January 29, 2009
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矢吹丈さんの放った“テンプル”へのパンチが原因で力石徹さんが試合終了直後に倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいます。
試合中の事故とはいえ人一人殴り殺してしまうのですから、まだ純真な心を持っていたわたくしが受けたショックは大きく、次の日は幼稚園時からの持病である仮病が悪化して学校を休んでしまうくらいでした。

こちらの地方では雑誌が発売日に店頭に並ぶことはありません。(今もそうですけど。)
未だに「北海道“開発”局」なんて役所があるくらいですから、その当時はインフラ整備からも完全に取り残されていたようで、輸送の遅れは当たり前の事と言った認識さえあったようです。

特に冬は気象状況により汽車が遅れるのは日常茶飯事であり、せっかく雪の中を学校から走って帰ってきても、楽しみにしていた漫画が届いてない事はよくありました。
(小遣いでは買えませんでしたので、当時母が経営していた「駅前理容院」にて、お客様用を拝借して読んでおりました。)

「あしたのジョー」を読み出した時は、ふらりとドヤ街に現れた不良少年がボクシングを通して立派に更正し、アル中隻眼トレーナーの丹下段平さんと二人三脚で世界チャンピオンを目指すサクセスストリーだと思っておりました。

しかし矢吹さんはわたくしの予想を覆し、ドヤ街のガキ達を先導して窃盗などの犯罪を繰り返しついには少年院に入ってしまいます。
少年院では喧嘩や陰湿な暴力シーンがやたらと多く、この漫画は一体どこへ向かうのだろうと思いましたが、この少年院でライバル力石さんと出会いどうやらやっと本筋であろうボクシングにのめり込んでいくのでした。
(力石さんは、窃盗とかの犯罪ではなく試合中の事故で入所していたと思います。)

少年院で丹下さんからの手紙を見て練習する矢吹さんの真似が小学校で流行しました。
空手バカ一代の極真空手ではありませんので、もちろん寸止めのつもりでしたが、そんな事が素人に出来るはずもなく鼻血を出したりして泣く子が続出していました。

仲良し同士がふざけて合って殴り合う事態を重く見た先生が、学校内での「左ジャブ」を全面禁止としたのですが、拳闘漫画に熱中している少年達から「打つべし!打つべし!打つべし!」の声が聞こえなくなるのは、豚にまたがり少年院を脱走しようとした矢吹さんが、暴走豚を殴り倒した力石さんに阻止され「豚から転がり落ちて泥にまみれた姿」に子供達が少々幻滅してからとなりました。

最終回は矢吹さんが椅子に座り、真っ白に燃え尽きてあたかもお亡くなりになったように見えるエンディングでした。大人は燃え尽きるまで闘いになった矢吹さんに感動して神格化までしていたように思います。

今あの頃の青少年達よりもずっと歳を取ってしまったわたくしは、壮絶な闘いを続けてきた矢吹さんが白木ジムで“白髪”の似合うナイスミドルなコーチとなり、ジュリエットを思わせる白木葉子お嬢様と階層の垣根を越えてご結婚され、一姫二太郎に囲まれ幸せに暮らしているラストシーンの方が安心して最終回を読めたのではないかと、すっかり野性味のない「明日のジョー」のラストシーンを頭に描いてはみましたが、そんな事言ったら狂信的なジョーマニアの方に訴えられるかもしれませんので、あっさりとその安定志向のラストシーンを否定いたしました。やはりラストはあの伝説のラストがベストなのでしょうね。

(後のちばてつやさんのコメントでは、矢吹さんの死亡は否定しているようでした。)

母より…
駅前理容院に散髪に来た青年達が「前髪を切らずに長いままにして、垂れ下がらないようにスプレーでしっかりと固めて欲しい」と、漫画でしか出来ないような髪型を注文される事がたまにあったそうです。
「散髪5分後には崩れてしまいますよ」と、いつもは七三ビッタ分けの“なりきり矢吹丈”を説得するのに随分と苦労したそうです。








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Last updated  January 29, 2009 12:29:52 PM


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