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November 9, 2005
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カテゴリ: 映画
何なんだろう、この「懐かしさ」は。

訳もなく流れる涙。



1人の少女が集団就職で上京してくる所から物語は始まります。
想像とは違う「会社」に戸惑い、故郷を思って泣く少女。

厳しく怒りっぽい社長、優しくてしっかりものの奥さん、元気盛りの少年。
彼女は新しい生活に溶け込めるのでしょうか。
そして、彼女が実家に帰りたくない秘密とは?


スナックを1人切り盛りする若女将の元に通う、文学青年。
酔った勢いで、引き取り手のない少年を養うことになります。
「あかの他人」のはずの二人。ところが、少年は…!

春から始まった物語は、夏、秋、冬へと移ろい行き、季節を重ね、エピソードを積み重ねるごとに、それぞれの絆が深まります。

皆で楽しみに集まったテレビ。待ちに待った電気冷蔵庫。
都内を縦横に走る都電。大切に乗った三輪オート。
少年同士の友情。母の愛情。戦争の記憶。サンタの思い出。

そして、完成に向かう東京タワー。

時代が経っても、夕日の美しさは変わらない。
いや、変わらないでいて欲しい。
ALWAYS - いつも、どんな時も。


さて、いまいち頭で理解できなかったので、いくつかの話題を選んで年表にしてみました。


1945年 昭和20年 戦争終結
1951年 昭和26年 サンフランシスコ条約
1958年 昭和33年 東京タワー完成/皇太子ご成婚 <この映画の舞台>
1964年 昭和39年 東京オリンピック開催

1970年 昭和45年 大阪万博開催
1972年 昭和47年 札幌オリンピック開催/沖縄返還
 |
1989年 昭和64年=平成元年
2005年(昭和80年)平成17年


昭和33年。戦争終結から13年後。今から約50年前。
私の両親が中学生になるかならないかの頃。

この物語の少年たちよりちょっと年上かな。
六ちゃんの方が歳が近いかも。
二人とも関西(神戸&明石)ですけど。

母に氷の冷蔵庫の話を聞いたら、知っている、って言ってました。



ちなみにで、メモ代わりに、ちょっとマニアックな余談。

京極夏彦先生描く京極堂シリーズ第1作『姑獲鳥の夏』の舞台は昭和27年。

二階堂黎人先生描く二階堂蘭子は、昭和24年生まれ。
『地獄の奇術師』と死闘を演じたのは昭和42年。

島田荘司先生の御手洗潔は、昭和23年生まれ。
おお、二階堂蘭子とあまり年が違わないんだ。
昭和29年(6歳!)には「鈴蘭事件」を解決。
昭和31年(8歳!)には「Pの密室」事件を解決しています。
(両事件とも『Pの密室』より。その後渡米したらしい)

浦沢直樹先生の『20世紀少年』主人公ケンヂ達は昭和34年生まれ(のはず)。
大阪万博へ向かったのは、小学5年生みたいですので。



さて、『Returner』で、近未来を舞台に、ありえないVFXを炸裂させた山崎貴監督が、その技術をあくまで手段として使うことに徹し、「記憶の中の昭和30年代」を見事に蘇らせました。
とは言え、監督は昭和39年生まれの長野県出身。スタッフも昭和33年を知らない人がほとんどだったそうです。だからこそ、このディテールに凝った作りは、本当に脱帽。

世代を超えて共感できる映画、古き良き日本を感じさせてくれる映画として、この前向きで、どこか懐かしく、暖かさに包まれた映画は、僕らの世代にとっての、もう一つの「東京物語」なのかも知れません。





ただね、ひねくれものの私は思ってしまうのです。
「思い出」はいつだって美しいって。
嫌な事を忘れ、心のどこかに封印し、良かったこと、感動したことを刻んでいるから、あの時は良かったと呟けるんだって。

思い出の美しさに水を差す気はありません。

ただ、今の時代を後から振り返って、良い時代だったと呟けるためにも、それこそ、50年後に、この時代が映画にされて懐かしく思われるように、今の時代を精一杯美しく彩りましょうよと。

「暗い世相」と言われ始めたのはいつの頃なのか、「心の闇」という単語が犯罪を覆い隠し、水と安全はタダではなくなり、戦争大好き少年達が歴史教科書を「正しく」書き換え、憲法を変えて国民皆兵制を導入しようとする時代。
一方で、中曽根-村山-橋本-小泉と改革の手が打たれ、環境問題への関心が高まり、ボランティア文化が根付き始め、多くの分野で日本人が世界中で活躍し、若者たちによって日本の伝統が見直され継承されようとしている時代。

私は、自分の周りの世代、自分より下の世代に対して、とても期待しています。
馬鹿はいつの時代だって馬鹿でしたし、犯罪者はいつの時代だっていました。
それは変わらないでしょう。でも、世の中を変えることはきっと出来るはず。

そう、暗い未来を描くのは簡単なこと。「よげんのしょ」には、そう書かれているかもしれません。
でも、大人が明るい夢を見なければ、その夢の実現を目指さなければ、子供は何の背中に希望を見られると言うのですか。
『20世紀少年』(by 浦沢直樹先生)でも、その先の未来を読者が信じられるからこそ、物語を楽しむことが出来るのです。

例え、現実が闇に覆われていようとも。いや、覆われているからこそ。
遠くに輝く星々を、やがて来る朝を、そして夕日の美しさを、指差し、語り続けたいと私は願うのです。






『ALWAYS-三丁目の夕日』
2005年 東宝 133分

http://www.always3.jp/

監督:山崎 貴
出演:堤真一/薬師丸ひろ子/堀北真希/吉岡秀隆/須賀健太/小清水一揮/もたいまさこ/小雪/マギー/温水洋一/三浦友和

♪♪♪♪♪





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Last updated  December 4, 2005 05:26:14 AM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp @ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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