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脅えた表情を浮かべる少女。少女の顔色は真っ青だった。けれど男はそんな少女の様子などお構いなしに言う。「だから簡単なことだろ?あんたが酌をすりゃ、あんたの親父にもお袋さんにも手はださねええよ」「…はい」うなずく少女に、先程四人を部屋へ案内してくれた宿の主人らしき男が叫んだ。「お止めくだせえ。この子はまだ子供です。酌ならあっしが、しやすから」「だから、さっきから言ってるだろう。俺はお前みたいなしけたジジイの酌なんかまっぴらなんだよ」
2011年06月06日
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今まで使っていたホームページですがサービス停止の憂き目にあいました。なんでも無料サービスは中止らしく…。 新ホームページは http://www7b.biglobe.ne.jp/~khaos/ になります。 内容はそのままで引っ越しただけですが、よろしければあそびにきてくださいまし。(そのうち中身もリニューアルしたいな)
2010年11月01日
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四人が部屋を出ると、廊下に男の怒声が響いた。それから、なにやら言い争うような声がする。どうやら一階で騒動がおこっているようだった。事情を探るため、四人はなるべく音を立てぬように階段をおりる。すると再び男の怒鳴り声が食堂のほうから聞こえた。「つべこべ言わずに俺の言う通りにしろ!!」先頭を行くサキは、食堂のすぐ前に立ち中の様子をそっと窺う。おそらく怒鳴り声を上げたとおぼしき男が、まだ子供と呼ぶに相応しい年齢の少女の腕をひねり上げるようにつかみ立っていた。
2010年10月19日
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ずっと更新が止まってしまってすみません気候のせいか、だらけた精神状態のせいか、どうやら書けないモードに突入してしまったようで。ただ連載始めたからには、必ず完結させたいとは思っております。読んでくださってる方には申し訳ございませんが、しばしお待ちいただけると幸いです。
2010年07月15日
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最近になって、将来の展望を思い描くことの大切さを実感しています。恥ずかしい話ですが職業に関していえば、深く未来を考えることなく、ある意味動物的ともいえる勘で職業の選択をしてきました。最近になって仕事においてうまくいっている友人をみるにつけ思うのは、少し先のなりたい自分をしっかり考えてる人は強いな、ということ。つくづく「人間、遅すぎることはない」という言葉を信じ、今後十年の青写真をシュミレーションしてみたいと思っています。
2010年06月28日
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案内された部屋は、シェンの予想に反し、清潔に整えられたものだった。ベッドのシーツは洗濯されて真っ白だったし、室内もきちんと掃除されている。四人は持ってきた荷物を降ろし、ベッドの手前に置かれた円形のテーブル席に腰掛けた。ルツが口を開く。「ナカンって、王都に較べるとずいぶん寂れた印象だよね」「…ああ。俺もこの町へは初めて来たんだが、王都のすぐそばにこんな寂れた町があるとはな。いったいこの町の管轄の兵は何をしているんだか」そう答えたシェンは、酷く苦い表情をしていた。カナがたずねる。「どうなさるおつもりで?」「そうだな、この町の実態が知りたい。食堂で食事でもしながら、まず情報を集めよう。ルツとサキはどうする?食堂の男たちに絡まれることもあるだろうから、部屋で待っててもらってもいいんだが」シェンの問いに、サキが首を振る。「いや、できれば連れて行ってほしい。わたしたちはベルシェ王国の美しいところだけを見たいわけではないだから」その答えにシェンはうなづき、四人は食堂へと向かった。
2010年06月26日
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「部屋はそれしか空いてないのか?」「いえ。部屋はございやす。ただ、…一緒のほうがいいんじゃないかと思いやして」「…」黙り込むシェンに、サキが言う。「シェン、わたしなら気にしないから」「…ああ。では、その一番大きな部屋を頼む」その言葉に男はうなづき、扉の中へと促した。「どうぞ」男の後に続き宿に入ると、どうやら一階は食堂になっているようだった。薄暗い照明の中、あまり柄のいいとは言えないような八人ほどの男たちが酒を呑んでいた。男たちは四人に気づくと、急に黙り込んだ。それから、まるで値踏みをするかのように四人のことをじっと見つめる。四人は不快に思いながらも、おそらくは宿の主人であろう男の後に続き、黙って男たちの横を通り過ぎた。
2010年06月23日
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宿はすぐに見つかった。ナカンの他の建物同様薄汚れた宿の外装にシェンはため息をつき、それからサキにたずねる。「ここで大丈夫か?」「わたしは構わない。この天気だ。屋根があるだけでありがたい」サキの答えにシェンは苦笑し、薄汚れた宿の扉を開けた。カラン、カラン。扉の上部に取り付けられた鐘が鳴る。すると、どことなく気の弱そうな印象の中年の男が四人を出迎えた。「何か御用で?」「ああ。泊りたいのだが部屋は空いてるか?」「部屋は空いていやす。…一番大きな部屋をご一緒でいいでしょうか?」
2010年06月22日
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まさに偉業と呼ぶに相応しいはやぶさ。今日もニコ動で楽しませていただきました。それにしても動画を見るたびに思うのだけど、なんでテレビでは控えめな放送しかしてないのでしょうか?海外の放送局BBCでは、それこそ最大級の賛辞を送られているというのに‥。
2010年06月15日
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「ええ。ありがとうございます」カナの礼に、男は足早にその場を後にした。男の後姿を見ながら、シェンが口を開く。「この町は、いったいどうなってるんだ?」シェンの疑問に、カナも首をかしげる。「さあ、完全に不審者扱いでしたよね」「オレとサキのせいかな?」ルツがたずねた。カナが首を振る。「いえ。どちらかといえば、わたしとシェン様を警戒していたような気がします」「そうだな。ただ、俺たちというより、おそらくはこの軍服のせいだろうな」シェンの答えに、ルツが目を瞬かせる。「軍服って。…兵が怖いのかな?」「ああ。おそらくな。管轄の兵からは、これといったトラブルの報告はなかったはずだがな。…ここで話していても埒が明かない。とりあえず宿へと向かうか」
2010年06月15日
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足を踏み入れると、通りの大きさの割りに人通りが少なく、町は寂れた印象だった。もっともその印象は人通りの少なさだけによるものではない。石造りの建物の多くは薄汚れ古びており、ろくに修繕すらしていなかったのだ。道を行く人々は、馬上の四人を窺うように見ていた。洗練された王都の華やかさはおろか、賑わいすらも感じられぬ町の様子にサキは眉をひそめる。カナが馬上から、通りを歩いていた一人の年老いた男に声をかけた。「宿を探しているのですが」その年老いた男は怪訝な表情を隠そうともせず逆に尋ね返す。「兵隊さんが、こんな辺鄙な町になんの御用ですかの?」門の前に立っていた男と同じその問いに、カナは不審に思いながらも人当たりの良い笑顔を浮かべる。「ええ。王都に帰る途中だったのですが、この天候でしょう。ご婦人を雨に濡らすのもしのびないと思い立ち寄っただけで、特にこれといった理由はないのですが」カナの答えに、男は怪訝な表情を解くことはなかったがそれでも宿の場所を教える。「この通り沿いに行かれなされ。左側に飲み屋をかねた宿があるでのう。ただ…」言葉を濁した男に、カナは続きをうながす。「どうしたのです?」「…あまり雰囲気の良い宿とは言えんので、異国の方のそばから離れぬよう気をつけたほうがええ」
2010年06月15日
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今日更新した草原(参)が、20日更新になっていました。(理由は最初に書いたのが20日で下書きを手直して掲載したため)口蹄疫の前に掲載していますので、連載を読んで下さっている方はご注意ください。
2010年05月27日
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カナの言った通り、十分ほどの所にナカンはあった。ナカンは町全体が石を積んだ塀に覆われており門の前に武器を持った二人の男が立っていた。シェンは馬から降り、男に声をかける。「宿はあるか」「はい。一軒だけございやす。それにしても兵の方が、こんな小さな町になんの御用で」おそらくシェンとカナが身に着けている軍服のせいであろう。男が不安げな表情でたずねた。「ああ、心配するな。雨が降り出しそうだから宿を、と思っただけだ」シェンの答えに男たちはあからさまに安堵の表情を浮かべ、頑丈そうな木製の門に手をかける。ギギ…門は鈍い音をたて開かれた。
2010年05月27日
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最近、やっとテレビでも詳細が報道されるようになった口蹄疫。現場は大変深刻なことになっているようです。以下は、友人の友人の文章になりますが、一人でも多くの方にこの現状を知っていただきたく転載しました。【2010年05月12日】口蹄疫の問題について 今、宮崎県内では口蹄疫の問題で衝撃が走っています。宮崎県内にいても詳しく 知らない、わからない口蹄疫の現状。普天間問題やギリシャの問題、、殺人事件 等々、ニュースがあふれている中宮崎県内のニュースでもあまり長い時間を 割かれないのはなぜなのでしょうか?なぜ全国ニュースでは報道されないので しょう? 県内外の方々に伝えて口蹄疫問題を理解していただけたら・・・ 心から 思います。 この 現状を知ってもらうこと世論で政府を動かすしかもう手が無いんです 昨日日記 に書いた仲間の輪による消毒剤の話も、政府の圧力がかかり、 “各県まず自分所 の防疫の徹底をせよ。宮崎は農相みずから出向き全力で対応している” との電話 があったみたいです。 消毒剤が圧倒的に足りません。 消毒剤の事は昨日書きまし たが、 人手も圧倒的に足りません。 政府は“現場スタッフを国としても確保してい る”と発表してますが、一昨日までの現場スタッフ350人のほとんどは県のスタッフ。 九州農政局から3人の獣医師と20人のスタッフ、追加で30人の自衛隊。 追加で来た自衛隊は4日出たら2日休み実質2/3の労力。 昨日から宮崎による確保と九州各県の応援により倍の700人体勢に。 それでも殺処分対称の1割しか処分出来てません。 県も、保健所も、獣医師も、JAも、市町村も、休みなしで必死になって頑張って ます。 保健所の友人はGWどころか、発生からずっと休み無し、6~21時の重労働。 爪は割れ、消毒剤で手の皮膚が爛れ…、 それでも必死になって戦ってます。 マイミクさんの旦那さんも新婚、子供が産まれて初めてのGWも休み無しで 頑張ってくれてます。 ホントに感謝しています。 それでも全然処分が追い付かないんです。 今、処分対称の10万頭のうち、20日間で処分が終わったのは1万頭にも届きま せん。 今1日の処分頭数が千頭。毎日発症する頭数の方が圧倒的に多いんです。 感染した牛は毎日10億個、豚は5兆個のウイルスを撒き散らします。 感染拡大が止まりません。 4月末に発症した友人の農場では、今のペースでは 5月内に処分出来るかどうかと言った所です。 全て殺されてしまう。 それでも弱れば排出するウイルスが増える。だから、殺されるのがわかってても、 毎日餌をやり、ビタミンをやり、あらゆる手を尽くして少しでも牛を健康に保とうと してます。 でも、農場全ての牛に広がり、弱い子牛から次々に弱り、死んでいき ます。 死んでも処理業者も出入りできないため、死体の上に大量の石灰を 乗せても、腐敗し異臭を放ち始め、 それでも親牛は自分の子を一生懸命舐め、 石灰を落とそうとします。 消毒剤の不足から、本来は牛に使わないような強い薬を 大量に毎日浴びせられ、牛は毛が抜けぼろぼろになっていきます。 そんな中で、自分の家族同然の牛を殺す事も出来ず、飼い続けなければならない んです。 また、保健所や獣医師が殺処分現場に集中せざるを得ず、発症が 疑われる農場の検査も出来ず、 テレビや報道では50件80000頭となっていますが、 把握してるだけで発症の疑いがあり検査待ちの所があと40農場あります。 とにかく人手が足りないんです。 もう殺処分が追い付かないんです。 首相が激甚災害に認定し、自衛隊を出さない限り、拡大は収まりません。 「その必要があるかどうかを関係閣僚と話し合い、必要とあれば検討する」とか 言ってる場合じゃないんです!! ワクチンと言う手も有りますが、現行の法律では使え ず、 しかも大臣は「参院選後の国会で立案立法を…」 とか言ってますが、 その頃に は国内の牛・豚・山羊・羊・鹿・猪…等の偶蹄類はいなくなってるでしょう。 皆さんにお願いです。 とにかく、今、宮崎で大変な事が起こってると言うことを、多くの人に伝えて下さい。 もう世論で政府を動かすしか方法がないんです。 資材機材も、人手も、予算も… もう国に頼るしかないんです。 よろしくお願いします。 おおきなうねりとなって国会の場に届くことをねがっています どうか宮崎の酪農を 助けて下さい。心の底からお願いします。 もしも宮崎だけではなく、自分の住む街に口蹄疫の病気が広がったらどうし ますか? 人事では済まされない、今必死に食い止めようとしている宮崎の農場の方達の 努力を是非に政府に働きかけるのを手伝って頂きたい。 ブログの力は弱いかも知れないが何もしないよりマシ 何卒宜しくお願い致します。
2010年05月20日
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しばらくすると、徐々に空が灰色の分厚い雲に覆われた。昼間だというのに辺りは暗く、すぐにでも土砂降りの雨に見舞われてもおかしくないほどだった。朝から曇っていたものの日中いっぱい雨に降られることはないだろうと考えていたシェンは、この後の予定が崩れることを思い舌打ちをする。「チッ」それから後ろを走っているカナに声をかけた。「カナ、この天気だとベントまで持ちそうにない。ここから、一番近い町で、宿を探すしかないな」「ええ」うなづき、頭の中にある地図を思い浮かべる。カナは王子の補佐役を務めるだけあって、剣術だけでなく知識にも秀でていた。「そうですね。…確か、ここから東へ少し行くと、ナカンという町があったはずです。ベントほど大きな町ではありませんが、宿の一軒くらいはあるでしょう」その答えに、シェンは手綱を引き東へと進路を変えた。
2010年05月19日
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カナは疑問を口にする。「そのように大事な王剣をですか…。もしかして、サキは王の娘なのですか?」ルツは首を振る。「違うよ。サキは前王の娘なんだ。剣を託されたのは、サキが王の婚約者だからだよ」その答えに、カナは目を瞬かせたあとシェンに目をやる。「カナ、どうしたの?」ルツの問いに、カナは笑いながら答える。「我が王子の幼き頃の願いは叶いそうにないな、と思いまして」「我が王子ってシェンのこと?」「ええ。幼い頃はじめてタムからレシテ王国の話を聞いて、しばらくの間シェン様はレシテの姫君を妻として迎えたいとおっしゃっていたんですよ」気の毒そうな表情を浮かべたルツに、カナは苦笑する。「幼い頃言っていただけで、真剣な話ではありませんから、どうぞ聞き流してください」
2010年05月19日
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四頭の馬が、草原を走る。先頭を行くのはシェンの乗る褐色の馬で、次に続いたのはサキの乗る純白の馬だった。その二頭にやや遅れて、ルツの乗る薄褐色の馬とカナの乗る灰色の馬が並走していた。サキとルツの二人はそれぞれ自分の馬を連れ、ベルシェ王国への船に乗っていたのだ。二人が捕らえられた時に馬と剣を取り上げられたのだが、無事戻ってきた剣と馬に二人は安堵のため息をついたのだった。カナが前方を走るサキを見ながら、ルツに声をかける。「あなたの馬もルツの馬も、素晴らしい馬ですね。それにサキのあの走り、さっきのルツが言っていた意味がよく分かりました」「だろ。二頭ともレシテでは有名な駿馬で、これより速いのは国王の馬くらいなんだ」ルツの答えに、カナが微笑む。「そうですか、ぜひ一度その国王の馬も見てみたいものですね。そういえば先程お返しした剣、特にサキの剣は見事でした」「ああ、あの剣ね。サキのあれは特別だから」誇らしげな顔をして、ルツが続けた。「王剣なんだ」「王剣?」「うん。代々、王か世継ぎの王子に受け継がれている剣でさ。今回の旅を心配した王が、お守り代わりにサキに持たせたものなんだ」
2010年05月13日
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「本当のこと?」首をかしげたカナに、ルツは説明する。「そう。レシテでは、サキは姫っていうより王子のほうがふさわしい、って言われてるくらいでさ。祝はもちろんだけど、剣術も馬術も普通の兵より得意なほどなんだ」シェンは笑い、たずねた。「では、カナの心配も杞憂だったな。連れて行くのは構わないが、サキはどうしたいんだ?」「足手まといにならないようにするから、一緒に連れて行ってほしい」サキの言葉に、シェンとカナはうなずく。四人は旅の準備をし、すぐに北の砦へと向かうこととなった。
2010年05月12日
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思わずサキを見たルツに、シェンは口角をあげる。「なんでも30歳を越しているにもかかわらず、その見かけは10歳前後の痩せぎすな少年らしい」「!」ルツは目を瞬かせ、それからサキに目配せをする。「…それで、シェンはその預言者をどうするの?」「俺とカナの二人で直接その預言者のいる北の砦に行って、真偽を確かめるつもりだ」ルツは目を輝かせた。「ねえ、オレとサキも一緒に行っちゃダメかな?」「ああ、俺は構わんが…」シェンの答えに、カナが眉を寄せる。「シェン様、何をおっしゃるのです?どんな危険があるかわからない場所に、異国の姫君をお連れするつもりなのですか?それに北の砦まで、かなり険しい道を通らねばならないのです。当然、馬車など通れませんよ」その言葉に、ルツがサキを見て吹き出す。「ルツ!」顔を赤くしてたしなめるサキに、ルツが言う。「だって、サキを普通のお姫様扱いしてるんだもん。カナが本当のコト知ったら、と思ったらおかしくて」
2010年05月12日
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クーデターという言葉にサキは息をのんだ。そんなサキの様子に、ルツがたずねる。「ねえ、くーでたーって?」「ああ、レシテでは使わない言葉だから…武装蜂起のことだと思う」サキの答えに、カナが付け加えた。「ええ。その通りです。武力によって、王政をひっくり返そうと企てているかもしれないのです」「そんな!何で?ベルシェ王国はこんなに栄えているのに?」ルツの疑問に、シェンが苦笑した。「ああ。この百年の間、特に争いもなく、周辺の国々にくらべても繁栄しているほうだろう。ただ、さっきサキが言っていた神の言葉を聞く男が、神を崇めればこの国はもっと繁栄すると民衆を煽っているそうだ」「神?神って…」目を瞬かせたずねるルツに、シェンが首を振る。「どんな神かは報告には上がってないので、俺もよく知らん。その男が本当にクーデターを起こそうとしているかも、真偽は不明だ。ただ、その男について、面白い報告がある」「面白い報告?」「ああ。その男、預言者と呼ばれているのだが、その預言者は歳を取らないらしい」
2010年05月12日
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「ベルシェ王国の話か。何か聞きたいことは、あるのか?」「ああ。ベルシェに来る船で聞いた話なんだが…」そう言って言葉を濁したサキに、シェンが続きを促す。「どうした?言いづらい話か?答えられる範囲なら答えるから遠慮は要らんぞ」「ああ、済まない。自分が拒否したくせに、また似たようなことを」言って、サキは苦笑する。「サキ?」「船で聞いた話が、どうしても気になった。この国には神の言葉を聞くことができる男がいる、と。本当なのか?」サキの問いに、シェンとカナ、そしてタムの三人は一瞬顔色を変える。シェンがため息をつき、顔をしかめた。「まずい話だったようだな。何か別の話を…」そう言って話を終わらそうとしたサキに、カナが言う。「いえ、気にしないでください。実は、わたし達もその男のことは詳しく分からないんです。ただ、兵から何件か報告があがっていまして、その男を中心として良からぬ相談をしていると」「良からぬ相談って?」そうたずねるルツに、シェンは苦い表情を浮かべ答えた。「クーデターだ」
2010年04月28日
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一同の視線をうけて、サキは不機嫌な表情を浮かべ言う。「ああ、その可能性は高いかもな」その、どこか投げやりな物言いに、ルツが顔色を変え謝る。「ごめん、サキ。せっかくベルシェ王国にまで来たのに…」そんなルツの謝罪に、サキは首を振る。「いや、こちらこそ済まない。別に、皆に悪気があったわけでもないのに」そう言って苦笑するサキに、シェンがたずねる。「若いまま、という言葉が、そんなに気に触るものだったのか?」シェンの疑問に、逆にサキがたずねる。「気味が悪いと思わないか?」「気味が悪い?この国では誰もが若さを追い求めてるが?」不思議そうな表情を浮かべるシェンに、サキはつづける。「若さを求めているといっても、程度の問題。いや、質問を変えよう。それが異国人でないとしたなら、一定以上歳を取らない人間を、同じ人間と思えるか?」「!」目を瞬かせるシェンに、サキは苦笑した。「これ以上、この話はしたくないな。ああ、そうだ。せっかくだからベルシェ王国の話が聞きたい」
2010年04月28日
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あらかた食事を終え、果実酒の杯を手にしたカナが口を開いた。「あなた方を見ていると我々とたいして違いがあるようにはみえませんが、レシテの王族というのは本当に龍の末裔なのですか?」カナの問いに、タムがたしなめる。「カナ様、なんと失礼なことを!」たしなめるタムに、ルツは言う。「いいよ、気にしないで。オレも考えたことあるしね。でも、たぶんホントだと思う」うなずくカナに、シェンもたずねる。「証拠はあるのか?」「証拠ね。証拠になるかはわかんないけど、王族の特に血が濃い人は祝の能力に秀でているよ。それにね、外見が、ずっと若いままなんだ」眉を寄せるシェンに、タムが言う。「以前も申し上げましたが、わしがフェレス王にお会いした時、ご夫妻は二十をいくらか越した程度、多く見積もっても三十そこそこの年齢に見えました。けれど真実は、フェレス王はおおよそ百二十、その細君であるルキ様にいたっては百三十歳であったたのじゃ」「うん。お二人は特に長命で、ずっと若かったらしいね。オレが実際に見てるのは、お二人の子に当たるレセ様だけど、タムの言った通り老人のはずなのにせいぜい三十くらいにしか見えなかったよ」その答えに、シェンがたずねる。「レセ様というのは、サキの?」「祖父だよ」「では、サキもずっと若いままということか?」
2010年04月28日
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大理石でできた長机に並べられた数々の料理は、その部屋にふさわしく豪華なものだった。目の前の料理に圧倒されるサキとルツに、シェンはたずねる。「どうしたんだ?遠慮せず好きなように食べるといい」その言葉に、サキとルツは苦笑する。それからルツが答える。「おもてなしは嬉しいんだけど、…なんていうかここにある料理は酒以外は無理そうっていうか」「無理?」眉を寄せたシェンに、タムが言う。「おお、そうじゃった。そういえば、レシテの方は植物しか口にしないんじゃったわ」「植物だけ?」不思議そうな顔をしたシェンに、サキがうなづく。「ああ。レシテで食事といえば、果実や木の実が中心で、魚や肉は一切口にしない」「…それは宗教的な決まりなのか?」「いや、それはない」サキの答えに、シェンは自分のすぐ手前にあった魚料理をサキの前に差し出した。「だったら、食べてみるといい。この魚なら、淡白で癖もない味だ」差し出された皿に、サキは苦笑し首を振る。「気持ちはありがたいが、遠慮しよう。どうもその臭いが受け付けない」「…そうか。それは残念だ。口にあうか分からんが、果実ならベルシェにもある。おい、すぐに果実をたっぷり盛った皿を持ってきてくれ」シェンが近くにいた侍女に命じる。やがて、たっぷりと皿に盛られた色とりどりの果物が運ばれてくる。シェンの指示通りその皿はサキとルツの間に置かれ、五人は食事をはじめたのだった。
2010年04月28日
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タムと紹介されたその老人は、サキを見て、感極まり涙を流した。「ああ、まさか」タムは言う。「もう一度、お会いできるとは。なんとフェレス王に似て、お美しいことよ」その言葉に、サキは目を見張る。「この爺は、幼き頃に、フェレス王とその妻子にお会いしました。再び、その血族にお会いできたこと、なんという幸運」感極まり涙を流す守役に、シェンは苦笑し、声をかけた。「タム、レシテの客人が戸惑っている。‥せめて食事でもしながら話せばいい」
2010年04月23日
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サキとルツはシェンに命じられた兵に、別の部屋へと案内された。室内に入り、二人きりになると、ルツが目を見張り感嘆の声をあげる。「すっげえ部屋!」ルツの言葉通り、石造りのその部屋は驚くほど豪奢なつくりで、レシテ王国出身の二人にとりベルシェ王国の豊かさをまざまざと感じさせるものであった。壁は一面大理石に覆われ、繊細な彫刻が施された金色の柱には色とりどりの宝石がはめ込まれている。二人は大理石でできた椅子に腰掛け、部屋の様子に見入っていた。しばらくすると、扉が叩かれる。シェンとカナだった。二人は、かなりの高齢であろう老人を伴っている。老人を注視したサキとルツに、シェンは言う。「彼が先ほど話した俺の守役のタムだ」
2010年04月16日
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明らかに面白がっている表情のシェンに、サキはますます馬鹿にされたと感じたのだろう。とげとげしい口調でたずねる。「では王子様、これからわたし達をいかがなさいます?妖しげな術をつかう者は、縛り首にするおつもりで?」シェンは笑みを深める。別にサキを馬鹿にして笑ったのではない。自分の立場が不利になると分かっているのにもかかわらず苛立ちを隠そうともしないサキの率直さは、シェンにとって好ましいものだった。ベルシェ王国の唯一の王子として生を受けたシェンは幼い頃から周囲の者から媚びへつらわれることが多く、そんな状況にあきあきしていたのだ。もっともそれも当然のことであろう。ベルシェ王国は国土の半分を海に囲まれ、その立地を生かし他国との交易により繁栄を誇る大国であったのだから。シェンはサキの漆黒の瞳を見つめ、言う。「いや。レシテの方にそんなことをしたら、俺が守役に呪い殺されかねない。罪人のような扱いは詫びるから、食事でもしながらレシテの話を聞かせてほしいものだな。ただし、さっきの馬鹿丁寧な口調は遠慮願いたいが」
2010年04月16日
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「国王?」どこか無邪気さを感じさせる口調で、ルツがたずねる。「ずいぶんと昔の話だから今の王ではないだろうが、確かレシテ島を統一した王で、名をフェレスといったか…」「すげえ!その守役さん、すげえよ。俺たちでさえ、フェレス王にはお会いしたことはないのに。あ、そうだ、サキはフェレス王のひ孫なんだぜ」嬉しそうに言ったルツに、サキは眉を寄せる。そんなサキの表情を横目にしながら、シェンが問う。「ほう。ひ孫ね。では、こちらは姫君ということか?」答えようと口を開いたルツに、サキがとがめる。「ルツ、いい加減にしろ。無駄口が過ぎる」サキの注意に、シェンは苦笑する。「どうやら姫君ということは、隠しておきたかったようだな」からかうような口調のシェンに、カッとなってサキが言い返す。「名も名乗らぬ相手を警戒するのは当然だろう?おまけにこちらははじめて訪れた異国の地で、人助けをしたにもかかわらず問答無用で罪人の扱いを受けていたのだから」「そうだな。姫君相手に失礼した。俺の名はシェン、一応この国の王子で都の警備を取り仕切る立場にいる。こっちの男は俺の補佐役で、名をカナという」
2010年04月16日
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今日のお昼に更新した小説 龍(壱)ですが、大幅に修正しました。読み返したら、頭の中で考えていた設定と違っていました。それも登場人物の瞳の色。読んでくださったかた、すみません。17時頃、手直ししました。
2010年04月16日
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「!」あらわになった二人の顔に、思わず息をのむ。身長からして二人とも当然男だと思い込んでいたが、一人が女だったのだ。それもまだ若い女で、その顔は美貌と呼ぶにふさわしい美しさだった。シェンとカナはじっと観察するように、二人を見つめる。女の髪と瞳は漆黒で、なめらかな薄褐色の肌をしていた。男もやはり女と同じように美しい顔をしていたが、その瞳と髪は赤銅色で肌は大理石を思わせる色だった。ベルシェ王国とその周辺の国々では、大抵の人の肌色はその男と大差のない肌色だったが、髪色は金か銀、瞳の色は空色か黄緑が普通である。シェンとカナも例外ではなく、シェンは金色の髪と空色の瞳、カナは銀色の髪で黄緑色の瞳をしていた。女が口を開く。「わたしの名は、サキ。彼はわたしの弟弟子で、ルツ。わたし達はレシテ王国の人間です」「レシテ王国だと」顔色を変えたシェンに、サキがたずねる。「レシテをご存知で?」「ああ、守役から聞いたことがある。守役は幼いころ父親と一緒に方々旅をしていた。その旅の途中、レシテ島にも行き、龍の末裔だという国王夫妻と謁見したらしい」
2010年04月16日
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シェンとカナは呆然としていた。そんな二人の様子に、その手の持ち主はつぶやく。「やはりこの国では祝は受け入れ難いのですね」カナがたずねる。「いったい、あなた方は…?」その問いに、二人は顔を見合わせそれから身に着けていたローブと口布を外した。
2010年04月16日
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声の主に従ったのか、ルツと呼ばれた人物が掴んでいたシェンの手首を離す。シェンはうっすらと赤くなった手首をさすりながら、ルツにたずねた。「ところで後ろ手に縛られていたはずだが、縄はどうした?」シェンの問いに、ややなげやりな調子で答えがかえってくる。「ほどいた」「ほどいた、だと。縄がゆるかったのか?」「…」返事に詰まったルツに変わり、もう一人のほうが答えた。「祝をつかえば、このような縄を解くことなどたやすいこと」「しゅ?」不審げな表情を浮かべたシェンに、相手はうなづく。それからおもむろに後ろを向き、縄で三重に縛られた手首を見せる。次の瞬間、手首のあたりが幽かに青白く光ったかと思うと、気がつくと縛っていたはずの縄は消えうせていたのだった。
2010年04月15日
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あらためて読み返すと変な点が多かったり。というわけで、ちょこちょこ文章を直しています。ブログは編集が簡単なので、気軽に直せるのが嬉しい。
2010年04月07日
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二人ともすらりとした長身で、ベルシェ王国でも背の高い部類に入るシェンとカナよりわずかに低い程度だろう。いかにも怪しいな、とシェンは思う。もともと貿易が盛んなベルシェ王国では異国人などさして珍しくもないが、問題はその装束にあった。フードを目深にかぶり、ご丁寧に口元には当て布がされているのだ。「この国に来た目的は?」そうたずねたシェンに、一人がわざととしか思えぬほどはっきりと舌打ちをする。「おい!」シェンは思わず声を荒げ、舌打ちをしたほうに手を伸ばす。そのまま、襟元を掴み上げるつもりだった。しかし、その思惑はかなわなかった。相手はすばやく避け、逆にシェンの右手を捻り上げたのだ。「シェン様」慌てて剣を抜くカナに、もう一人のほうが口を開く。「ルツ、やめておけ。揉め事を起こしにわざわざベルシェ王国に着たのではない。こちらの非は謝ります。そちらの御仁もどうか剣をお納めください」低くも高くもない、けれどどこか印象的な美しい声が室内に響いた。
2010年04月07日
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カナの答えに、シェンは思わずその端整な顔を歪めた。「妖しげな術とは、北の砦の男と関係が?」「さあ、そこまでは…。もし気になるようならば、直接お尋ねになっては?その二人連れは、王宮の地下に捕らえてあるそうですから」うなづくシェンに、カナは部屋の外にいる兵士に妖しげな術を使ったという二人連れを連れてくるように指示する。しばらくして、兵士は縄で手を後ろ手に縛られた二人を部屋へと連れてきた。「ご苦労だった」そう言って兵士を下がらせたシェンは、その二人をじっと見つめた。見慣れぬ異国風の装束を身につけている。
2010年04月02日
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その日は酷く蒸し暑い日だった。一年を通じ、気温の低いベルシェ王国では珍しいことである。そのせいもあるのだろう。王宮に報告される諍いの数も、通常よりもはるかに多い。王都の安全を取り仕切る立場にあるシェン王子は、次々に持ち込まれる報告を補佐役のカナとともに淡々と処理していた。「…で、次の件ですが」そう言って、珍しく言葉を濁したカナにシェンはたずねる。「どうした、何かあったのか?」「ええ。港でちょっとした諍いがあり怪我人が出たそうです。問題はここからです。到底、助からないと思われたその怪我人は、二人連れの妖しい術によって命を救われたとのことです」
2010年04月01日
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今日から連載の小説「偽神」ですが、ジャンルとしてはファンタジー小説になるかと思います。先日のブログの重複になりますが、「偽神」はホームページで連載していた「混沌~」の続編にあたる話です。(続編といっても、「混沌~」の二百年くらい後の孫世代の話なので、たぶんホームページの本編を読んでなくても大丈夫かと。)長編になる予定ですので、のんびりおつきあいいただけるとうれしいです。なお「混沌~」に興味のある方は、右上のbookmarksから飛ぶか、http://konton.hp.infoseek.co.jp/をコピペして遊びにきてくださいね。
2010年03月24日
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我は神なり。 唯一の神として、我を崇めよ。 さすれば我はそなたに祝福をあたえん。 もし我を崇めぬのなら、絶えがたき苦難に見舞われるであろう。
2010年03月24日
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小説を書きたくなってきたので、そろそろ次の連載を、と考えています。一応、今考えてるのは、ホームページで連載していた「混沌~」の続編にあたる話です。(続編といっても、「混沌~」の二百年くらい後の孫世代の話なので、たぶんホームページの本編を読んでなくても大丈夫かと)書いた話をちょこちょこブログで連載し、ある程度まとまったところで修正しつつホームページに載せようかなと思案中。もうちょっと人物設定を掘り下げて、来週くらいには、なんとかめどをつけたいと思っています。
2010年03月17日
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ずっと子供手当てについては疑問に思ってきました。小、中学校の耐震化の工事費を仕分けしちゃったり扶養控除まで廃止されそうなほど予算がないのに、子供手当てを支給する必要が本当にあるのでしょうか?おまけに親さえ日本に住んでいれば日本に住んでない外国人の子供にまで支給する予定だというし(もし10人子供がいたとして満額の場合、将来日本に税金を収める確立の低い外国の子供に毎月26万円を支払うことになります)ただでさえ日本は子供が減っていて大変だというのに、将来を担う子供たちにどれだけ借金を肩代わりさせるつもりなんでしょうね。素人考えですがせっかく子供たちのために使うのならば、未納問題が深刻化している給食費の無料化とか、先生の目が届きやすいように学級の定員数を減らしたりするほうがよいのではと思うのですが。
2010年03月09日
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スイの脳裏に、忘れられないと言って片手で顔を覆った父親の姿がよぎる。「…闇の中…」そうスイは呟く。自分もキョウも、すでにそこから抜け出す一歩を踏み出した。けれど、スイの父親はそこにとどまることを選らんのだろう。スイは、ひっそりと薄暗いベッドの上で涙を流した。(了)
2010年02月23日
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まだ幼い少女が、闇の中、立っていた。少女の年齢はおそらく4、5歳だろう。少女の耳に幽かな音が聞こえる。フエ~ンフエ~ン耳を澄ますと、それは誰かの泣き声で。少女は慌ててその方向に駆け出す。しばらく走った所に、その声の主がいた。声の主は、少女とそう変わらぬ体格をした少年で。俯き泣いている少年に声をかけようとした時。少年が顔を上げた。少年の顔を見た少女は叫ぶ。「お父さん!」その瞬間、スイは目を覚ます。どうやら夢をみていたのだと気づき、スイは息を大きく吐き出した。夢の中、泣いていたのは幼い少年だったはずなのだが、その少年はいつの間にスイの父親になっていた。
2010年02月17日
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「もういい加減自分を捨てた女なんてあきらめればいい、そうは思うのだがな」そう言って、スイの父親は片手で顔を覆う。はじめて聞いた父親の思い。その思いは切ないほどに真摯で。そんな父親に対し、スイに何が言えただろう。彼が望むのは娘の慰めの言葉ではなく妻であった人の存在なのだろうと、スイは感じていたのだった。
2010年02月10日
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「…処分」「……」スイは父親の顔をじっと見つめる。その表情は明らかに憔悴していて。「…今…なら、まだ間に合う」「スイ?」「今、謝れば…きっとキョウは戻ってきてくれる…」そのスイの言葉に父親は目を瞬かせ、それから首を振る。「ああ。俺とスイにはそれがいいかもしれんな。だが、キョウにとっては最悪だろう」「え?」「おまえもしってるだろう?あいつの俺への気持ちを」「…キョウを好きじゃないの?」「そういった意味では俺は無理だ。俺はまだ…おまえの母親を忘れられんのだ」
2010年02月08日
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静まりかえった家。最初キョウの不在を突きつけているようでスイを悲しくさせたが、二、三日もするとそれを当然と思えるようになっていた。そんなある日。帰宅したスイは、キョウのいた部屋から幽かな物音が聞こえるのに気づく。少し開いた扉をそっとのぞくと、そこにはスイの父親の姿があった。「お父さん」スイの声に、父親が振り返る。「スイか」「…どうしたの、電気もつけずに?」「ああ。…そうか、もうそんな時間か」「……」「キョウから連絡があった」「え?」「この部屋にある家具を処分してほしいと」
2010年02月05日
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「うん。待ってるから」それが、キョウとの奇妙ともいえる同居生活の最後だった。その日のうちに、以前と同じように食事がレストランから届けられたが、スイはそれを断った。スイは冷蔵庫に残っていた食材でキョウから教わった料理を作る。決していい出来とは言いがたい味だったが、それでもキョウのことを考えればみじめな思いを抱かずにすんだ。しばらくの間、スイの父親が家に帰ることはなかった。
2010年02月04日
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「スイがかばってくれた時、思ったんだ。自分はいったい何やってるんだろうって。いい年して中学生の女の子にかばわれて、かっこ悪いよね」スイは必死に首を振る。スイの瞳からは、涙が溢れていた。そんなスイの様子に、キョウは苦笑し言う。「スイがそんな顔しないで。もう大丈夫だから。決めたんだ。もっときちんと生きるって。すぐにはうまく行かないかもしれないけど、まずはアパートでも借りて自立するつもりだ」「自立って…」「学校のほうは奨学金も申請するつもりだし、贅沢言わなきゃバイトで生活できるよ」「…キョウ」「会いにくるよ。しばらくは無理かもしれないけど、ちゃんと自立して恥ずかしくない自分になれたら」 ………………………………………………………………………………………………久々の更新です。読んで下さってるかた、間があいてしまってすみませんでした。これからは連載終了に向けてまめな更新を心がけたいと思っています。
2010年02月03日
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キョウはうなづく。「‥‥」うつむくスイに、キョウは涙を浮かべた。「スイ、ありがとう。これからは、自分の力で前に進んで行こうと思ったんだ」「キョウ」「‥そう思えるようになったのも、スイのおかげだよ」
2009年10月20日
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この小説を書くにあたり、意識したのがわたしにとって次世代、つまり若い世代です。彼らに贈りたい思想のようなものを書ければと思い、この小説を書き始めました。簡単にいえば、「輪廻転生」という思想を自分なりに文章という手段を通して表現したいと思ったのです。うまく表現できたかはわかりませんが、とりあえず今は書き終われたという達成感を感じています。最後になりましたが、読んで下さっていた方々のおかげで連載を完了できました。ありがとうございます。
2009年10月12日
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今日で、このブログの本体にあたる「混沌~或いは水に関する物語」の連載小説が完結しました。2005年10月から連載していたので、4年かけてやっと、という感じですね。読んで下さったかた、本当にありがとうございました。興味のあるかたは、このページの題字のすぐ下のBOOKMARKSから飛べますので、時間のあるときにでも遊びにきていただければ幸いです。
2009年10月12日
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