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十条駐屯地こそこそ話 その9
どこの駐屯地でも幽霊話は付きもののようで、ご多分に漏れず十条駐屯地にも幽霊話がありました。それも私の職場である小火器班があった原動機工場で幽霊が出ると言われていました。昔、工場内で首吊り自殺した隊員がいて、その幽霊が出るとの噂が広まっていました。
消防隊勤務の夜の巡回で、原動機工場のチェックポイントに行くのですが、無灯火の工場は実に不気味で幽霊が出ると言われても信じてしまうほどでした。幸い幽霊の類に遭遇することはありませんでしたが、気持ちの良いものではありませんでした。
朝霞駐屯地では、深夜巡察中の当直幹部に向かって旧日本軍の兵隊が行進してきて「自分達の原隊は何処でありますか」と尋ねたそうです。その当直幹部は「分からん、とにかく戻れ」と言って「回れ進め」の号令を掛けて来た道を引き返させたそうです。他の駐屯地でもその類の話はたくさんあるようで、なかなか興味深いです。
十条駐屯地こそこそ話 その10
自衛隊は、様々な設備や機材がありますが、どこの駐屯地でも必ず見掛ける装備にリヤカーがあります。このリヤカーは、自衛隊の影の主力装備品と言って過言ではありません。私が十条駐屯地にいた頃、リヤカーは各工場に2~3台配備されていました。年季の入ったリヤカーで、何度も修理して使い続けられていました。リヤカーは、主に次のような物品の運搬に使用されていました。
○ 行事や会議で使用するテーブル、パイプ椅子等の備品
○ クリーニングに出す営内班や警衛所のシーツ
○ 各部署や営内班のゴミ
○ 工場で使用する塗料、灯油、グリス等の缶
○ 草刈りで刈り取った雑草
○ 射撃予習で使用する標的等の訓練機材
○ バッカン、しょうゆ・食用油の一斗缶等の糧食関係の物品
時にはお遊びで人を運んでいましたが、様々な用途で使用されるリヤカーは自衛隊にはなくてはならない装備品です。
十条駐屯地こそこそ話 その11
十条駐屯地には他の駐屯地にはあまりない設備や機材がありました。車両工場他ではエンジン式のフォークリフトが活躍していました。主にトラックや戦車等のエンジン、ミッション等の重量物の搬出入に使用します。車両工場所属の私の先輩、同期は、内緒でフォークリフトのドラッグレースをしていたそうです。大型フォークリフトなのでさぞ迫力あるレースだったことでしょう。
小火器班のあった工場には人・貨物兼用の大型エレベータが活躍していました。大型エレベータは、軽自動車を乗せられるほど大型のものでした。しかし、扉は手動で上下に開閉する旧型で、エレベータに乗って昇降している間はいつか止まるのではないかと冷や汗もののエレベータでした。このエレベータで小銃、機関銃等を大型台車に乗せて運搬していました。
また、各工場には天井クレーンがあり、機材の積み下ろしや火砲や戦車砲の砲身取り付け等にも使用していました。現在の天井クレーンはペンダントで操作するものがほとんどですが、当時の天井クレーンは運転室が付いており、操作員はそれに乗ってクレーンを操作します。運転室には、路面電車のようなマスコンと呼ばれる操作装置があり、これで走行・横行・巻き上げ・巻き下げを行います。私も運転を練習したのですが、クレーンを停止するとき吊り荷が振れてしまいます。また、榴弾砲の砲身を吊ると砲身が水平方向に回ってしまい、なかなか上手く運べませんでした。
自衛隊には古い設備や機材が多いですが、民間でも古い設備が残っているところは多いです。運転室付きの天井クレーンは、再就職後に古い水力発電所の工事で機材を搬入するとき再び運転することになりました。古い設備や機材に慣れていれば仕事の幅が広がるので、いい経験をさせてもらったと思っています。
陸上自衛隊武器補給処十条支処勤務の顛末 … 2024.01.01
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