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2014年01月16日
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「本へのとびら ー岩波少年文庫を語る」宮崎駿 岩波新書

少し宮崎駿の認識を改めねばならない。私は「宮崎駿は、世界は滅ぶべき運命にあると確信している人」と思っていた。ナウシカの漫画版後半や「もののけ姫」「ハウルの動く城」などを見ていると、そう思わざるを得なかったのである。しかし、宮崎駿はこの本の中で繰り返し以下のようなことを述べる。

何かうまくないことが起こっても、それを超えてもう一度やり直しがきくんだよ、と。たとえいま貧窮に苦しんでいても、君の努力で目の前がひらける、君を助けてくれる人間があらわれるよ、と、子供たちにそういうことを伝えようと書かれたものが多かったと思うんです。そうじゃないでしょうか。
要するに児童文学というものは、「どうにもならない、これが人間という存在だ」という人間の存在に対する厳格で批判的な文学とは違って「生まれてきてよかったんだ」というものです。生きてて良かったんだ、生きていいんだ、というふうなことを、子供たちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います。(163p)


「終わりが始まった」と彼は現代を認識している。

生きていくのに困難な時代の幕が上がりました。この国だけではありません。破局は世界規模になっています。おそらく大量消費文明のはっきりした終わりの第一段階に入ったのだと思います。
そのなかで、自分たちは正気を失わずに生活していかなければなりません。
「風が吹き始めた時代」の風とはさわやかな風ではありません。おそろしく轟々と吹き抜ける風です。死をはらみ、毒を含む風です。人生を根こそぎにしようという風です。(151p)


そのなかで、未来には希望を持っている。少なくとも絶望を選択してはいない。

本当の終わりが始まった時代に、軽々しくファンタジーを作れない。けれども「いずれ必ず、新しいファンタジーは出てきます」(164p) 、と宮崎駿はいう。

私は宮崎駿の世界観を全面的に賛同はしていない。けれども、現代を「轟々と風が吹き抜ける」時代だという認識には、賛同するし、いつかはそこで未来を掴み取るファンタジーが出来上がる(それは宮崎駿の作品ではない)ことに賛同する。
2013年12月28日読了





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最終更新日  2014年01月16日 12時47分24秒
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