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2003.04.30
「JFK」 ケビン・コスナー主演
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この映画を見るのは3回目くらいになるだろうか。これは、最近やったものじゃなくて、かなり前に録画したものを昨日は見た。ケネディ大統領の暗殺事件の処理に疑問を抱いた一地方検事のギャリソンという男が、その裏にある権力の中枢にいる人間の謀略を暴いていく映画だ。
ケネディ大統領の暗殺事件の事後処理については、普通の頭を持っていれば疑問を感じずにはいられない。しかし、「まさか国家がそういうことをするはずがない」という気持ちがその疑問を追求する妨げになる。この気持ちが起こるのは、国家がそういうことをするとしたら、何を信じればいいのだという、そのよって立つ基盤が揺らいでしまうからだ。
しかし、ギャリソンは違った。平和を願ってキューバ侵攻にもストップをかけ、ベトナムからの撤退の用意もしていたケネディ大統領を、自らの政策にとってじゃまだからといって暴力的な方法で排除しようとしたクーデターだと、あの暗殺をとらえていた。これは、民主主義にとって決して許してはならない犯罪だと考えたのだ。
ギャリソンが、これを体制の陰謀だと考えたのは、通常では考えられない警備の手落ちがあったり、証拠を探そうとすれば、それは国家機密であるということで手に入らなかったり、証拠が消えていたり、証人が謎の死を遂げていたりと、ある大きな力が働かなければ起こらないようなことが次々に起こることに原因がある。だから、残念なことにギャリソンには状況証拠しか手に入らないが、この映画を見ているものには、彼が正しいことがよく分かる。
映画を見ていない人にストーリーを語ってはいけないので、あまり多くを語れないが、これはフィクションとはいえノンフィクションに近い作り方をしているので、現実の厳しさというものが現れている。フィクションの映画だったら、観客が望む結論を提出してくれたのだろうが現実は厳しい。
しかしこの厳しい現実にあえて立ち向かう人がいるということに、改めてアメリカ社会の民主主義のすばらしさとその本物性を見た思いがする。ギャリソンに対する攻撃もすさまじいものがあった。彼こそが本物の愛国者であるのに、まさに非国民という罵声を浴びて、人格すら攻撃されるような感じだった。
この映画を見て、もう一つアメリカがすばらしいと思ったのは、その情報公開の徹底した考え方だ。国家機密であっても、75年を経過すれば、それはすべて公開されなければならないらしい。だから、映画の中でもギャリソンは、自分が生きている間には、その証拠を目にすることが出来ないだろうけれど、息子にはそれが出来るという期待を述べている。2039年には、彼の主張が正しかったかどうかを公文書を求めることで解明出来るようだ。あと23年だったら僕も生きていられるかもしれない。その時にアメリカから大スクープが来ることを待っている。
日本では、秘密を守って死んでいくことが美徳にされているようなので、謎は永遠に謎のままになってしまうが、後に残されるものにとってはすべてが明らかになった方がいい。同じ過ちを繰り返すことを防ぐことが出来るからだ。日本でも、アメリカのような徹底した情報公開がされる日が来ることを望みたい。そのためには、本物の民主主義を実現することが大事だろう。
ほんのわずかの情報しか明らかにならない状況でも、ギャリソンは真理に近づくことが出来た。それは、彼が大局的に合理的にものを考えられる人間だったからだ。僕たちの周りも、本当に大事なことは情報が操作されている。わずかな情報の中で、確かなことをとらえるには、その情報の見方というのが大事になるだろう。
デモ隊に発砲したのはこれで2度目だと思うけれど、これほどの大事件なのに確かな情報が届いていないことにまず疑問を感じる。デモ隊の側からの情報では、学校再開のためにそこから撤収するように要求しただけというふうに言われている。反米感情が高まって石を投げたものがいたようだが、それだけのことだったようだ。イスラエルの軍隊と同じように、石を投げただけでも射殺するのだろうか。石を投げることは死に値するのか。これがもしも本当だったら、石を投げるということが問題なんじゃなくて、アメリカにたてつく相手は射殺されるんだということを意味しているんじゃないだろうか。
不公平なので、アメリカの方の言い分も伝えておこう。アメリカ軍は、デモ隊の方が先に機関銃で撃ってきたんだといっているそうだ。フセインの正規軍でさえ抵抗しなかったのに、民衆のデモ隊では機関銃を持った男たちがアメリカ軍に戦闘を挑んだというのだろうか。あまり現実的だとは思えないことだ。百歩譲って、何らかの萎縮攻撃があったとしても、こどもを含む市民を巻き添えにして15人も殺すことが正しい対応だろうか。
確かな情報はないけれど、まともな頭を持っていれば、何が真理かが見えてきそうな事件だ。アメリカはもうすぐ勝利宣言を出すそうだけれど、戦闘には勝っただろうが、このような状況で大義名分を果たしたと宣言することは難しい。政治的な駆け引きはこれからも続くだろうが、傲慢なネオコンがアメリカの外交をリードしていったら、その政治的判断には間違いが生じてくるだろう。しかし頭のいい人間が、その外交の主導権を握ったら、アメリカの行為がいつの間にか正当化されるということも起こるかもしれない。世界の歴史にとっては、果たしてどちらの方がいいのか。どっちに転んでも、民衆の側にとってしめたと言える方向を探りたいものだ。
それにしても、ケビン・コスナーというのは、単純なアメリカンヒーローを演じない俳優だから好きだなあ。彼の演じる主人公には、人間的な深みがある。暗いから好きじゃないという人もいるけれど、明るいだけで何も考えていないようなヒーローよりも、僕はケビン・コスナーが演じる主人公が好きだな。
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最終更新日 2003.04.30 09:50:18
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