見知らん街ガイド_『パリ時代』と神戸生活日記

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神戸男

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リュウちゃん6796 @ Re:東京パンデミック。違った!、オリンピックだ!。(06/26) 初めまして、 奈良の法隆寺の傍に住んでい…
2021.02.10
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カテゴリ: 日々の出来事
今の人は下げ時計とは言わないようだ。
正しくは「懐中時計」‥それも言わないか。「ポケットウォッチ」とも言われるそれらは今の若い人達には縁がないらしい。腕時計でさえしない若い人達が増えている。考えたら何でもスマホで事足りるからメモも取らない。辞書もいらない。新聞も紙の本も読まないそうだ。勿論全てではないだろうが。
こんな話を書いたのは、片付けていた書類棚の引き出しの中からたまたま『ULYSSES NARDIN』の下げ時計が出てきたから。
時計の修理を生業にしていた親父が残したもので、当時はそこそこの時計だったと思われる。裏蓋に刻まれた『横航』の文字は旧海軍横須賀航空隊の備品だったのだろう。干支(文字盤のこと)には、二時・四時・八時・十時の位置に夜行塗料が、5・15・25・35・45・55の位置には算用数字が書かれている分刻みの文字盤で、十二時の位置にはストップウオッチの30分計と六時の位置に時計の秒針があって、見た目にはストップウォッチだが、時針(短針)と分針(長針)と秒針(ストップウオッチ用)がついているという変わり種の懐中時計が出てきた。少なくとも80年は経っているアンティークの代物だが中の機械は素晴らしく美しく、少し遅れ気味だがしっかりと動いている。で、思い出に浸ってしまった。
 今から41年前の1980年8月。日本でお盆を迎える為にフランスから帰国し東京でクライアントの出版社や旅行雑誌の編集部に挨拶廻りして帰神したのが8月12日。翌13日の朝、約5ヶ月ぶりに親父と顔を合わせた。
暑い日だった。
仕事に出掛けようとしていた親父に声を掛けた。
「今日は暑いんだから休んだら」。
「仕事してる方が楽や」と親父。そう言って出掛けて行った親父はその日帰って来なかった。69歳だった。

葬儀の席で姉が「お母ちゃんが迎えに来たんやわ」と言った言葉が忘れられないでいる。
 今日は2月10日。あと数日で71歳になる。
この一年。何もしていなかった気がする。
コロナ禍だけのせいではない。自分自身の生き方が虚ろなんだろう。
80年前の時計がしっかりと時を刻んでいるというのに。
時計を見ながら、ふとそう思った。





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Last updated  2021.02.10 20:31:18
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