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2024.04.18
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カテゴリ: チェロ
テレビでシューベルトのピアノ・トリオ第2番をやっていたので録画して観た。どうにもよくない。とても退屈に長く感じる。集中して聴くことができない。この曲は3年ほど前に一年以上練習して本番で演奏したから細部までよく覚えているが、随所に問題点を指摘したくなる。なんなら私がレッスンしてあげよう、という気分になる。こういう経験は珍しいことではない。むしろ普通と言っても良い。
 室内楽を演奏するとき、2つの課題がある。最初の課題は「この曲はどう演奏されるべきか」を考えることだ。よく「アナリーゼ」とか「楽曲分析」と言われる部分だが、隅々まで考え抜く必要がある。2つ目の課題はその考えどおりに演奏することだ。自分が楽器を演奏し始めてから今までに蓄えた技術を駆使して実行する。この2つの課題は独立しているようにも見えるが、関連もある。前者は後者によって制限される。ある技術を持っていない人は、その技術を必要とする演奏プランは立てられないし思いつきもしない。逆もある。このように演奏したいのだが今のところできないという具体的な問題を発見したのなら、その技術を教師に頼んで教えてもらうことができる。良い先生のあてがあるのなら、前者によって後者をレベルアップすることが可能になる。
 今回テレビで観た演奏は前者が極めて弱いと思う。ただ漫然と楽譜を音にしている。例えば2楽章の冒頭のチェロのソロ旋律。ここは始まってからピアノに渡すまで1フレーズになるように演奏されるべきだと考えた。4小節で切れて聞こえないように演奏すべきだと。途中の長い音の部分をピアノにつないでいてもらうし、音がやせてフレーズが切れないように弓の使い方に工夫をこらした。だがテレビの演奏では4小節の短いフレーズが並んでいるように聞こえた。それが考えた末の戦略だったのならまだ良いのだが、何も考えずにこうなったのは明らかだ。また、ここでどのような音色を使うかは相当に考えたし、それを実現するためにはずいぶんトライアンドエラーを重ねて個人練習を重ねた。だが、テレビの演奏では、音色を使い分けようとした形跡がない。どこでも同じ音色が使われている。音色を変えるという技術をたぶん持っていない。それは音色を変えるという課題を持ったことが無いからだろう。
 この弦の奏者はふたりともプロのオーケストラの人だ。つまり、いつも「この曲はどう演奏されるべきか」という課題は指揮者に任せて暮らしている。自分で考える訓練をしていないのだろう。
 プロのヴィオラ奏者になった息子の話をきくと「この曲はどう演奏されるべきか」を考える能力は音楽大学の入試でチェックされることはないらしい。正確な音程とリズムだけが採点対象だという。そうやって音楽大学に入り、卒業してからはオーケストラで指揮者に指示される生活をしている。「この曲はどう演奏されるべきか」を考える力がつくはずがない。





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Last updated  2024.04.18 17:31:39
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