真理を求めて

真理を求めて

2004.04.21
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今日もテレビでは「自己責任」を語る人が多い。世論調査ではないが、町を歩く人に「自己責任があると思うか」と質問して、その結果を知らせるテレビもあった。大部分の人は「自己責任がある」と語る人で、それがないと完全に言い切る人は、100人の中で7人しかいなかった。

日本人というのは、条件付き命題の考察が下手だと言っている人がいたが、まさにその通りだなと思った。自己責任の議論は、その前提となる条件を吟味しなければならないのだが、すっかり政府とマスコミの宣伝にのせられた一般市民が、短絡的に自己責任を語っているようにしか僕には見えない。

多くの庶民が語る事というのは、今の日本の常識といって間違いはないだろう。しかし、この常識は、どうやら世界の常識とは違うようだ。世界の中ではこれは全くの非常識ではないかと僕は感じる。テレビが、外国のジャーナリストの声をいくつか紹介していたが、外国ではこのような非難はまず起こらないと言う言葉しか聞かれない。ヤフーのニュースでも次のようなものがあった。

「自己責任論を批判 「若者誇るべき」と仏紙」

「【パリ20日共同】20日付フランス紙ルモンドは、イラク日本人人質事件で、日本政府などの間で「自己責任論」が台頭していることを紹介、「日本人は人道主義に駆り立てられた若者を誇るべきなのに、政府や保守系メディアは解放された人質の無責任さをこき下ろすことにきゅうきゅうとしている」と批判した。
 東京発の「日本では人質が解放費用の支払い義務」と題した記事は、解放された人質が「イラクで仕事を続けたい」と発言したことをきっかけに、「日本政府と保守系メディアの間に無理解と怒号が沸き起こった」と指摘。「この慎みのなさは制裁まで伴っている」とし、「人質の家族に謝罪を要求」した上に、健康診断や帰国費用の負担を求めたと批判した。
 記事は、「(人質の)若者の純真さと無謀さが(結果として)、死刑制度や難民認定などで国際的に決してよくない日本のイメージを高めた」と評価。パウエル米国務長官が人質に対して、「危険を冒す人がいなければ社会は進歩しない」と慰めの言葉を贈ったことを紹介した。(共同通信)」

この、世界にとっては非常識の声が大きくなれば、「無理が通れば道理が引っ込む」ということわざの正しさが証明されてしまう。テレビでドイツ人ジャーナリストが語っていたが、日本ではしかるべき人がこの流れに対して発言しないと、この流れを押しとどめることが出来ないだろうと語っていた。まさに、今知識人の責任が問われている。臆病な知識人は、世の中の流れに逆らうような正論を吐くことができないのだろうと思う。

3人を診察した医師が、3人を孤立させてはならないと語っていたが、まさにその通りだと思う。世界の民主主義国家の人々は、3人を支持する人が多いだろうが、日本ではその逆に3人をバッシングする人の方が多い。この非常識をもっとよく考えなければならないだろうと思う。僕も、彼らを孤立させてはならないと思う。僕は、大して影響力のない人間だが、精一杯声を大にして、彼らを支持していきたいと思う。



さて、自己責任論を考えるのに役に立ちそうな情報を、田中宇さんのレポートの中に見つけた。

イラク駐留各国軍の危機

ここで田中さんは、イラクの現状を次のように報告しているのだが、どれだけの日本人がこのことを理解しているだろうか。田中さんは、スペインの撤退について「撤退は間に合うだろうか」と心配している。多くの日本人は、撤退をすること自体に驚いているのではないかと思うが、田中さんは、それが遅すぎないかと心配しているのだ。次のように書いている。

「米軍がナジャフに突入すると、これまで米軍統治に対して忍従の態度をとってきたシーア派の人々の堪忍袋の緒が切れ、シーア派が住むイラク中部・南部の各地で反米決起が起きる可能性が高い。シーア派の最高指導者であるシスターニ師(システーニ師)は、米軍がナジャフに突入したら、アメリカとシーア派の友好関係は終わると示唆している。」

「米軍がナジャフに突入したら、ナジャフ郊外に駐屯するスペイン軍も、武装したシーア派市民との戦闘に参加せざるを得なくなり、多数の死者が出る。戦況の泥沼化をあおる英米の作戦に巻き込まれるのは馬鹿馬鹿しいので、スペインは6月末の「政権移譲」を待たず、急いで撤退することを決めたのだと思われる。撤退には6週間かかるとされ、その間にナジャフで戦闘が始まったら、スペイン軍は難しい判断を迫られる。」

スペインの撤退が早まったのは、米軍のナジャフ侵攻の可能性が高まり、もしそのようなことがあればスペイン軍に犠牲者が出るのは確実だという恐れが高まったからなのだと言うことが分かる。スペイン軍の撤退に関しては、「この数週間に集めた情報で、国連が(スペインが満足できる)安全保障理事会決議案を採択するとは思えないことがわかった」と日本では報道されている。しかし、事態はもっと切迫しているのだと言うことが、田中さんの報告で分かる。

田中さんは、「米軍がナジャフに突入したらイギリス軍も撤退? 」ということも書いている。ナジャフ突入は、全く信じがたいほどの無謀な作戦のようだが、どうやらこれをやめようという気配がアメリカからは感じられないらしい。そのために、これからイラクから撤退する軍隊がどんどん増えていくような気もする。イギリスまで撤退したら、いったい日本はどうするのだろう。田中さんは、「アメリカは自滅したい?」というような疑問も投げかけている。

イラクはまさに非常に危険な地帯になっている。しかし、このような事実は今までに報道されているだろうか。サマワでは自衛隊が歓迎されているというような記事しか送られていない。その自衛隊は、今は危険なのでほとんど基地の外に出ることも出来ず、人道復興支援どころではないということも全く伝わってこない。このような情報のもとで、今回人質事件が起きたことによって、イラクの危険が伝えられることになったのではないか。

人質事件が起こる前から、このように危険な地であると知らせた人がいったい何人いたのか。ファルージャを何とかするということは、ナジャフ突入というような無謀を押しとどめることなのではないだろうか。自衛隊の安全を確保するためには、日本政府は全力を挙げてナジャフ突入を防がなければならないと思う。このような危険が明らかになったからには、今この時点でイラクに入ろうとする人には、自己責任と言うことを言ってもいいだろうが、それでも、何が起こっているかを知らせたいという高い志を持ったジャーナリストが、あえて危険を選ぶことを選択するのなら、僕はそのジャーナリストを尊敬する。勝手なことをやって迷惑をかけたなんて事は絶対に言わない。なんと勇気ある素晴らしい人かと賞賛するだけだ。それが早く日本の常識になって欲しいと思う。

田中さんの締めくくりの言葉は、多くの日本人に考えてもらいたいと思うような言葉だ。これを最後に引いておこう。

「毎日イラクで殺されている人々は、アメリカの矛盾の犠牲者といえるが、問題なのはアメリカがいくら単独で自滅したくて常軌を逸した行動をしても、世界の他の国々の多くは、まだアメリカに対し、世界を安定させる役割を期待し続けていることだ。たとえば日本や韓国などは、自国の為替の安定のために米国債を買い続け、アメリカが無限に軍事費を拡大できる状態を作っている。これでは、アメリカは自滅したくてもできない。

 ブレアのように、ブッシュから断られても参戦したがる人もいる。ブレアはアメリカに対し、国際協調主義の方が良いと説得して改心してもらおうとしているようだが、これはむしろ常軌を逸したアメリカを、より長く延命させることにつながりかねない。世界が最終的にアメリカを見放すまで、ネオコンのアメリカは、イラク人やその他の人々を殺し続けるだろう。」





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最終更新日  2004.04.21 09:39:21
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