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2019年も、あと数日で終わる。しかし新しい年は、またやって来る。カタストロフィック・イベントがやって来ない限りは。
◎過去6度のカタストロフィー大絶滅
ただそれでも、大絶滅の様子がある程度分かっている過去6度のカタストロフィック・イベントの中で、最も生物の絶滅率が低い大絶滅イベントだった。例えば古生代後期のペルム紀末(約2億5100万年前)の大絶滅は、地球史上の最大の大量絶滅だったが、この時、すべての生物種の95%近くが消え去っている。
白亜期末の大絶滅は、大量絶滅史の中では最も若い絶滅なので、それだけはっきり分かっていて、もしこれが数億年前だったら、その後の大量絶滅に埋もれてしまった可能性も高い。
ただはっきり分かっていると言っても、引き起こしたのが小惑星の衝突であるのは確かだが( 想像図
)、そのメカニズムは必ずしも定かではない。
◎白亜期末は「衝突の冬」だけが絶滅原因か
有力なのは、「衝突の冬」説である。つまり衝突で舞い上がった夥しい量の塵、大火災による煙、煤などが成層圏まで舞い上がり、全球を数年~数十年も覆い、太陽光線を遮って全球を氷河時代のように凍らせ、植物が死滅、それを食べていた草食恐竜がまず死に絶え、ついで草食恐竜を食べていた肉食恐竜が絶滅した――というものだ( 想像図
)。
ただ消えたのは恐竜だけではない。空を駆ける翼竜、海に棲む首長竜やアンモナイト類なども絶滅した。生物種の75%もが絶滅する大量絶滅が「衝突の冬」だけで起こったのは、考えにくいのである。
◎地中の硫黄が大気中に放出されて強酸の酸性雨
そこで最近、古生物学者は、もう1つの絶滅要因を突き止めた。現在もユカタン半島の地下に残る直径約160キロの大クレーター跡「チチュルーブ・クレーター」( 写真
)を掘削調査していた国際研究チームは、このほど有力な手掛かりを見つけた。
それによると、ユカタン半島の地層中に含まれる硫黄が大衝突による高温で三酸化硫黄になり、硫黄分にして少なくとも3250億トンもの膨大な量が大気中に放出されたという。三酸化硫黄ははるか宇宙空間まで舞い上げられ、わずか数十秒で三酸化硫黄を含む巨大な雲も発生した。
これは、舞い上げられた熱い水蒸気に溶け込み、高空で冷やされて硫酸並みの酸性雨となった。これが衝突の1日後から降り始め、世界中で1週間は降り続いたと見られるという。
◎絶滅を免れたのは酸性雨を避けられた動物
硫酸並みの豪雨に打たれれば、地上の動植物は焼けただれて死滅するだろう。海にも流れ込み、一時的に酸性の海となる。 先の「衝突の冬」は、強酸性の豪雨の後に訪れたに違いない。生き延びられたのは、木の洞や岩の亀裂に身を縮められた雑食性の一部哺乳類や冬眠できた爬虫類、そしてあらゆる悪環境にも耐えられる一部昆虫類、そして種子として「休眠」できる植物などだった。
◎今後の大衝突で文明を再建できるか
ちなみに6550万年前と異なり、高度の文明社会になった現代なら、壊滅的だろう。生き延びられるのは、十分な食料と水を蓄えたシェルターに逃避できたごく限られた人々だけに違いない。こうした「特権」層も、飢えた民衆にいつ襲われるか分からない。襲撃されたら、憎しみを一身に浴びて殺されるに決まっている。
何十年も続く「衝突の冬」と酸性化した土壌・河川湖沼の回復を待って、文明を再建できるだろうか。
・過去の関連日記
――11年2月27日付日記:「地球最大の火山噴火が地球史上最大の大絶滅を引き起こした証拠見つかる;パンゲア大陸分裂とカタストロフィー;ジャンル=古生物学、地質学」
昨年の今日の日記
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