世界最大のデジタル技術見本市「CES」が7日、米ラスベガスで開幕する。2020年は次世代通信規格「5G」や人工知能(AI)の存在感が一段と増す。デジタル技術で事業を変革する「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」はあらゆる産業の共通課題となり、幅広い業種の企業が製品やサービスを発表する。米アップルが約30年ぶりに参加し、米フェイスブックの幹部とプライバシーの問題を議論するのも注目だ。
CESは1967年に家電の展示会として始まり、テレビなどの新製品をお披露目する場として家電メーカーが出展してきた。2000年代になると、米マイクロソフトや米インテルなどIT(情報技術)企業の勢いが増し、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が基調講演のトップバッターを長らく務めた。
家電からパソコン、スマートフォンへと技術トレンドが変化するなか、19年は4400社以上が出展し、世界から17万5千人が来場した。今年も約4500社が出展し、前年並みの来場者を見込む。本会期は7日からだが、5日と6日には トヨタ自動車 や ソニー 、韓国サムスン電子、独ダイムラーなどが会見や講演を予定している。
今年の注目分野は「5G」や、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」、「自動車」、「ロボティクス」、「デジタル通貨」など11領域で、テクノロジーのトレンドを網羅する。旅行業界、金融やヘルスケアなど出展企業は多岐に及ぶ。
自動車はトヨタや 日産自動車 、 ホンダ 、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)、独アウディなどが一堂に会し、最先端の自動運転技術などを披露する。韓国・現代自動車は空飛ぶクルマに関連した発表を表明している。
世界のテクノロジー業界をけん引する「GAFA」の存在感も増す。AIスピーカーなどに力を入れる米グーグルと米アマゾン・ドット・コムが前年に続いて出展する。個人情報保護に関する講演には、フェイスブックのチーフ・プライバシー・オフィサーとアップルの担当幹部が登壇する。
アップルがCESに正式に参加するのは1992年以来、およそ30年ぶり。新製品発表はないもようだが、膨大な利用者データを扱う巨大IT大手への風当たりが強まるなか、世界が注目するCESで情報管理の安全性などをアピールする狙いがあるとみられる。
米中貿易戦争が長期化するなか、中国からも電気自動車(EV)のスタートアップ、バイトンや家電大手の海信集団(ハイセンス)、海爾集団(ハイアール)のほか、米国の制裁対象になっている通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)グループも出展する予定だ。
家電の展示会からデジタル技術の見本市へと様相が変わるなか、異業種も目立つ。CESの目玉ともいえる基調講演には、米デルタ航空のエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)が登場。50年以上続くCESで航空会社トップが基調講演をするのは初めてだ。
仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術の発展で、部屋にいながらにして世界中の風景を3次元映像で楽しめるようになるなど、旅行業界もテクノロジー業界からの挑戦を受けている。バスティアンCEOは「旅行体験を変える技術を紹介する」としている。
CESでは、デジタル技術があらゆる産業をのみ込む様相が色濃く映し出されることになる。世界の主要産業が、テクノロジーを触媒に革新をなし遂げられるかを占う見本市になりそうだ。出典:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54042300U0A100C2EA4000/
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