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「パリに床屋は何軒ありますか?」学生のときに先生から聞いた話ですが、大学院の博士課程進学の面接でこんな質問があったそうです。「パリの床屋?何言ってんだそんなの知るか」と言いたいところですが、ちゃんと意図がある質問です。「パリの床屋協会に電話して聞いてみます」ってフランス語の能力を試すわけじゃあありません。「ちょっとインターネットで調べます」って情報収集の能力を試すわけでもありません。論理的思考ができるかどうかを試しているのです。パリの人口が、どれだけか分からないけど、とりあえず100万人と仮定しましょう。男性はその半分の50万人。幼い子供等、床屋に行かない人が1割いるとすると45万人、この人達が平均して2ヶ月に一回床屋に行くとすれば、一ヶ月の間に225,000人が床屋に行きます。客一人あたりの売上が、これもどれだけか分からないけど平均4,000円としましょう(イメージしやすいよう円で計算します)。そうすると一ヶ月の床屋の売り上げは全体で225,000[人]×4,000[円] = 900,000,000[円]一方、床屋一軒当たりの売り上げですが、従業員の給料からアプローチしてみましょう。一軒に平均3人働いていて、ひと月の給料の平均が30万円としましょう。ひと月の人件費が30万×3=90万円。これを賄うのに必要な売上は。床屋の利益率とか全然想像つかないけど、倍の180万円あれば足りるだろうか。全体の売り上げを一軒当たりの売り上げで割れば900,000,000[円]/1,800,000[円/軒] = 500[軒]と出ます。どうでしょう。妥当性を確認するために別のアプローチで考えます。一軒当たりの一日の客数を、平均18人としましょう。週6日営業とすれば、ひと月の営業日数は25日。18×25=450人が一軒当たりのひと月の客数になります。全体でひと月225,000人の客がいるので、225,000[人]/450[人/軒] = 500[軒]さっきと同じ値になりました。(なるように調整したんですが)調べてみるとパリの人口は220万でした。最初の仮定がすでに倍違うので、500軒という数も違うでしょう。調べてみてもパリの床屋の軒数までは分かりませんでした。床屋協会に問い合わせるしかないでしょう(そんな協会があるのかは知らんけど)。でも重要なのは、数が合っているかではなく、考え方が合っているか。筋道を立てて考え、計算の根拠を明らかし、結論を導くこと。それがドクターの資質として求められることの一つというわけです。実験のデータは小学生でも取れる。データから何を見出すか。ドクターでなくても必要な能力であると思います。それはともかく、こういう計算を考えるのもなかなか楽しかったりします。
Oct 2, 2014
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