空想世界と少しの現実

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緋褪色

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カテゴリ: オンナ心
「皇牙君。美香最近店に来てる?」
問いに正直に答える。「いえ、来てないですよ。美香さんと連絡とってないんですか?」頷く真里菜さん。

「あのね、美香、仕事辞めたってメールをくれただけで、音信不通なの。此処に来れば、情報得られるかと思ったんだけど」深く溜息。
「あれ?雅夢さんも今日いないね?」フロアを見渡せど、個性的な茶髪の姿はなかった。


「雅夢さん、長期の休暇取ったんですよ!さすがにうちのナンバーワンですからね、鳳オーナーも拒否できなかったらしいです」幼顔の年上の女性を見つめる。

その表情はひどく不安そうで、心底美香さんを心配していると解る。
「もしかして、二人一緒なのかもしれませんよ?雅夢さんの携帯電話の待ちうけ画面、美香さんとのツーショット写真でしたから」


「あー!もしかして皇牙君、二人の事?」うっかり口を滑らせてしまうっ!!
「しーっ!!店では内緒ですっ!!客に手を出したとばれたら、解雇ですからっ!!」ヒソヒソ声で耳打ちして窘めると、軽く肩を竦め、舌を出す彼女に苦笑する。

「ごめーんっ!!知ってたんだ、皇牙君。美香には内緒にしててって言われてたからさ~!」
私も彼につられて苦笑い。あたし、ほんとは美香をだしに、この彼に逢いたかったのかも。なんだか仕事でもミスの連続で、美容師辞めちゃおうかな?なんて想ってた。

でも、目の前の青年に逢ったら、そんなマイナス気分もどこへやらっ!!やっぱ、単純だ~!

「どうしたんです?顔紅いですよ?あれ、俺水割りの分量間違っちゃったかな?真里菜さん、平気ですか?」
「うーん!駄目かも~!ちょっとふわふわする感じ~!でも悪くない~!」((藁´∀`)) 酔った勢いで皇牙君の肩に額をつける。どーしたの?今日のあたし、めちゃ大胆じゃんっ!!

「真里菜さん、可愛いですね。年上の甘える女性って、僕結構好きです」
「営業文句だって解ってても、素直に嬉しいな~!」美香もこんな気分だったの?雅夢君に肩を抱かれているとき?元旦那以外の、しかも年下君に肩を抱かれて、不安とか疚しさとかって感じなかったのかな?

旦那・・・か・・・アイシテルとか言ってくれる訳でもない。求めてくれる訳でもない。あたしっていったい彼にとって、なんなんだろう。やばっ!!不覚にも涙が頬を伝ってるっ!!(>д<;)


「真里菜さん?大丈夫?」やべっ!!こういう時どうすりゃいいんだっけ?ホストになったものの、サポートでしか接客経験のない自分っ!!真里菜さんが、初めて指名してくれた最初の客。

うあっ!!そんなにうるうるした瞳で見つめないでっ!!女性に全く免疫のない、ホストなんて僕位しかいないだろうなっ!!ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ苦笑して、スラックスからハンカチを取り出して、瞳を拭う。


「ありがと。ごめんね、なんだかさ急に悲しくなっちゃって。あたし女なのに、パートナーからも求められない、魅力のない女になっちゃったのかな」
誰でもいい訳じゃない、でも誰かから求められたい。だってあたし、女なんだもん。

美香みたいに美人じゃない。スタイルが良い訳でもない。でも、でも、誰かにあたしでも良いって、好きだって言って欲しいだけ。もう一度恋したいな。そうすれば全て変わる気がする。美香みたいに。


「真里菜さん。僕は、貴女みたいな可愛い女性好きです。自分に素直で、正直で。それに貴女に魅力がないわけじゃないですよ。クリクリッとした大きい瞳は、貴女のチャームポイントじゃないですか?」

「僕、女性を口説いた経験ないんですけど、真里菜さん見てると、人妻でもいいかな?って気になっちゃいます。実は僕、中学の時、ひどい振られ方して、それ以来女性恐怖症なんです」

「それを克服する為に、ホストになった、大分この業界でも変り種なんですよ」


*゚Д゚)*゚д゚)*゚Д゚)エエエエェェェ「はぁ~!」涙が止まっちゃうくらい驚いたっ!!彼の顔を凝視するっ!!「こんなにかっこいいのにぃ~!信じられないっ!!」
皇牙

「あはは!店の人間には内緒にしておいて下さいね!これ知ってるの、雅夢さんだけですから。接客がいつまで経っても上達しない所から、彼に見抜かれちゃいました」ァヒャヒャ(ノ∀`*)ノ彡☆

彼の微笑みに、つられて笑う!「やだ、なんだかホストのイメージが変わっちゃう!皇牙君って正直なんだね!私も素直で正直な人って好きだよ!もう一杯水割り作ってもらえる?うすーいので!君も飲まない?一人よりも、二人で飲むほうが楽しいもん!」

「もちろん!お付き合いしますよ!」良かった。このまま笑ってくれなかったら、僕も泣きそうになってたかも。笑顔を取り戻して、ニコニコと頬を少し紅くした彼女。やばいな、久しぶりの恋の予感に、微かに胸が痛い。

人を好きになるって恐怖、知っている筈なのに。どうしてこんなにも残酷で、甘美な感情に抗えなくなるのだろう。氷を挟んだトングを持つ手が、微かに震えていた。


可愛い年下君は、私の胸に顔を埋めて熟睡中。ベットのサイドテーブルに置いてあった携帯電話で、彼とのツーショット。雅夢の携帯電話に送信。ついでにブログにも。

携帯電話

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

可愛い可愛い、私だけの雅夢。美香はね、君が大好きだよ!
私だけの為に、仕事休ませちゃってごめんね!

雅夢の温もりは、私にたくさんの元気をくれる。どんなにありがとうの言葉を呟いても
足りないくらい、心から感謝してるよ!

私は君に、何を遺してあげられるんだろう。想い出?なのかな。
少しづつでも確実に、病は私を蝕んでいくけれど、不思議と恐怖感はないよ。

抗がん剤の副作用で、吐き気が止まらない時も、君が背中を擦ってくれるだけで楽になる。
辛くても気持ちが前向きになれるのは、雅夢がいるからだね。

最後はね、笑って見送ってよ!君の泣き顔で見送られたくない。
苦しくても笑っていて。私も笑うから、ね。

それでね、息を引き取る少し前に、最後のキスを頂戴。君に触れていたいから。
大好きな存在を、少しでも脳裏に焼き付けて逝きたいから。

延命も必要ない。そんなの意味ないでしょ?もう死ぬんだから。
最後の死に場所は、ホスピスって決めたよ。もう契約も済ませたんだ。早いでしょ!

身の回りの物は、少しづつ処分していくからね。
死に際は自分の人生の総仕上げだもんね!最後までカッコよくいくのが、金井美香だからさ。

あ、元旦那には、事務所通して連絡して。彼きっと最後間に合わないと想う。
下手したら、地方ロケで連絡もつけられないかもね。

君が看取って、元旦那の狩野雄也に私の生き様、死に様を説明してやってね。
どうしようもない浮気男だったけど、一時はほんと好きだったよって。

ま、雅夢と出逢った今は、もう過去の男だけどね!ァ'`,、'`,、(ノ∀`*)'`,、'`,、
だからやきもち焼かないでよ!雅夢。

大好きな雅夢へ    君を世界一愛してる、美香より。

ありゃ?今日も私信になっちゃった!まあいっかっ!!(。-∀-) ニヒ♪

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

送信後、携帯電話から内容を確認する。
「おお~!今日は長文だ~!我ながら最高のラブレターじゃない?」一人微笑む。
彼はこのブログの文章を見て、照れくさそうに笑うんだろうね!彼を起さないように、そっと携帯電話をサイドテーブルに戻し、小さな溜息の後、瞼をゆっくりと閉じた。


オンナ心 彼の言葉へ





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Last updated  2008/09/03 11:33:56 AM
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