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のどかだ、ぶらぶら歩く、空気がうまい、深く息を吸い込む、昭和初期の建物だろうか、どっしりとした大きな屋根の家がぽつんぽつんと建っている。住む人がいなくなったのだろうか、朽ちそうになっている蔦の絡んでいる空き家もこの頃増えてきた気がする。畑には、葱や大根、白菜などが植えられている。栗が弾けて、柿の実も赤く染まってきている。
のどかだ、ぶらぶらと、この道を歩くのが好きだ。道筋に戒名も読み取れない古いお墓が三つ並んでいる。誰かがお参りに来た様子はないが、お墓はただ、じっと立っている。手拭いを頭に撒いた、リヤカーを引く爺さんと出会う。
「こんにちは、いいお天気ですね、」 「ああ、お散歩にはちょうどよかんんべえ、、」
渋くて人のよさそうな皴顔の爺さんがにこっと笑った。人と出会えば、顔を知らない人でも挨拶するのが田舎の習慣だ。
のどかだ、ぶらぶら歩く、家にこもっていた心が晴れてくる。平屋の小ぶりの家がある。古い家だがきちんと手入れされている。この辺りでは、貧しい暮らしぶりの、老夫婦の家だった。爺さんはもう、八十を超えているだろうか、地面に這いつくばるようにして、畑の草を抜いている。姉さんかぶりの婆さんは井戸の横で、野菜を洗っている。軒先に柿が干されている。おいしそうだ、、
のどかだ、ぶらぶら歩く、 幸せはお金じゃないことがよくわかる。お日様が出る日にはその家の庭先に、洗濯物が干してある。幾らか茶色がかって、でれんとしたステテコや、煮しめたようなパンツや半そでシャツ、だいぶ疲れた作業ズボンが干してある。土色ばかりの色彩に乏しい洗濯ものが並んでいるのだが、が、が、その中に、今日もあったのだ。 ひらひらのついた、ラメ入りの、真っ赤なブラジャーである。歩きながら横目でそれを眺めて、私はクスっと笑う。いったいあのブラジャーは誰のものなのか、婆さんのものなのだろうか、いつも晴れた日には干してあるということは????
のどかだ、ぶらぶら歩く、私の心がときめく瞬間だ。まだまだこれから、青春は年齢じゃない、まだまだまだまだ、ほら、元気が蘇る。山里の珍百景に登録お願いします。
作:下肥 流行
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