misty247

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2010.10.21
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カテゴリ: 私の歩いた山と道
 10月11日、御嶽からご来光をみようと、田の原を深夜の2時半に発った。

 私の山行はもっぱら日帰りである。日帰りでいつも満足しているけど、日帰りだと出来ないことがある。山頂でご来光を拝むことだ。
 ご来光なんて、街中からでも、あるいは部屋の窓からでも見えるじゃないかと思っている。近所の大きな池越しに見るご来光も、幹線道路にかかる歩道橋の上から見るご来光も、3000m級の山の頂から見るご来光も、その対象物は同じ太陽である。富士山をいろんな場所から眺めてそれぞれで感激するのはわかる。しかし、太陽は違うだろう。地球と太陽の距離を考えてみれば、地球上を少々移動したところで、太陽の見え方に差が出るとは思えない。
 そう思っている。すべては見る側のこころの中の問題であろうと。

 しかしこれは、日帰り派には望めないことによるこじつけかもしれない。そうでないことを確かめるには、ご来光を拝してみるのが良さそうだ。

 一度だけ、富士山のバスツアーに参加して、9合目あたりからご来光をみたことがある。地平線に雲が薄く棚引いて、フェードインする朝陽だった。山頂でなく9合目からになった理由は、属した集団のペースが極めて遅かったからである。(そのときのレポートは こちら )
 光学的な条件がいまひとつのご来光であったのに、そこそこ感動しえたのは、山で拝めたからではなく、完全に諦めていたご来光がみれたからだろう。あのときの体験は参考にならない。
 もう一度ちゃんと、頂で、条件のよいご来光を拝してから、考えてみたい。


 また、それが出来るのは、田の原から登る御嶽山ではないかと考えていた。
 というのも、「夏の夜、白い装束の格好をした信者が、老若男女問わず御嶽山に登る。ふもとからは、山頂まで煌々と連なる信者たちの灯りがみえる。御嶽山は、普段山を歩かない杖を引いたおばあちゃんでも登る山なのだ」という紹介をなにかで読んだ覚えがある。いつの時代の話なのか不明だが、内容はそういうものだった。
 『ふーん、田の原からは、めちゃ楽に登れるんだ』

御嶽山_地図

御嶽山_高低差
カシミール3D にて作成>

 長野県の日の出の時刻は5:50。田の原から剣ヶ峰まで、山と高原地図によると3時間。それで真夜中の2時半に駐車場を出発した。田の原の広い駐車場はほぼ埋まっていたけど、歩いている人は殆どいない。御嶽山の方をみても、連なるライトなんぞ見えない。一点だけ、ヘッデンらしき明かりがあった。
 風が強く、寒かった。それもそのはず、田の原の標高は2180m。
 神社の鳥居をくぐって、奥へと続く道を進んだ。前にも後ろにも見える範囲には誰もいない。「ひゅゅぅぅ~~~~」と風が暗闇の中を吹き抜けていく。想像していたのと随分違った。

 歩きやすかったのも最初だけで、ぬかるみ混じりの階段になり、やがて石の不規則に並ぶ、足場の悪い道になった。杖をひくおばあちゃんの歩ける道だとは思えない。なにかの勘違いだったのか。それでも1時間ほど上と、1時間ほど下に、登っている人がいたようだ。ときどきライトの灯りが瞬いていた。真夜中に白装束の人が引きも切らず黙々と登る、というシーンからはほど遠かった。
 強い風にときどきバランスを崩された。登る体は温まって、外気と体温に差がありすぎたのだろう。真冬のジョギングのときと同じく、鼻水が出て難儀した。
 ヘッドライトの灯りだけで、登りやすいラインを探すのが難しかった。
 『誰だ?田の原なら夜中でも楽勝だと言ったやつは!』
 いや、誰も言ってないか。私が勝手にそう思い込んでいただけなのだ。


 しかし、御嶽山は去年に剣ヶ峰を目指して一度敗退しているのだ。(そのときのレポートは こちら ) 今回はそう簡単に挫けるわけにはいかない。

 9合目避難小屋に到着。登っていたときはそこを8合目だと思っていた。
 疲労と寒さのため、ここでしばらく休憩を取った。小屋を出る時、一人登っていく方がいた。単独の男性で、白装束の宗教登山者だった。
 『おぉ、本当にいるんだ』

 この方とは、後ほどもう一度お会いした。こちらは登り、むこうは降りで。
 「上の階段、凍ってましたわ」と教えてくれた。
 上の階段とはどこのことか、そのとき私は知らなかったが、のちに自分もそこを通った。凍った階段とは剣ヶ峰の直下にある階段のことだった。薄く膜が張る程度に凍りついていた。それを踏んだ時、私は、あの方は凍ってるという情報を伝えたかったというよりは、「僕は上まで行って折り返してるんだよ」と言いたかったのだろうと推測した。私が9合目から9.5合目までをへろへろと登っている間に。
 普段山に登らないのに杖をひいて登るおばあちゃんはいなかったけど、御嶽山を毎日登山してるんじゃないかと思える鬼脚の白装束アスリートはいた。

 王滝神社を過ぎ、剣ヶ峰へと向かった。振り返れば東の空がもう青い。5:40、ついに御嶽神社の建つ剣ヶ峰へ着いた。山荘泊まりの人が多数いて、頂上付近は20人ぐらいの人がいた。みな、ご来光を待っているようだ。
 歩かないでいると急に冷えが厳しくなったので、ダウンに長袖シャツと、ありったけのウェアを着込んだ。
 東の空は地平線が赤く染まって、地上の闇はあらかた払われていた。雲も少なく、条件は良好。

 5:47、輪郭の顕な朝陽が、地平線から現れた。
 『すばらしい! ほぼ満点と思われる見事なご来光だ』  <つづく>

御嶽山_ご来光






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Last updated  2010.10.21 01:00:47
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