とあるのは?」
源八が聞く。
「深い蓋のある器のことで、それに盛った煮物のことをいうのだ」
「それじゃ、猪口(ちょく)は?」
「小丼に盛った刺身や酢の物のことを差すんだ」
「板さん、焼物の山吹焼というのは・・・」
耕平が言った。
「卵黄を塗って焼くと、山吹色に見えるから山吹焼と呼ぶんだ。さあ、書いて見な!」
源八と耕平は筆を執ると、二汁五菜の献立を書きはじめる。
「板前は献立が書けねえといけねえんだぞ」
真吉は、清蔵親方から教えられたことを二人にも伝授していた。

その頃、板場では佳乃が白粥を炊いていた。炊き上がると、さちの寝床へ運んでいく。
「おばばさん、出来たわよ!」
土鍋の蓋を取ると、まだ湯気が立っている。
佳乃は子どもの頃、病気になると熱いものを食べないと元気が出ないと、夏でも熱い粥を食べさせられた。
さちは食欲がまだなかった。
「駄目よ、食べなくちゃ!」
「すまないねえ、お前の世話になるとは・・・・」
「おばばさんがしてくれたことをしているだけよ」
さちはフウフウしながら粥をすすり、ゆっくりと飲み込んだ。
「おいしい?」
「ああ、おいしいよ」
「おばばさんは風邪を引いただけ、すぐに治るわ」
佳乃からやさしい言葉をかけられると、さちは涙ぐんでしまう。

昼過ぎになると風向きが変わり、日も差すようになった。
夕刻には風も収まった。
草むらの鈴虫が、一斉にせわしく鳴きはじめる。
夜空には星が輝いていた。

お美代に待望の男の子が生まれて、三代目当主の浜野屋伊兵衛は、五代目跡継ぎができたと大喜びだった。
早速、佳乃は赤子を見に行った。
「赤ちゃんて、可愛いのね」
「赤子は、皆、可愛いいもんだよ」
さちは体調が完全に回復していないので帳場に座っていることが多い。
「目がくりくりしたところが、お美代ちゃんにそっくりよ」
佳乃がうらやましそうな顔をした。
「お前も、そろそろ、考えなくちゃね」
「あたしのことは・・・」
佳乃が慌てた素振りを見せると、
「真吉さんのこと好きなんだろう?」
さちがずばりと言った。
「あら、いやだ、おばばさん!」
佳乃が真っ赤になった。
「佐助さんが、清蔵親方に話してくれることになっているんだよ」
その返事を持って、佐助がそろそろ来る頃だった。
「真吉さんには、婿に入ってもらうことにするから」
佳乃が何か言おうとすると、
「お前が心配することじゃないから、おばばさんに任せておき!」
佳乃は黙って頷いていた。
「お前には、好きな人と一緒になってもらいたいからね」

佳乃には亡くなった寿美の分まで幸せになってほしかった。いや、幸せにしてやらなくてはならないと、さちは心に誓っていた。
寿美のときは自分もまだ若く、寿美の望むような婿を考えてやる余裕がなかった。もっと早く相手を見つけていたら、命を落とすことはなかったと悔やまれてならない。同じ失敗を佳乃にさせてはいけないと思っていたところに、佐助が真吉を連れてきた。
幸い、真吉は板前としての腕は確かだし、人柄も申し分ない。真吉を婿に迎え、佳乃が後を継いでくれたら言うことなしだ。

さちの脳裡に浮かぶのは、父久兵衛と母ゆきの姿だった。本所松坂町に店を構えていた頃、包丁を握る父の横にはいつも母がいた。父が「それ!」と言えば、母はすぐに必要なものを手渡した。息の合った睦まじい夫婦がつくり出す料理を、人々は美味しいといって食べにきてくれた。
さちも、娘寿美も、夫唱婦随は成し得なかった。佳乃と真吉ならば、その願いを叶えてくれるかもしれない。さちは、真吉と佳乃に両親の姿を重ね合わせていた。

佐助から話を聞いた清蔵親方は、真吉が望まれて婿に入るとは果報者だと、手放しで喜んでくれたという。
「あっしも、これで、ひと安心だ」
「ご足労をわずらわして、ほんとうに有難うございます」
「あとは、祝言ですな」
「そのときは、きくさんと一緒に」
「女房も一緒に?」
「お二人で来てください」
「えっ、そうですか、あいつも喜びますよ」
「きくさん、赤ん坊の佳乃しか知らないのよね」
寿美が出産するときも、佳乃が生まれた後も、きくは付きっきりで世話をしてくれた。それだけに、さちは成長した佳乃の晴れ姿を見てもらいたかった。

さちはこのところ、婚礼に招く人たちのことを考えている。
浅野屋の義兄作佐衛門は呼ばないことにした。呼ぶべきかどうか迷っているのは、佳乃の父親、坂上進之助だった。佳乃が進之助を父と認めていないからだ。さちは踏ん切りのつかないまま、お美代の嫁ぎ先の浜野屋に、佳乃の花嫁衣装を注文した。(つづく)





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Last updated  2023年02月25日 08時39分33秒


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