沖縄久米島 グランババの農園から

沖縄久米島 グランババの農園から

2023.04.03
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4月3日(月) 旧暦2月13日 六輝は友引(ともびき)

 昨日、空港へ向かう途中、食材を求めて入ったスーパーに、車椅子に乗った年配のお婆様がいらっしゃいました。80歳はゆうに過ぎておられたのではないかと思います。ニコニコしていらっしゃって、とても無邪気な笑顔でした。もしかしたら少し認知が入っていたのかもしれません。付き添いの方が何か話しかけても始終ニコニコと笑っていました。
 私も婆さんですが、このお婆様を見ていると、自分はまだ子供みたいなもんだなと思い、なんとなく曾祖母を思い出してしまったのです。このお婆様と違い、私のお婆ちゃんはニコニコする人ではなかったのですが・・・。

  少し現実離れをした話になりますが、私は6歳まで曾祖母に育てられました。両親が仕事をしていて、幼い私は、朝に曾祖母に預けられ、夜迎えに来てもらう、あるいはそのまま泊ってしまうかで、幼いころの思い出と言えば、曾祖母と曾祖母の家の思い出しまありません。祖母もしばらくいましたが、この人は半身不随で寝たきりでしたので、早くに亡くなってしまいました。

 この曾祖母はよく幽霊を見る人でした。
 曾祖母の名前はウシーと言いましたが、道を歩いているとウシー婆ちゃんは、時々道端で立ち止まっては、私を反対側によけて
「えー、〇〇、あまかてぃ いなぐぬ たっちょん(○〇、あそこに女の人が立っているよ)」
「あまに、へーたいさんがたっちょーん、みらんきよー(あそこに兵隊さんが立ってるから、見るなよ)」
とか言っていました。おばあちゃんの後ろに隠れてこわごわ覗くのですが、もちろん私に見えるはずがありません。

「そこにいるのは誰だ、一歩でも入ってくると殺してやるぞ!!」
そして棒か包丁を握ってどんどん床をたたくのです。全くお化けが怖いのかお婆ちゃんが怖いのか、子供の私にはどっちも同じように怖かった記憶があります。
 幽霊に向かって「入ったら殺すからなあー」と脅すこのお婆ちゃん、日本語は全然話せず、47年前99歳で亡くなりました。よく漁に出かけ、私の好物のシャコガイを取ってきてくれました。バナナが好きな私のために、美味しいバナナをいっぱい食べさせてくれました。「ハジチ」と言って両手に幾何学模様の入れ墨をしていました。結婚したら入れるタトゥーだとウシ―お婆ちゃんは言ってっていました。そして髪を結いジーファーというカンザシをさしていました。
 沖縄の昔スタイルのお婆ちゃんです。育ててもらったのに、私は大人になるとウシ―お婆ちゃんの事を構わなくなりました。ヤマトゥに行くときも、結婚する時もお婆ちゃんに会いに行くことはなかったのです。
 このお婆ちゃんが亡くなるとき、私は具合が悪くて臥せっていたので、死に目にも会えませんでしたが、お婆ちゃんは幽霊を見る人だから、死ぬときはきっと私に会いに来てくれると信じていました。
 ところがお婆ちゃん、会いに来なったのです。それっきり私もお婆ちゃんの事を忘れてしまいました。

 喫茶店をしていますと、いろんな方たちがお客様でお見えになります。中には霊感の強い方とかユタと呼ばれる霊的仕事をしている方などもいました。
この方たちが、お店に来て言うには
「いますね」「何がです?」
「お婆ちゃんらしき方がいます」
 その方たちの能力によって、雰囲気だけ感じる方、足だけ見える方、短い着物を着ているとか言うのですが、不思議な事にそこにいるという場所だけは、ほぼ一致なんです。

 そのうち私もお店を離れましたので、この話はうやむやになってしまいました。
 ただ、この裏庭、陽も当たらない狭い土地なのに、バナナだけはよくできていたんです。 





         喫茶時代に裏庭で実ったバナナたち





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最終更新日  2023.04.20 08:32:44
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