500万人を動員したというのだから大ヒットだろう。はたして、日本ではどうか。 これはエディト・ピアフという歌手を良く知っている人が見なければとてもわかりにくい作品なのではないか。なぜなら、時代が交錯し、彼女の人生を見るには混乱し、混濁してしまうからである。彼女の人生をその時代背景を良く知らなければなんとも不明な作品となるであろう。 そして、原題が”LA MOME”というピアフの当初の芸名であり、他国では”LA VIE EN ROSE”というように「愛の賛歌」などという題名は日本の題名にしかない。それゆえ、「愛の賛歌」の成功秘話みたいなものを期待していくとがっかりしてしまう。ピアフの人生の光と陰。中でも陰に焦点をあてて描いている。それゆえハッピー感はほとんどなく、駄作ではないかと思えてしまうほどである。また、その「愛の賛歌」が英語なのも、私が落胆した一因だ。アメリカ、ニューヨークでの唄とはいえ悲しい限りである。その時、登場するディートリッヒ。誰だろうと思える不細工さ。たとえ似ていなくても、品やオーラがある人を登場させて欲しかったな。 思うに、この作品”NON, JE NE REGRETTE RIEN”という歌が唄われるが、この曲名、この詩こそがこの作品の意図するところではないだろうか。 感激できなかったことは誠に残念である。