まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2020.10.16
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カテゴリ: NHK朝ドラ
「エール」の戦争描写が衝撃的すぎて、


わたし自身、
藤堂先生の死や、弘哉くんの死は、
ある程度予測できましたが、
梅にまで死の危機が迫る展開は予想外でした。

結局、
朝ドラ的な配慮もあって、
豊橋の登場人物が命を落とすことはありませんでしたが、




「エール」の戦争描写が、
視聴者に衝撃を与えたいちばんの理由は、
日常との落差がきわめて大きかったことだと思います。

このドラマは、
基本的にはコミカルな演出で、
おだやかな日常を描いていました。

太平洋戦争がはじまると、
さすがに服装や食事は質素になりましたが、
それでも、
日常のおだやかさは失われませんでしたし、



…しかし、
主人公の裕一がビルマに派遣されたことで、
ドラマの描き出す世界観がいっきに変わりました。
画面が急に暗くなった感じがしました。

その時点で、

その内容は、想像をはるかに超えるものでした。

わたしは、てっきり、
「今週は外地の悲劇が描かれるだけ」と思っていました。
内地で空襲などが描かれるのは、
きっと来週以降だろうと勝手に思い込んでいたのです。

むしろ、
外地の悲劇的な状況と、
内地の穏やかな状況が対比して描かれると思っていました。

ところが、実際には、
水曜から木曜とたて続けに、
「外地の悲劇」と「内地の悲劇」が描かれました。
見ている側に心の準備をする余裕はありませんでした。

聴き慣れたテーマ曲やクレジットロールも省略され、
いきなり視聴者は「日常」から「非日常」へ突き落とされました。

外地の悲劇と内地の悲劇が、
わずか2日間に凝縮して描写され、
あっというまに終戦を迎えてしまいました。

これは予想外でした。



すくなくとも、
藤堂先生や弘哉くんにかんしては、
それなりの「死亡フラグ」が立っていたと思います。

しかし、梅には、
どこにも「死亡フラグ」など立っていませんでした。

そこに 最大のリアル があったと思っています。

なぜなら、
現実の世界には「死亡フラグ」など存在しないし、
悲劇に対しても「心の準備」などありえないからです。



ちなみに、戦争というのは、
一般的に「4年ぐらいで終わるもの」だといわれています。
(双方の国力がそれ以上もたないからです)

太平洋戦争があったのも、
昭和16年から20年までの4年間です。

最初の2年くらいは、
大きくは変化のない日常が維持されます。
ドラマのなかでも、
登場人物たちは、優雅に音楽を演奏したり、
喫茶店でコーヒーを飲んだりしていました。

しかし、
後半の1~2年のあいだで、
あっという間に日常は崩壊します。

生活必需品までがいっきに枯渇し、
軍人でない人まで戦地に送られるようになります。
実際の戦争でも、そういう状況に陥ります。

かなり急激に日常が崩壊していくわけですが、
多くの国民は、ギリギリまでそのことに気づかないのです。
そして、崩壊しはじめて気づいた頃には、もう遅いのです。

もちろん、
誰も「心の準備」など出来ないし、
誰にも「死亡フラグ」などは立ちません。
にもかかわらず、
もっとも死んでほしくない人が死んだりします。

それが戦争のリアルだと思います。

今回のドラマの衝撃は、
そのような戦争の現実に近い体験を与えました。

唐突ともいえる形で、おだやかな日常が一気に崩壊し、
予兆に気づく暇もなく、
非日常の状態へといきなり突き落とされたのです。

それが視聴者のはげしい動揺につながったと思います。






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最終更新日  2024.06.20 17:13:50


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