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2010.08.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類

  夏の風物詩と言えば、蛍、風鈴、花火、ソーメン、スイカ、高校野球と来て、やはり蝉の泣く音に落ち着く。
先ず「蝉」を文学から紐解くと、源氏物語の「空蝉」(うつせみ)の巻だ。吾輩からすれば源氏物語とは、光源氏が雅な宮中に生まれながらも屈折した生い立ちから、女性遍歴をし、その交流を美文で和歌を織り交ぜて描いている小説と考えていた。この巻を読んで、空蝉のような女性が、男依存から超越して孤高の境地に達した強い女性達の物語だと言うことを、梵やりと理解できた。万葉集等と比較した場合、貧しいこととか庶民の生活感ある気持ちが全く記載されていない。古文の美しさにはただただ驚くばかりだが、稼ぐと言う生活に根ざしていない貴族の物語が、視点を変えれば斯くも魅力が増すものだと感服している。
「空蝉」とは、‘’この世は蝉の抜け殻のように、仮のものではなく、はかないもの‘’と言うことだ。平家物語、能、茶道、禅等に表現として出てくる「無常観」の走りをこの巻は述べているような気がする。
この夏も木漏れ日の林を散歩しながら、蝉時雨の音で蒸し暑さを感じつつも、夏~秋に移る物悲しさの中で、蝉の抜け殻と死骸を夫々見つけた。「蝉の抜け殻」には、抜けた後の蝉の一丁前の姿を想像すると、お疲れ様と言いたくなる。 蝉の一生は、枯れた枝とか、木の幹に産卵し、越冬、翌年5月頃孵化し、幹を伝わって地中に6年~8年(最近はアブラゼミなど一部は、猛暑と梅雨の開け方等が影響し、4年位に短縮されたとの分析もある。)、梅雨上がりの頃、地上で成虫になり、6日~8日(約1週間、最近では4日位と言う説もある。地中と地上で、約1年分(365:1)の期間に差があるものの、それで一生を終える。 オスは地上にいる間は、求愛の泣きまくりでパートナー(メス)を見つけ、産卵に漕ぎつく。成虫になってからは結構忙しいのである。蝉時雨がオスの愛の絶叫だと思うと「もっと泣いて頂戴」と言う感じにもなる。猫やカラスの発情期の鳴き声は、決して及びでないが。
  ‘’ラジオ体操第1、第2を3カ月すると、適面にダイエット効果有り‘’とのキャッチコピーを週刊誌広告を新聞広告欄で拝見した。そう夏はラジオ体操が始まる。お年寄り参加数の割合が、子供さんの参加人数の2割以上だったら、その地域は少子高齢化が進んでいる地域という説もあるようだ。ラジオ体操を終えた子供たちが、蝉取りにいそしんでいたが、捕獲間際の逃げる際、蝉が良くおしっこをしている。これは、威嚇では無く、蝉が水分や消化不良の樹液を捨てて、夏バテしないようダイエットしているシーンと言うことらしい。
   次に、和歌を伝統文化として現代にまで延々と普及させた「百人一首」だ。その一歌人「蝉丸」法師も蝉にまつわる文芸人として挙げられる。「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」。正月に家族や知人で繰り広げる「百人一首かるた」の坊主めくりで「蝉丸」さんを引くとどっと’’残念’’の笑いが起こる。
   三つ目に、蝉の声を「禅」の修業の如くつかみ様がなく、岩に浸み込んでいる状況を読んだ、松尾芭蕉の名句が挙げられる。「閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声」。 「奥の細道」の立岩寺紀行の一句だ。日本を代表する文化‘’禅‘’と、蝉の漢字が似ている。蝉時雨も、禅寺で修行している僧の読経の様にも聞こえる。蝉の樹に留まっている姿は、動かない座禅中の禅僧に似ている節も有る。芭蕉は、岩に吸い込まれている蝉の声を、禅の悟りの如く、延々と続く、捕え所の無い悟りを求める境地とオーバーラップしたのではないかと思う。この句が出来てから330年位経過していると思うが、句の斬新さは時を超えて心に響き渡るものだ。
   文学からの4つ目最後は、藤沢周平の小説「蝉しぐれ」だ。2003年テレビドラマとしてNHK金曜時代劇で放送され、その後映画や舞台でも放映や上演がされている。立岩寺の芭蕉「閑さや・・・」の俳吟場所と、藤沢周平が育った山形県鶴岡市とは近く、ドラマの舞台「海坂藩」は、江戸藩邸との行き来に立石寺を経由したのではないかと思うくらい、蝉時雨の轟渡る山奥深い夏のシーンが出てくる。剣術の修業場所もしかり、藩を逃げる際も、夏の蝉時雨がよく似合う舞台設定だ。 ドラマの内容は、藩を愛する若き下級武士達が、お家騒動に翻弄されながらも立ち向かう物語だ。武士道の求動を、蝉時雨のやるせない延々と続く声に重ねているのではないかと思う。 藤沢周平もどこかで、芭蕉の「閑さや・・」の句想を参考にしているのではと思う。

   昆虫としての蝉は日本には33種類いるらしい。夏の移ろいを感じる中、梅雨明け宣言が出ると共に、ニーニー蝉が泣き、ミンミン蝉、アブラ蝉=クマ蝉(最近は’’油’’を売っているのかアブラ蝉よりクマ蝉が多い)、めったに聞かれなくなったがツクツクボウシと続き、秋の訪れを感じる頃、その’’日暮らし’’のヒグラシが囁く。後は鈴虫達秋の虫に譲るべく去ってゆく。人様は熱帯夜で’セミ’ヌード姿としても、それは33種類には含まれず。





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Last updated  2010.08.15 14:25:52
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