ウンとかスンとか mamatamの日記

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2022.05.29
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カテゴリ: 文楽
少し前ですが、お仕事お休みして文楽東京公演第2部を見てきました。演目は「競伊勢物語(はでくらべいせものがたり)」です。
今回公演のパンフレットから、表紙の写真をお借りしました。wakkoさんが応援していらしたご縁でファンになった吉田玉男さんが今回遣われる紀有常です。写真は第二部のクライマックスの場面でした。
今回、この吉田玉男さんが本当に素晴らしくて!
いつも重厚というか、抑えた動きや表情が特徴な玉男さんですが、今回の紀有常は、いつもと同様派手な仕草はないのに、それでもなお滲み出て、胸に迫ってくるものがありました。
この作品、あまり頻繁に上演されることはないそうで、今回東京では35年ぶりの上演なのだそうです。
そして帰り道に、ご一緒した方からお聞きしたのですが、玉男さんはこの紀有常の役に大変思い入れがおありとのこと。
あー、だからなのね!その思いが客席にまで伝わっていたのかも!!と、一同納得したのでした。
舞台は、在原業平の伊勢物語を下敷きに物語が展開します。帝の2人の皇子の帝位争いに巻き込まれた人々のお話です。
玉水淵の段

実は在原業平の家臣である豆四郎は主人のために御宝を手に入れようとします。それを察した信夫は豆四郎とはぐれた振りをして、一人で玉水の淵に向かいます。先にやってきて御鏡を引き上げた銅鑼の饒八(どらのにょうはち)の隙を見て、闇に紛れて鏡を奪います。しかしその時揉み合いの中で饒八に片袖を引きちぎられてしまいます。
春日村の段
信夫の家では帰りの遅い豆四郎と信夫を、信夫の母の小よしが案じています。
豆四郎が先に戻り、信夫が戻っていないことを知り、信夫を疑い、あやしみ、腹を立てます。
そこへ饒八が信夫の片袖を法外な値段で買えといってきます。訳がわからない豆四郎が断って追い返そうとすると、信夫とよく相談しろと袖を置いて饒八は帰って行きます。
一休みしようと奥に入った豆四郎と入れ替わりに、身分の高そうな武士が小よしを訪ねてきます。
紀有常という公卿で、小よし一家が陸奥にいた頃、身分を隠して太郎助と名乗り隣に住んでいたのです。
はったい茶を飲みながら昔話に興じ、この日が命日の小よしの夫を偲びます。
やがて有常が体を休めに奥の間に入ると、ようやく信夫が戻ります。
疑い、怒る夫に鏡を渡すと豆四郎は大変に喜びますが、饒八が袖を買えと言った真意は、夫婦が金を払わなければ代官所に信夫を売るつもりであると気づきます。
娘が死罪になれば小よしも罪に問われるとの夫の言葉に信夫は勘当されようと様々なわがままを言いかけますが、小よしは歯牙にもかけません。

小よしは最初怒り、断りますが、そこへ代官所の役人が信夫を捕らえにきます。饒八が密告したのです。小よしは役人に渡すくらいならと娘を有常に返すことを承知し、有常は役人を追い返します。
信夫が有常用意の打ち掛けに着替えると小よしは娘夫婦の出世を喜びます。
しかし、有常は、斎宮として伊勢にいるはずの帝の娘の身代わりとして信夫の首を(!!)差し出すつもりでした。
しかも、斎宮となっているはずの姫は伊勢にはおらず、有常の娘と世を偽って都で育ち、在原業平と恋仲になって、帝位争いに巻き込まれて都から逃げ、今はこの家に匿われているという、もうめちゃくちゃ且つなんだそれ!な展開になっています。
美しい衣装に着替えた娘の髪を直してやりながら(それが一番最初の写真の場面です)有常は刀を抜きます。信夫は驚愕しますが、帝のために死んでくれと頼まれ、このやりとりを聞いていた豆四郎が死装束に身を包んで現れたことで覚悟を決めます。有常は夫婦二人の首をはねます。

有常は様子を窺っていた饒八が、業平を匿ってたことを都に言い付けてやる!と駆け出すのを小柄を投げて刺殺し、二人の首を携えて都に戻って行きました。

って、自分で書いていて、あまりの無茶苦茶さに恥ずかしくなるのですけど、でもこれをいかにもな様子のお芝居にしてしまうのですから、文楽恐るべしです。
しかも、見ているわたしたちは、ありえなーい!と思いつつ、人形が演じていることも百も承知で、それでもなぜか感動して、涙も出たりしてしまうのです。
一番無茶苦茶な有常の説得力ありすぎな演技は、やはり玉男さんの技なのですよねー。
いやー、まいりました。

追記
この日は、このほど切り場語りを許された、わたしの大好きな千歳太夫さんが、春日村の段の切りでした。
この方、東京深川のご出身だそうで、大阪の芸能である文楽の中でも、ことさら関東出身者には敷居が高いと思われる義太夫をそこまで極められるのって大変なことだったと思います。
この日も、持ち前の少ししゃがれた声で切々としたクドキを聞かせていただきました。
そしていつもご一緒の三味線、富助さん。
千歳大夫さんの語りがどんどんヒートアップして行くのを、傍でギューッと引き締めるようなクールさが持ち味ですが、時々、ググッと迫ってくる熱いところがあるのです。
このギャップも魅力です。
本当に最高のおふたりだと改めて思いました。





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最終更新日  2022.05.30 14:20:19 コメント(12) | コメントを書く


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