まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.07.30
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風薫る初のマニキュアは百円 若夏をラッパ飲みする白帽子 雪濡らすバス待つ我の単語帳 小高の地心に刻む春日傘 手酌酒祖父の背中や年歩む 炎天に映える黒肌まだ足りぬ クマわたし揺れる母観て露寂し 何度目のオセロ薄目のこたつ猫

今回は、過去句にかんする抜き打ちテスト。

このブログで取り上げてなかった句もありました。
(2020年よりも前の作品です)



山之内すず。
風薫る 初のマニキュアは百円


実体験にもとづく率直な内容で才能アリ。

強いて欠点をあげれば、
上五の季語に映像がないことかもしれません。




若夏をラッパ飲みする白帽子

制帽は白 はつなつをラッパ飲み (添削後)

隠喩で「夏を飲む」と詠んだ句。

作者の意図に反して、
「若夏」は《沖縄の初夏》を意味する季語なので、
添削ではこれを「初夏 はつなつ 」に置き代えています。

同時に、
小学生の帽子だと分かるように「制帽」に直している。

しかし、
「制帽」は軍人や自衛官の帽子にも見えるので、
たんに「若夏」を「初夏」に直せば十分でしょう。

かりに「沖縄の夏」との誤読も許容するなら、




向井慧。
雪濡らすバス待つ我の単語帳


才能アリだったようですが、
いろいろと直すべき点の多い句です。

まずは「雪 濡らす」かを読み迷わせる。

そして「雪 濡らす」だとしても、
「バス」を濡らすのか「単語帳」を濡らすのか分からない。
多くの読み手は「雪が濡らすバス」と誤読するでしょうが、
そもそも「バス」はまだ来ていないので実景ではありません。
なので、
「雪が濡らす単語帳」でなければ、季語を実景化できない。

さらにいえば、
中七の「我の」は省略することが可能です。

ためしに、
単語帳を雪に濡らしてバスを待つ

としてみました。



キスマイ二階堂。
小高 おだか の地心に刻む春日傘

小高の地 心に春の日傘さす (添削後)
春日傘心に小高去る日かな (添削後)

感情表現「心に刻む」の是非だと思いますが、
添削でも「心」は排除していないのですね。

かりに実景だけを詠むなら、
春日傘さして小高を去る日かな
のようになるでしょうか。



キスマイ二階堂。
手酌酒 祖父の背中や 年歩む

酒を酌む祖父の背中や 年歩む (添削後)
手酌せる祖父の背中や 年歩む (添削後)

添削では三段切れだけを修正していますが、

冬の季語「年歩む」はただの時候の説明なので、
そこに映像がないのも弱い。

むしろ中七で切らずに、
手酌せる祖父の背中を年がゆく

のような形のほうがいいかもしれません。



みちょぱ。
炎天に映える黒肌 まだ足りぬ

美しき日焼けの肌をなおも焼く (添削後)
美しき日焼けの肌を焼く焼く焼く (添削後)

原句もそこまで悪くないと思うけど、
何が「足りない」のかがやや不明瞭かな。

炎天下のシーンを撮影してる映画監督が、
「ビキニ姿の女性の数がまだ足りない!」
「上半身裸の男たちをもっと集めてこい!」
…などと言ってるようにも誤読できます。



市川由紀乃。
クマわたし揺れる母観て露寂し

嫁ぐ秋 母へ感謝のテディベア (添削後)

原句は意味不明なので、
おおむね添削が妥当でしょう。



梅沢富美男。
何度目のオセロ 薄目のこたつ猫


滑稽味のある取り合わせ。この対句は上出来でした。





※これ以降の句は、過去の記事で取り上げました。
(リンクだけ貼っておきます)



早見あかり。
春暁の実家 オムツは三枚目

春暁のあくび 三回目のオムツ (添削後)
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202104100000/



村上佳菜子。
疲れたなあ 追い込む季節 冬隣

練習終えスケートシーズンは間近 (添削後)
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202109090000/



くっきー。
葉の隙間溢れ蟲くる歯の隙間

木漏れ日や こぼるる飯にたかる虫 (添削後)
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202110180000/



小林幸子。
携帯扇風機 扇風機市民ホールの舞台袖

開演の舞台袖なる扇風機 (添削後)
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202107100000/



嶋佐和也。
夏の雲 ソフトクリームと溶けてゆく

溶けてゆくソフトクリーム そして雲 (添削後)
溶けてゆくソフトクリーム・雲そして (添削後)
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202108120000/



梅沢富美男。
ますかけの手にある我の木の葉髪
ますかけの手相ぞ 我に木の葉髪
(添削後)
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202111300000/



梅沢富美男。
桐の花 いつかは来ない紙袋
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202304090000/



梅沢富美男。
白秋や 漢字ドリルに書く名前
漢字ドリルに白秋の我が名記す
(添削後)
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202108300000/





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最終更新日  2023.07.30 10:44:46


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