沖縄久米島 グランババの農園から

沖縄久米島 グランババの農園から

2023.03.13
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3月13日(月) 旧暦2月22日 六輝は大安(たいあん or だいあん)

 曇り時々小雨、いつもより少し寒さを感じます。今日は、農園の中を歩きながら明日の作業の流れを確認していきます。農園は樹木が多く、中央に2本の「フクギ」の大木があります。1本は雄もう1本は雌の木で、いわゆる夫婦木です。この木には少し云われがあって、父の実家の昔話にゆかりがあります

     仲良く並ぶ雌雄のフクギ       島のアカバナー

 もともとフクギは中国の福建省から渡来したと言われ、島でも「福木並木」「美ら福木」などのフクギの名所があります。福を呼び込む木と書くらいですから、左右対に出る葉は、夫婦の情・恋人たちの愛にたとえられ、その頑丈さから台風よけに屋敷周りに植えられたり、燃えにくいことから防火対策としても重宝される木です。
 我が家のご先祖に「マキシチュラ」と呼ばれたとても髪のきれいな女性がいました。流れるように美しい髪は、洗い髪を何竿にもかけて干したと言われるほど長かったそうです。(言い伝えによればですが)
 彼女は髪の美しさでだけでなく、見目麗しくもあったので、当時の高名な首長「シュンヌスー」に見初められて恋仲になりますが、シュンヌスーにはすでに奥方様がいました。
 結局、チュラは一生を一人で過ごしたのですが、死ぬ間際に「自分の墓は、シュンヌスーの(墓の)見える場所に作ってくれ」と言い残しました。遺族はもちろん遺言を守ったらしいのですが、実はそこがどこの場所か誰にもわからぬままになってしまいました。

 チュラの話は島の民話の中に出てくる話です。我が家にも伝わっていますが、民話の中にない話があります。チュラの髪の美しさの秘訣です。
 チュラはその美しい髪を保つために、アカバナーの木の葉や花で髪を洗っていたとのことです。アカバナーは今で言うハイビスカス、ただし園芸用に改良されたハイビスカスではなく、島に昔から生えている赤い花のハイビスカスです。もみだすとぬめりが出てきます。花はリンスの代わりに使っていたそうです。沖縄では昔から、所々にハイビスカスは髪に良いという話があるのも、ハイビスカスの葉が現在のシャンプーの材料に使われていることも、大人になってから知りましたが、なるほどなと思いました。我が家のご先祖様は400年前からその秘密を知っていたわけです。
 残念ながら私の子供時代、シャンプーは「髪洗い粉」と呼ばれる鉱物が主体でした。アメリカユーの時代には、それが今風なシャンプーに代わり、アカバナーのシャンプーは、おとぎ話の中のお話でした。
 民話の中の「シュンヌスー」と「マキシチュラ」の恋物語はさておいて、フクギの話に戻しますと、この世では共に添えなかった二人が、チュラの住んだ屋敷の中で夫婦のフクギとして生えてきた・・・・というわけです。
 400年以上前の話に真意は問えませんが、まあ、ロマンスの残るグランババの農園です大笑い

 向かって左が雄、右が雌。農園のど真ん中に陣取って農園中を見渡しています。
ちなみに私のアカバナーの使い方は、お茶です。忍者のお茶大笑い、バタフライピーやブルーマローのように色の変化を楽しむお茶になりますので。





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最終更新日  2023.03.13 20:37:05
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