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2025.01.09
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カテゴリ: 生物学


 7年前の今頃、南半球にあるニュージーランドの夏を期し、南島のミルフォード・トラックの3泊4日トレッキング行をやり遂げたことがある。

​◎テ・アナウ湖湖畔で観たタカヘのモニュメント​
​​ ミルフォード・トラックに入るのは厳重に規制されていて、3泊4日行の入口は1カ所しかない。氷河湖と思しき美しいテ・アナウ湖( 下の写真の上 )から船で入り江の入口に向かうのだが、テ・アナウ湖の船着場で乗船を待つ束の間、湖岸を散策すると、交差点に大きな鳥のモニュメントが立てられていた( 下の写真の下 )。赤い嘴と脚、青い羽毛の美しい「タカヘ」というニュージーランド固有の「飛べない鳥」である。
​​




 その時は個体数を減らし、ニュージーランド環境保全省が保護している鳥、ということくらいしか知らなかったが、モニュメントとはいえ、ここでお目にかかれたのは嬉しかった。タカへのモニュメントがなぜ、テ・アナウ湖湖畔に立てられているかは、1度絶滅したとされ、後に再発見されたのが、この近くだったからだ。

​◎1人の医師の尽力で再発見​
 タカヘは、かつてニュージーランドの北島と南島に広く生息していたらしいのだが、捕食者のいないニュージーランドで「飛べない鳥」に退化したため、人と共にやって来たネズミやオコジョに捕食され、北島では数世紀前に絶滅、南島でも人里離れた南部のマーチソン山脈周辺に追い詰められ、1898年に鳥類学者により1度は絶滅宣言された。
 その半世紀後の1948年、テ・アナウ湖近くで聞き慣れない鳥の声と見慣れぬ足跡に関心を抱いた、博物学に情熱を持つ医師、ジェフリー・オーベル博士らによって、調査が始められ、
​ オーベル博士ら調査チームは、隔絶された急峻なマーチソン山脈の険しい渓谷やうっそうと茂った植生に分け入り、原野の奥深くで、それまでに見たどんな種にも似ていない、どっしりした体型と鮮やかな青緑色の羽毛、赤い嘴を持つ鳥を発見したのだ( 写真 =90歳の時のオーベル博士、再発見50年の記念に捕獲飼育されたタカヘの若い個体を保護区のマーチソン山脈に放鳥する時の写真、1998年)。​



​◎再発見後、直ちに手厚い保護活動​
​ タカヘは、こうして再発見された。おそらくその時点で、タカヘの個体数は種の存続が危ぶまれる100羽前後に減っていただろう。タカヘは1雄1雌で、鳥類によく見られるようにペアは生涯維持され( 写真 =タカヘのつがい、カピティ島で)、うっそうとした植生の中に巣を隠す。ただ1シーズンに1羽しか育たないので、いったん個体数が減ると回復は容易ではない。​



 直ちに保護の手が打たれた。最初の対応として、タカヘが再発見されたマーチソン山脈は保護区に指定され、人間活動や外来捕食者による攪乱から守られることとなった。
 当時のニュージーランド野生生物局(環境保全省の前身)は、タカヘに特化した保護プログラムを迅速に設立した。最初の対策として、捕食者の駆除、生息地の復元、残存個体群の詳細なモニタリングが実施された。フィールド研究者によるタカヘの行動・食性・繁殖パターンの研究が始まり、この鳥に何が必要で、どんな脅威が迫っているかに関する理解が進んだ。

​◎種の保存・回復のお手本​
 歳月とともに、保護の取り組みは、洗練化された。個体数を増やし、種の保存のセーフティーネットとするための飼育下繁殖プログラムが設立された。ティリティリ・マタンギ島やカピティ島といった、捕食者のいない島という安全な環境での自然繁殖が保証されるに至った。まさに絶滅の瀬戸際に陥った種を救ったお手本である。
 官民挙げてのこうした努力が実り、タカヘの個体数は少しずつ回復し、現在は500羽前後に回復しているという。
​
昨年の今日の日記 :「昨年の米株式市場を沸かせた『マグニフィスント・セブン』の信じられないような好パーフォーマンス」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202401090000/​






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Last updated  2025.01.09 06:17:12


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