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2025.01.02
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カテゴリ: 日本史


 本格的寒波が到来する真冬となったが、今夏の酷暑がなんとなく懐かしく思える。
 25日に気象庁が発表したところでは、11月末までの速報値で2024年の平均気温は平年値より1.64℃も高く、1898(明治31)年の統計開始以来、最高となった。12月の気温を加味しても、変わるまい。

​◎おかしな歌川国芳「洲崎初日出の図」​
 前年の23年も同1.29℃高だったが、それをも上回る。温暖化が加速している。
 最近、ある新聞コラムで、歌川国芳の浮世絵「東都名所 洲崎初日出の図」を取り上げていた。
​ 見れば見るほど、不思議な絵だ。江戸湾の水平線から顔をのぞかせた初日の出の太陽からのびる薄明光線が、上方にでなく、水平に水面にのびている( 写真 )。
​
​

 本来は薄明光線は、 図 の朝日新聞社旗のように放射状に上方にのびていくものだ。実際、歌川国貞の「二見浦曙の図」( ​写真​ )では上方にのびている。しかし江戸湾の水面をのびる薄明光線は、初日の出を強調した作画であろう。​





​◎見られないはずの初日の出と富士山が同一画面に​
 さらに実際にありえない風景が、水平線の向こうに頭だけ出している白い富士山だ。富士山は、洲崎を挟めば西側にあるから、東から出る初日の出と一緒に見えるはずはないのだ。しかし初日の出と富士山はいかもにめでたい。そうした意図からの作画であろう。
 国芳は、1枚の浮世絵に何カ所もの作画を描き込んだのかもしれない。

​◎小氷期のヨーロッパは凍結した​
​ ところで国芳たちの活躍した江戸時代は、寒冷な時代だった。例えば歌川広重の「東海道五拾三次之内 蒲原夜之雪」( 写真 )は、温暖なはずの蒲原(今の静岡県)の深い積雪の夜を描く。近代以降で蒲原にこんな積雪があったという記録は無いらしいが、寒冷だった江戸時代では十分あり得ただろう。​



 15世紀から始まったこの頃は、世界的には小氷期と呼ばれる時代だ。イギリスのテムズ川もネーデルランドのゾイデル海も冬には凍結したとされるし、グリーンランドのヴァイキング植民者も農耕ができなくなって海獣狩猟民に転換し、それも追いつかずに絶滅した。
​ 最も象徴的なのは、ピーター・ブリューゲルの「雪中の狩人(1565年)」( 写真 )だ。
​


​◎江戸の4大飢饉もこの時代​
 日本でも、「隅田川が凍って舟の往来ができなかった」記録が残るほど、江戸時代は寒冷だったのだ。
 だから、有史以来の「江戸時代の4大飢饉」は、世界的な小氷期の時に起こっている。
 寛永の大飢饉(寛永19年=1642年~寛永20年=1643年)、享保の大飢饉(享保17年=1732年)、天明の大飢饉(天明2年=1782年~天明7年=1787年)、天保の大飢饉(天保4年=1833年~天保10年=1839年)である。
 江戸時代は徳川幕府治世下で戦乱は無かった。鎖国していたので、海外からの悪疫の流入も無かった。3000万人前後と十分に増えていた人口で、寒冷な気候の襲来で不作になれば、大飢饉として多くの人が餓死したのだ。
 江戸時代の大飢饉を伴った寒冷期=小氷期は、温暖化が加速している今では過去のものとなっている。

​☆小氷期の関連日記​
・24年6月2日付日記:「16~19世紀のヨーロッパを凍りつかせた小氷期、超温暖化の今はそれを期待したい」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202406020000/
・23年11月16日付日記:「もう1つの先史時代航海:中世温暖期の北米北東岸へのヴァイキングの植民と小氷期のグリーンランドでの絶滅」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202311160000/
・21年2月22日付日記:「武漢肺炎パンデミックのイギリス、300年以上前の小氷期以来のGDP落ち込み、その小氷期とは」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202102220000/
​ 昨年の今日の日記 :「薩長土肥の明治藩閥政府に入った数少ない他藩出身の理財家・由利公正:坂本龍馬の明治新政府に残した最後の遺産」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202401020000/​






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Last updated  2025.01.02 05:52:10


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