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久々に実家に帰って、何の気なしにキッチンのカウンターに目をやると母宛のハガキが一枚。下の名前、漢字を間違ってる。変なの。裏返してみると 「電子消費者契約通信未納利用料請求最終通達書」…とうとうウチにもやってきました、「振り込め詐欺」。差出人は「法務省認可特殊法人 日綜相互債権管理事務局」「…こちら『電子消費者契約民法特例法』上、法務省認可通達書となっておりますので、連絡無きお客様につきましてはやむを得ず裁判所からの書類通達後、指定の裁判所へ出廷となります。またお支払いおよび出廷を拒否されますと、刑事訴追後、最寄の債権回収業者へ債権譲渡を致しますので、給与差押さえおよび動産物差押さえを強制執行させて頂きます。尚、書面でのご連絡となりますので、請求金額、御支払方法等は当社が以来を承った事により当初の設定と相違がありますので、至急ご連絡の上ご確認下さいますようお願い致します。以上をもちまして最終通告とさせて頂きます」文字でびっしりのハガキ。受付電話番号、と称して6つも番号が並ぶ。そもそも文章がおかしい(笑)他にも、「お支払い」「御支払い」とか、「事務局」と称しながら「当社」とか、あっちこっちに穴が見える。もう一度裏返してみる。右下に「インクジェット紙ハガキ(再生紙)」、普通に押してある、王子郵便局の消印。せめて料金別納郵便にしてみるとか…ツッコミどころが満載、おかしくてしょうがない。いやいや、笑ってる場合じゃない。ウチのおばあちゃんなら引っ掛かりかねない!田舎に持って帰って、実物で説明しなきゃ、と思った穏やかな年末でありました。「おばあちゃん、これね、『振り込め詐欺』って言ってね…」
December 29, 2004
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家に到着!玄関のドアを閉めると同時にコートを脱ぎ始め、お風呂にお湯を張りながら、ネイルを落とす。慌しくネイルを落とした後は、お風呂に浸かってふーっと一息つきながら、何を着るんだっけ、と考える。急いで髪を乾かしながらタンスを開ける。アタマの中は、ネイルの乾き具合と、手を使う作業の並行の加減をクルクルと計算している。メイクらしきことと、着替えを同時進行しながらその合間合間にベースコート、ネイル2度塗り、そしてトップコートと塗っていく。また家を出て、駅へ急ぐ。・・・電車が滑り込んでくる、同時に私もホームへ滑り込む。どこへもぶつけていない、1本も崩れていないネイルに、ふと目を落としたとき おぉ、私もちょっとは器用になったんじゃないだろうか。と錯覚するのだ。
December 25, 2004
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デパ地下へ急ぐ。何でも遅くまで開いていることを、どこか当たり前のように思ってしまっていたが、そうはいってもデパートはせいぜい21時までだったことに気づき、慌てて駆け込む。クリスマスイブのケーキ売り場。しかも閉店30分前。どう考えても酸素が薄そうなことはわかっていたが、まさかこれほどまでとは。フロアに散在する有名店のブースで「最後尾はこちらです」と書かれた札を掲げた店員が人を誘導している。ウインドウの中が見えない。あぁ、もう何でもいいよ。と、なってしまいそうなのを抑える。やっぱり素敵なケーキを選びたい。アンテノールの洋梨チーズケーキか、TOPSのチョコレートケーキか、それともマキシム・ド・パリのブッシュ・ド・ノエルか…この状況に半ばうんざりしながらも、適当なところで手を打つことができず人ごみに流されたり、かき分けたり、また流されたり。今日でなくても食べられるケーキのために、今日食べるケーキとしてのふさわしさを求めて、優に売り場を4周。やっと決定!・・・大晦日には除夜の鐘を聴いてしんみり、初詣に行けば神社でおみくじを。たぶん結婚式は教会で、お葬式は仏式で。そういうお気楽な風土。だから日本が好き。シンボルは宗教的、でも都合のいい部分だけピックアップ。時季に応じて、その瞬間だけ信じる。是か非かはともかく、この居心地の良さったらない。・・・クリスマスイブ、何の後ろめたさもなく深夜に食べるケーキには間接照明のあたたかさがほしい。プレゼント、シャンパン、「何となく特別な日」…いろんな意味やイメージをくっつけて成立する今に暮らしていてクリスマスから最も遠ざかったのは、サンタクロース。
December 24, 2004
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明日からどかどかと仕事が降ってくる。ひょっとしたら、クリスマスイブどころじゃなくなる可能性も…ということで、私たちの島には数日前からシャンメリーが用意されていた。最悪の事態が起こったら、深夜これを片手に仕事をしようというわけである。何だったらパーティバーレルも予約しますか、いやそれだけはやめようよぉ、そんなの困る、絶対そうならないようにするんだから!!と決意を新たにして、「決起会だ~!」と、かこつけて女ばかりで飲みに行く。・・・しっかり飲みました。さぁこの調子で(どの調子かは謎)仕事を片付けるぞ!イブは定時で上がるぞ!といい気分でみんなで駅へ戻っていたら、目の前のタクシーの後部座席へ向かって4、5人の中年サラリーマンが挨拶している。忘年会シーズンだ。どこぞのお偉方をお見送りしているのだろうと思いきや、「ちょっと撮らせて頂いてもいいでしょうか?」の声と共にそのサラリーマンたちが一斉に携帯を取り出し、後部座席へカメラを向け始めた。何だ!誰なんだ!と私たちがそっと覗き込むと、それは…ボブ・サップその人であった。いかにも嬉しそうにパシャパシャとシャッターを切る、40代と見受けられるサラリーマンたちの横に、ミーハー心全開の私たち。それに気づいたサップが、愛想良く笑顔を向け、こちらへ向かって手を振った。タクシーは、ひどく重そうにおしりを引きずりながら走り去っていった。心持ち、クルマの後部が沈んでいた。 シャンメリーもありだ、ボブ・サップもありだ、何しろ年末の六本木なのだから。と、意味不明に全てを片付けて、軽く酔っ払いの私たちは家路を急いだ。・・・そしてイブ当日、私達はボブ・サップも真っ青の怒涛の勢いで仕事を片付けて、夕刻早々にシャンメリーは開けられた。ひさしぶりに飲んだシャンメリー。香りは「氷結」シャルドネスパークリングにそっくり。口に含むと、ふっと駄菓子屋が浮かんだ。こんなのを飲んだことがある。そういえばずいぶん昔に。思い出を手繰り寄せるより早く、舌に浮かんだのはアルコール分がないことへの物足りなさであった。面々は、イブをイブらしく味わうために散っていった。
December 21, 2004
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きっとまた帰ってくる時が来るよ、近いうちに。だから、気落ちしないでね。大丈夫、大丈夫。そうなるべくして、そうなったのだから。それに耐えうる人だから、そうなったんだよ。待ってるからね。いってらっしゃい。
December 20, 2004
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ざわめくパーティ会場。その男性たちのグループは、群を抜いて目立っていた。物理的に、アタマ一つ分。だからこそ成り立つ商売、それも売り物の一つ。という業界の人たちなんだということは、少し近寄ればすぐにわかった。整った顔立ち、服の着こなし…パーツパーツ全てがまぁサラリーマンじゃないだろう、という印象。黙っていても人目を引くそのグループ。まぁそんな人たちもいるよね、東京なんだから。視線を他に移そうとした時に、誰かに似た顔を見たような気がした。いや、そんな業界に男友達はいないぞ。でも、やっぱり誰かに似てる気がする。…わかった! 某 I 軍団主催のコンテスト 「21世紀(第二の、だったかな)の I 原Y次郎を探せ」のグランプリ、T!に、よく似ている、気がするのだが…元々大してその業界に詳しくないし興味も薄い。記憶がおぼろげかも。が、やっぱり似ているなぁという印象は強く残った。たとえば整形を繰り返して理想形へ持っていけば、黄金比に近付き特徴がない美人顔になっていくように、整った完璧な人ばかりの業界には似たような顔がたくさんいるものだ。私には、売り出し中のアイドルの顔の区別がつかない。そんなわけで、その彼を横目に「そっくりさん、発見!」などと思いながら時間つぶしとお喋りに興じていたのだった。そんな人がいたことなんて、片手のワインであっという間に忘れてしまった。・・・私は、最後の最後まで気づかなかった。 彼は、ホンモノの T だったのだ。あとで、聞かされた。「知ってた? I 軍団のTが来てたんだって」あれ、ホンモノだったんですか。そっくりさんじゃなくて?あんなに間近に見たのに。気づかなかったんじゃない。本人だと「思わなかった」のだ。おこがましいが、自分に人を見る目がないとは思わない。なぜ、最後まで「そっくりさん」だと思ったか。つまり、彼には肩書き相応の空気がなかったからなのだ。オーラ、ともいうのだろう。見てくれのよさが必須、みたいな職業でなくたっておよそ有名人と言われる人たちは、何がしかの「空気」を発しているものだ。スポットライトを一身に浴び、鳴り物入りでこの業界に入ってきたT。が、 I 軍団というところが、Jのように若手を実に効率的に売り込むシステムを持っていないせいなのか、それはわからないがとにかく彼は、そのオープニングにふさわしい、「見られる」機会を逃してきたに違いない。惜しいというか、気の毒な話。石は磨けば光る、人は見られれば輝く。そんな彼を、他山の石に…うーん、それは言いすぎか。普通にしていれば、やっぱり目を引く人だから。その肩書きから、私が過剰に「空気」を期待してしまったのだった。
December 19, 2004
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「ここ最近、血液型による性格分析を扱った番組が多くなっている。科学的に根拠があるかのような構成になっていることに対し、固定観念を植え付けるものであるとして苦情が多数。」みたいな記事が数日前にあった。確かにあの日曜夜の番組は相当良くできており、ぼんやり見ていると「それでは、スタジオのゲストの方々にもやっていただきましょう!」の言葉と一緒に、自分も立ち上がってしまいそうになったりする。ヨガとか何とか。 (私だけなのだろうか?)…おっと、書きたかったのは血液型診断じゃない。じゃなくて、兄弟型。時々女性誌に出てくるけれど、兄弟構成のうちで長女(長男)、中間、末っ子、一人っ子と分類して仕事や対人関係、恋愛パターンなどといったものを分析するもの。振り返ってみれば、実家にいたころというのは面白いほどあからさまに長女気質での言動だった。ちゃんとやらないと。責任持たないと。甘えたりなんてできないよ。が、家を出て、大学へ行き、就職し…と時を経るにしたがって長女気質の女がひそかに持っている願望みたいなものが少しずつ露わになってきたような気がする。私は、どうやらずっと「お姉ちゃんかお兄ちゃんがほしい」と思っていたらしい。素晴らしく仕事ができる先輩や、生き方を学ぶべき素敵な人なら今までにもたくさんいた。そうじゃなくて、ほら何ていうか。何となくではなくて、考え考え、結果的に適度に回り道もしつつ、着実に歩みを進めてきた人。それだけなら、いくらでもいるが泣くツボも笑うツボも、人を見る視線も、何となく似ていて。3歩ほど先を歩いていて、私が踏みそうな地雷も何となく見えていて。「何となくわかる、何となく似ている」が結構な数においてかぶる。「話が合う」とはまた別の次元で。友達でも単なる先輩でもない。ラッキーにも、そんな人を身近に二人も発見。…何て楽になれるんだろう!私の20数年を返してほしい、と言いたいくらいだ。年相応に覚えたことは、年相応にしっかりする、ということではなくて年相応に力を抜き、程よく甘えさせてもらうこと。生まれながらにそれをやってきた人からすればバカバカしいくらい簡単なことなのかもしれないけれど。
December 14, 2004
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社内で「ローラ♪」と呼ばれてしまった。なぜかって…つまりちょっと赤毛だから。(あくまでもギャランドゥではない)私は映画「ラン・ローラ・ラン」を観ていないが、とりあえず主人公ローラの髪が真っ赤だったことは知っている。いくらなんでもそれは極端だが、気分転換に美容院でちょっと赤めの色を指定し、うまく伝わっていなかったことは事実。大学生の頃なら何の違和感もなく(というか、もっともっと赤い時もあった)歩いていたであろうその色は、今の私には少々赤すぎた。髪の色が仕事に支障をきたすような会社ではない。和風な顔立ちでもないし、少々赤かろうがちっとも浮かない、といえば浮かない。むしろ似合うよ、ぐらいのことも言われるが…が、自分としてはどうしてもしっくりこない。服の趣味が変わったから?それもあるだろう。年を重ねたから?もちろん、それも。でもそれだけじゃない気がするな。再び赤い髪の自分を見て、何だか軽くウイッグをかぶっているような気すらしたのだ。学生のときは、何をどうしていいんだかわからない中で、自分がそこにいるってことをとりあえず髪の色からもわからせようとしていたのかもしれない。・・・しっくりこないな、でも傷むんだろうな、でもこれで数ヶ月待つのもイヤかも…などとぐるぐる考えて1週間。やっぱりやり直してもらった。すっかり常連になってしまった担当の美容師さんは、ごめんね、ごめんねと言いながらオーダー外のかなりリッチなトリートメントを施してくれ、やり直す前より手触りのいい髪にしてくれた。元はと言えば、私のオーダーがマズかったからだというのに。で、出来上がった髪はちゃんとオーダーどおり。目の色と同じ。…思ったより、黒かった。まだ見慣れない。目の色と同じ髪の色では、落ち着ききれない自分がいる。私の周りで黒髪が似合う女性は、「オトナ」ばかりだ。きっと数ヵ月後には、また明るい色にしていることだろう。ローラには戻らないけれど。何を為さなくても、何を加えなくても大丈夫。そう思えるまでには、もう少し時間が欲しい。
December 13, 2004
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友達とひさしぶりにベトナム料理のお店へ。蓮茶かベトナムコーヒーかということで、やっぱりコーヒーを注文。ままごとみたいに軽い金属の器具の底にたまった、細かい粉の隙間をぬって濃い液体がゆっくりゆっくりガラスのカップへ落ちていくのを眺める。せっかく美味しいコーヒーを飲もうとしてるというのになぜかアタマに浮かんできたのは、じょうろにためた泥水。ホンモノのままごとを思い出してしまった。…何で?落ちていくコーヒーを前にして、実家がものすごく近い友達と、子供の頃の話に興じる。20年前はまだお互いのことを知らなかったが、同じ環境で、似たような遊びをして育ってきた部分もあったかもしれないね。同じく濃いコーヒーと言えば、エスプレッソ。やっぱり小さなカップでちょっぴり飲む。カップの中で甘い甘いミルクがコーヒーを待ち受けているか否かの違いはあるけれど。が、登場するシチュエーションと、飲むときの気分と流れる時間感覚がまったく違う、この嗜好品。あっという間に抽出してしまって、朝の忙しい中バールのカウンターでくいっと飲み干したり濃厚な食事を済ませた口の中をすっきりさせるために登場するエスプレッソ。こうして話している間も、じわじわ、ポタポタと落ちていくベトナムコーヒー。たったこれだけの量なのに、待たせる、待たせる。子供の頃のこと、ままごとのことなんて思い出すほどに。待ってもいい気分のとき、そしてその時間を幸せだと思えるときに美味しく感じるのだろう。イタリアとベトナムの空気感が、琥珀色の液体から透けて見える。
December 11, 2004
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暮れも押し迫り、普段にもましてざわついているスタバにて。フロアの一角を占め、外との通路も兼ねているこの店は本当に出入りが激しい。ショッピング帰りのOLや、袋一杯のカレンダーを下げた営業マンが私たちのテーブルの横を通り過ぎていく。世間は年の瀬モードなのだ。慌ただしくて、落ち着かなくて、せわしない。楽しいことも、面倒なことも目白押し。自分だってその「世間」の空気を吸って生活しているくせにそんなことすっかり忘れて、話し込んでいた。このテーブルだけ、師走から一枚隔てているみたいに。…が、私が耳を傾けたい声、以外の誰かの声が聞こえた次の瞬間、この時期ならではの不安定さ、のようなものを見て取った。どこに座るでもなく、通路を通り抜けるでもなく、さっきから視界の端に見え隠れしていた男性が目の前に立っている。普通のサラリーマン風、でも何か変な感じ。そう、目の据わり具合が。何が何だかわからず、「誰?知り合い?道がわからないの?いや、私に道を尋ねたりしない方がいいよ、方向音痴だし。…そんなわけないか」てんで見当違いの考えが、一瞬でアタマをぐるぐる回った。その男性は、テーブルの前に立ったまま話を続けた。落ち着きがないのに据わっている、という妙な目つき。…ナンパかい!!話しかけられる前よりも、もっと訳が分からなくなってしまった。スタバの中で、ナンパ?二人でいるのに?街中でビラ配りを肩でかわすみたいにはいかない。仕方なく、「二人でいるの、わかりませんか?」「…わかりますけど」とサラリーマン風の男性。わかっているなら!!…どう返せばいいのだ。この、目の据わった人に。何か言い返したら、おかしなモノを出してきたりしないよね?そう、ここは東京のど真ん中で、年の暮れなのだ。何があったって変じゃないのかもしれない。不安定な目は、こっちを見下ろしたまま視線を外さない。年の瀬、浮き足立って落ち着かない空気に神経を煽られちゃったみたいな男性を前にして、私の瞳孔は開いて固まった。
December 8, 2004
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そんなことでキレるの? そんなに甘いわけないじゃん。目を丸くして、見つめていた。その時、何が起こったのか、一瞬理解できなかった。「当たり前のこと」が、当たり前じゃない人もいる。気づいたのは、そんな当たり前のこと。環境は人を作る。環境は人を変えていく。良くも悪くも。 (ハコの大きさと自分の大きさを誤解する向きもあるが)人の振る舞いを通して、まざまざと見せつけられた事実。経験でしか学べないことが、山ほどあるのだ。初めての職場、っていうのがどれほど重い意味を持つのか。何をするか、よりも、誰と一緒に仕事をするか、の方が遥かに重要なこと。実は驚くほどに勉強させてもらっていたのだった。あの1年半が、どれほど私の人生にとって濃い時間だったのかを知った。どんなことにも意味がある。自分で望む限り、全てのことに意味を持たせ得る。今となっては、強烈に意味のある1年半を思い返す。そう、喉元を過ぎてしまったから。
December 7, 2004
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「オペラ」普通に生活する限りにおいて、私とはまるで接点がないばかりか視界に飛び込むことさえないような代物。ところが偶然にも、私の目の前をかすめたのでせっかくだから玄関先に足を踏み入れてみることにした。今日見たのは、`La Boheme`.`Aida`,`Carmen`と並んで`ABC`と呼ばれているんだそうで。イタリア語なんて、せいぜい`Buongiorno`とか`Grazie`程度しかわからない。英語の字幕なしには無理だった。が、話は複雑でないし、ちゃんと見てみればなかなか面白いもので。ボヘミアンの若い男4人で暮らす安アパート。まともに家賃も払えない貧乏暮らし。ひとり部屋に残っていた主人公、ロドルフォ。そこへ、若い女性、ミミがろうそくの火を借りに来る。 「お、かわいいじゃん!」彼女は部屋で鍵を落とし、そこで彼はすかさずろうそくの火を「うっかり」消してしまう。鍵を一緒に探しているようでいて、とっとと見つけてポケットに隠し、彼女が帰れないようにする。見つからないねぇ、などと言いながら、暗闇の中で口説きにかかる。・・・なんてことはない、恋愛感情と痴話ゲンカと、諸々のすったもんだを朗々と歌い上げているのが、三大テノールのひとり、パバロッティというわけだ。60歳も過ぎている男女が二十歳そこそこの役を演じているわけで無理がなくはないが…泣きたくなる気持ちだったり、「あ、やっぱムリだわ。別れよう」と決意したりするきっかけだったり、病床のミミが死に際してロドルフォに伝える言葉だったり… 「ホントは知ってたのよね、アナタが鍵をポケットに隠したこと」 「げっ、バレてたんだ?!」まさかそこまで軽いノリじゃないだろうけどこういうコトのかわいらしいゴタゴタさ加減は、いつの時代でも変わらないようで。フカフカのソファでシャンパンを飲みながら何だか微笑ましいような感じで、字幕に目を凝らしていた。それにしても、「おい、ミミ!しっかりしろ!!」とばかりにベッドに横たわった女性歌手の傍でパバロッティが歌うわけだが、当然マイクなどない。あの大音量の美声を耳元で聞かされた日には、鼓膜が破れてしまうんじゃないだろうか。そうそう、これも「ゲージツ鑑賞」ですよ。いつの日か、着飾って劇場へ赴き素敵な痴話ゲンカを、高尚な雰囲気の中で楽しんでみるのも良いかもしれない。
December 6, 2004
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ひさびさに鴻上尚史の舞台へ。ミュージカルじゃないけれど、要所要所に歌が登場。全部、ブルーハーツ。特に詳しいわけじゃないし、回数を観に行くわけでもない。私が何で舞台に行くかといえば、やっぱりよく知っている俳優をナマで見たいから、というパターンが多い。だけどこの日圧倒されたのは、思いもよらない人、脇役の北村有起哉。実は音楽やってみたかったんですよね~という警官役で突然真ん中に躍り出て、舞台狭しとパフォーマンスを繰り広げる。叫んだり、甲本ヒロトばりに身体をくねらせたり、躍るように走り回ったり。びっくり。歌がうまいとか何とかだけじゃなくて、魅せられた。ヒロトが乗り移っちゃったみたいなのに、物まねじゃなかった。そして長い!彼の独壇場がとにかく長い。本当なら主役の見せ場として用意されそうな時間。「何だよっ、アイツの時間の方が長いじゃねーかよ」と後で松岡充がぼやいたくらいで。(もちろんセリフだけど)が、もういい加減、次に行ってくれないかなぁなんてちっとも思わなかった。アナタ、すごいよ!本気で役者だよ!「役者魂」を感じてしまった。「発揮する」という言葉はこういうモノのためにあるのだ。隠れてたモノが、一気にあふれ出た感じ。確かに、山本耕史の歌声には色気があり松岡充は…まぁ本業だから当たり前か。ジャンルも遠からず、だし。でもこの時の北村有起哉からは、「そつのなさ」とか「こなす」とかいう言葉と対極にあるモノを見せてもらった気がしたのだ。ものすごい拍手と歓声が、見せ場を終えた彼に注がれた。回数を観たことはないけれど、舞台ならではの良さってこの迫力というか、魂が伝わってくることなんだなぁと再確認。難を言うならば、前から5列目で観られるはずだったのに後ろから2列目になってしまったこと。・・・開演15分前の劇場。私たちの席に、誰かが座ってる!何で?先客に尋ねてみると、「…それ、昨日のチケットですよ」土曜のチケットを予約したのは、私です。それを日曜と思い込んでいたのも、私です。恥ずかしさの余り、そそくさと逃げ出しそうになる私。「まぁまぁ、頼んでみようよ」と受付嬢に交渉してくれて空いてる席に入れてもらいました。それだけ離れている席にも、何かが伝わるパフォーマンスだった。ということにしておく。
December 5, 2004
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この日見た外苑前の銀杏並木には、色がなかった。影絵みたいに、シルエットだけが目に映っていた。聞いた言葉も、文字に落とせば素敵なはずなのだが (しかも、結構重い言葉のはずなのだが)右耳から左耳へと、街路を吹き抜ける風と一緒に通り過ぎて行った。 そんなこと言われても、困るのです。さっき飲んだ赤ワインも白ワインもごちゃ混ぜになって、何でもいいから、どっちだっていいから、家に帰りたいなぁ、なんて思っていた。というか、その場の人々とは全然ちがうことを考えていた。この、モノクロな感じ。
December 3, 2004
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