まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2022.10.29
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夕月夜一人暮らしの光熱費 行く秋やうどん繰る子の箸高く 秋の夜たゆたう湯気メガネ曇らせ 出番待つ揚げ物軍隊秋の宵 露の世のいつぽん長きうどんかな 更待やぶっかけすすり出港す 秋寒や焦げた天麩羅箸の先
プレバト俳句。
お題は「セルフのうどん店」。





梅沢富美男。
秋寒や 焦げた天麩羅箸の先


いやあ、
いままでの梅沢の句のなかでベストかも…。

従来わたしがベストだと思っていたのは、
鯉やはらか 喜雨に水輪の十重二十重
なのですが、それに劣らない出来です。

先生が言うように、

わたしの好みでいえば、今作のほうかなあ。

けっして「箸」だけを詠んでいるのではなく、
その先に天婦羅や美味しい料理が見えるし、
粋な小料理屋のささやかな賑わいも見えます。
外の寒さと対比された店内 (あるいは自宅?) も暖かい。

ここにきてホームラン級の当たりでした。



こがけん。
行く秋や うどん繰 る子の箸高く
箸高くうどん繰る子や 秋は行く
(添削後)

原句もじゅうぶんに素晴らしい。

もしかしたら賛否あるかもしれないけど、

下五については「箸高し」と終止形にすべきか迷うところですが。

語順を入れ替えた先生の添削はさすがですが、
下五の助詞を「は」にしたことで、
作者の意図とは反対に、
あえて晩秋の寂しさを「子の成長」から切り離したように見える。


「晩秋」と「子の成長」のどちらもが寂しいのだとすれば、
この助詞は「の」にすべきなのかもしれません。



森迫永依。
秋の夜 よる たゆたう湯気メガネ曇らせ
秋の夜 のうどんに曇る眼鏡かな
(添削後)

このあいだ出演したばっかりだから、
2週分続けて収録したのかしら?と思いました。


まずは破調について。

文節の句またがりで合計17音にしているあたり、
俳句のルールが分かっているともいえるけれど、
この句の場合は、
内容から考えて破調にする必然性を感じません。
むしろ助詞を入れて、
秋の夜 たゆたう湯気のメガネ曇らせ
と5・7・6の字余りにしたほうが調べがよいと思う。

つぎに「たゆたう」について。

辞書的には「ゆらゆら揺れる」という意味なので、
「ゆらゆら揺れない湯気があったら持って来い!!」
とも言えるし、
強いてこの語を使うのだとすれば、
その揺れによって「所在なさ」「心もとなさ」などを表す場合でしょう。
いずれにしても、
湯気に対してこの形容が必要なのかは疑問です。

さらに、本人も言っていたとおり、
「うどん」と明記しなければ「温泉」の句とも読めますね。

ってことで、総じて先生の添削が妥当です。



勝村政信。
出番待つ揚げ物軍隊 秋の宵
揚げ物も万端 うどん屋の秋宵 しゅうしょう
(添削後)

いままでの勝村の句で一番ひどい…

どうしてここまで迷宮入りしちゃったのでしょうねぇ。

まず擬人化そのものがクサいのだけど、
助詞がなくて切れの位置も分からないので、
下手をすると三段切れに見えてしまうし、
かりに、
出番待つ揚げ物/軍隊秋の宵

と切れば、
「天ぷらの準備が整った軍隊の秋」とも誤読できるので、
もはや擬人化の意図すら伝わらない。

これはもう初歩的な失敗であって、
勝村の病状はかなり深刻だと思います。

もしかしたら、
すでに夏井俳句とは別の表現領域を目指してるのかも(笑)。
それならそれで、いっそ野に放ってしまってもよいのでは?

かたや先生の添削は、
(まあ、こうするしかなかったのでしょうが)
取り合わせとして近すぎますよね。



春風亭昇吉。
露の世のいつぽん長きうどんかな


いちおう「露」が秋の季語ですが、
「露の世」となると、本来の映像は失われて、
もはや時候ですらない、という難しい季語。

秋だからこそ「儚き人生」を感じる、ということですね。

梅沢がつねづね言っているとおり、
下五を「かな」で締める型も難易度が高いはずですが、
それらをしれっと、いとも簡単にやってのけています。

飄々として、
どこか人を喰ったようなしたたかさも感じさせる句柄。
(まぐれ当たりかもしれませんが)



中田喜子。
更待 ふけまち や ぶっかけすすり出港す


季語の「更待」は陰暦二十日の月のことだそうです。

たぶん本人は無意識なのでしょうが、
「更ける」「待つ」「ぶっかける」「すする」「出港す」
と、まるで動詞だけで作ったような言葉遊びにも見えます。

もちろん、実際は、
「すすり・出港す」という2つの動詞を用いた動画的な内容で、
他はすべて "動詞の名詞化" なのですが、
ややもすると混乱や誤読を招きかねない危険なチャレンジです。


上五の季語の「更け・待つ」の上品さと美しさに対して、
中七下五の「ぶっかけ・すすり・出港す」の下品さと荒々しさが、
すべて動詞による対比をなしているかのようです。

ちなみに「ぶっかけうどん」の発祥は倉敷 or 讃岐だそうですが、
比較的新しい言葉なので、
「ぶっかけ」だけでは何のことか伝わらない可能性もある。
かろうじて「食べて」ではなく「すすり」とすることで、
うどんだろうと推測できる、ってな感じでしょうか。



キスマイ二階堂。
夕月夜 一人暮らしの光熱費


まさかの1位は二階堂でした!


梅雨曇 早朝ロケのカップ麺

…に続いて、
ぜんぶ同じ型を用いて3回目の才能アリ(笑)。

季語の「夕月夜」の選択も、
まぐれ当たりにしては出来すぎています。

こんどは別の型を試してみては?

…と言いたいところだけど、
まあ、
二階堂の場合は、
もうしばらくこの型のままでもいいのかな、
という気がしています(笑)


▼それよりも漢字の勉強をしましょう!






※今回は面白い季語が多かった。


「露の世」露のように儚い世


「更待」陰暦二十日深夜の下弦の月


「夕月夜」陰暦十日ごろまでの上弦の月が出る夕方






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最終更新日  2023.02.22 14:02:22


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