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橘曙覧(たちばなのあけみ)たのしみは空暖かにうち晴れし春秋はるあきの日に出いでありく時志濃夫廼舎しのぶのや歌集 独楽吟どくらくぎん楽しみは、空も暖かくうち晴れた春秋の日に出歩く時。註ありく:現代語「歩く」の語源である古語だが、雅語として用いる場合は、「あちこちそぞろ歩く」「散策する」のニュアンスが強い。
2009.01.28
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橘曙覧(たちばなのあけみ)たのしみはものを書かせて善き価あたひ惜しみげもなく人のくれし時志濃夫廼舎しのぶのや歌集 独楽吟どくらくぎん楽しいのは、揮毫をさせて高価な礼金を惜しむ様子もなく人がくれた時。
2009.01.28
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橘曙覧(たちばなのあけみ)たのしみは妻子めこむつまじくうちつどひ頭かしらならべて物をくふ時志濃夫廼舎しのぶのや歌集 独楽吟どくらくぎん楽しいのは、家族睦まじくうちつどい頭を並べてものを食べている時。
2009.01.27
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橘曙覧(たちばなのあけみ)たのしみは百日ももかひねれど成らぬ歌のふとおもしろく出いできぬる時志濃夫廼舎しのぶのや歌集 独楽吟どくらくぎん楽しいことは、百日苦吟しても出来かった和歌がふと面白く出来てしまった時。
2009.01.27
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橘曙覧(たちばなのあけみ)たのしみは紙をひろげてとる筆の思ひの外ほかに能よくかけし時志濃夫廼舎しのぶのや歌集 独楽吟どくらくぎん楽しいのは、和紙を広げて執る筆が思いのほかに闊達に書けた時。
2009.01.27
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橘曙覧(たちばなのあけみ)たのしみは珍しき書ふみ人に借りはじめ一ひら広げたる時志濃夫廼舎しのぶのや歌集 独楽吟どくらくぎん楽しみは、貴重な書物を人から借り初めに一頁を広げた時。
2009.01.26
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橘曙覧(たちばなのあけみ)たのしみはすびつのもとにうち倒れゆすり起こすも知らで寝し時志濃夫廼舎しのぶのや歌集 独楽吟どくらくぎん楽しいのは、炭櫃(すびつ)の傍に寝そべって揺すり起こすのにも気が付かないで寝込んでいる時。註炭櫃:大型の、暖房・湯沸し用の火鉢。
2009.01.26
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橘曙覧(たちばなのあけみ)たのしみは艸くさのいほりの莚むしろ敷きひとりこころを静めをるとき志濃夫廼舎しのぶのや歌集 独楽吟どくらくぎんたのしみは、粗末な草庵の筵を敷いて座り込んで独り心を静めているとき。註橘曙覧:夙(つと)に近代的感性を持ち、「月並和歌」ではない「近代短歌」を準備したと、明治時代になって正岡子規が絶賛した、幕末・越前(福井)の歌人。昨年の大河ドラマ「篤姫」に、勝海舟の後ろ盾として登場した福井藩主・松平慶永(よしなが)春嶽(しゅんがく)にも称揚され、「志濃夫廼舎(しのぶのや)」の雅号を賜った。明治維新を思想的に準備した国学者たちの群像の一人でもある。仕官せず、生涯清貧を貫いた。なお、「あけみ」といっても、もちろん男ですから、念のため三人の男児の父で、今でいう「家族愛」を詠んだ歌が多数。家集「志濃夫廼舎(しのぶのや)歌集」に収録された「独楽吟」連作52首は、ほとんど現代語訳もいらないほどの平明な表現ながら、まことに心温まる和歌史上の名作の一つである。僕の場合、読んでいるだけで、ほとんど法悦さえ感じる。本日から全文をご紹介する。 ■橘曙覧の世界奥村晃作 ただごと歌の系譜新井満 樂しみは 橘曙覧・独楽吟の世界
2009.01.25
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橘曙覧(たちばなのあけみ)正月むつきたつすなはち華のさきはひを受けて今歳ことしも笑ひあふ宿志濃夫廼舎(しのぶのや)歌集元旦が来た。だから、梅の華の祝福を受けて今年も笑い合う明るい我が家。註橘曙覧:夙(つと)に近代的感性を持ち、「月並和歌」ではない「近代短歌」を準備したと正岡子規が絶賛した、幕末・越前(福井)の歌人。昨年の大河ドラマ「篤姫」に、勝海舟の支持者として登場した福井藩主・松平慶永(よしなが)春嶽(しゅんがく)にも絶賛され「志濃夫廼舎」の雅号を賜った。明治維新を思想的に準備した国学者の群像の一人でもある。なお、「あけみ」といっても、もちろん男ですから、念のため三人の男児の父で、今でいう「家族愛」を詠んだ歌が多数。「独楽吟」連作52首は、和歌史上の最高傑作の一つだと思う。僕の場合、読んでいるだけで、ほとんど法悦さえ感じるほどだ。今後、追々ご紹介していきたい。ちなみに筆者は、歌詠みの端くれとして、深甚な影響を受けた。この「正月」は旧暦(太陰暦)なので、今でいう1月末から2月上旬頃に当たる。早咲きの梅なら、そろそろ咲く頃だ。正月むつきたつ:元日になること。ちなみに、「朔(ついたち)」は「月立ち」の音便。さきはひ:「幸い」の上古語。(神霊などに)祝福されること。ここではたぶん、(華が)「咲き」と掛けてある。宿:本居宣長の流れを汲む国学者らしく、ここでは万葉時代の上古語の意味で用いている。「屋戸」が語源で、「わが家」の意味。関連リンク ■橘曙覧の世界奥村晃作 ただごと歌の系譜新井満 樂しみは 橘曙覧・独楽吟の世界
2009.01.06
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