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2018.01.28

ロン･カーター/スパニッシュ･ブルー

テーマ：ジャズ(207)

カテゴリ：ジャズ

　 https://www.amazon.co.jp/dp/B074W8V2B5
　ベースのバーチュオーソ､ロン･カーター自らが最高作と称したスペイン･ムード溢れるエキゾチックな作品｡このアルバムには1964年にロンが初めてスペインに旅行したときの想い出が込められている｡

　ジャズ･ベーシストの最高峰ロン･カーターお気に入りのアルバム
　ロン･カーターの｢スパニッシュ･ブルー｣というアルバムはロン自身もお気に入りの作品だ｡このアルバムには1964年にロンが初めてスペインに演奏旅行したときの思い出が込められているからである｡この年ロンはマイルス･デイビス･クインテットのメンバーとしてスペインに渡り､バルセロナに滞在した｡ダグ･ラムゼイが書いた原盤ライナー･ノーツによれば､ある休日､マイルスとロンは連れだって歴史の古い町の探索に出かけたが､途中で空腹になり､たまたまみつけた小さなレストランで､思いがけずもすばらしい魚料理をふるまわれたという｡そればかりかこのときマイルスとロンは2人のダンサーと3人のミュージシャンたちによる生粋のフラメンコショウをみることができたのだそうだ｡バルセロナのレストランで体験した純粋なフラメンコ音楽の印象はその後もロンの心の中に強く焼きつくこととなった｡このアルバムに収められている｢エル･ノーチェ･ソル｣と｢サバド･ソンブレド｣はそのときの体験をもとにロンが作曲したもので､マイルスとのあの楽しかった休日の思い出が音に託されているのである｡アルバムが録音されたのは1974年の11月で､この時期のロンはジャズ･ベ―シストとして人気の頂点にのぼりつめたころだった｡日本のジャズ専門誌の｢スイングジャーナル｣(スイングジャーナル社)が毎年行っている人気投票でもロンはマイルス･デイビス･クインテットでの活躍で1968年から1970年にかけてベースのナンバー･ワンになったあと1971年から73年にかけてはリチャード･デイビスやスタンリー･クラークにトップの座を短期間譲ったが､1974年からは再び王座に返り咲いて以後は不動の人気を獲得することになる｡このアルバムではロンとともにフルートのヒューバート･ロウズ､ピアノのローランド･ハナ､ドラムスのビリー･コブハムらがソロイストとして活躍する｡ヒューバート･ロウズはCDクラブの推薦盤になったCTIレーベルの｢春の祭典｣や｢アフロ･クラシック｣といったアルバムでよく知られるジャズとクラシックの両分野で活躍するフルートの名手｡ローランド･ハナはロンとは70年代にニューヨーク･ジャズ･カルテットやセクステットを共同で結成していた問柄で､ロンの音楽の良き理解者｡｢エル･ノーチェ･ソル｣での演奏はロンの音楽を知り尽くしたハナならではの名演奏だ｡ビリー･コブハムはジョン･マクラフリンのマハビシュヌ･オーケストラでスーパー･スターにのし上がった超絶技巧派のドラマー｡｢ソー･ホワット｣でのロンとコブハムのインタープレイは本アルバム中の大きな聴きどころになっている｡(児山紀芳)

　エル･ノーチェ･ソル(El Noche Sol)

　サバド･ソンブレド(Sabado Sombrero)
　アーカンソー(Arkansas)
　　ロン･カーター(b)/ヒューバート･ロウズ(fl)
　　ローランド･ハナ(p､el-p)/レオン･ベンダーヴィス(el-p)
　　ジェイ･バーリナー(g)/ビリー･コブハム(ds)
　　ラルフ･マクドナルド(perc)
　録音:1974年11月､ヴァン･ゲルダー･スタジオ
　解説:ロン･カーター
　CTI(キングレコード)　KICJ-8211
　発売年月日:1997年6月21日
　購入年月日:1997年7月31日(帝都無線紀伊国屋店)