松竹が撮影所を大船に移転する直前の昭和 8
、 9
年の蒲田撮影所を舞台に、映画作りに情熱を燃やす人々の人生を描く作品。
大船撮影所50周年記念
として1986年につくられたもので、監督は山田洋次
脚本は井上ひさし、山田太一、朝間義隆、山田洋次が共同執筆。
オールスターキャストですが、クレジットタイトルのトップは 渥美清
で
彼の一人芝居といってもよいような作品でした。
ストーリー:
浅草の活動小屋で売り子をしていた田中小春が、松竹キネマの小倉監督に見出され、蒲田撮影所の大部屋に入ったのは昭和 8
年の春だった。小春は大震災で母親を失い、若い頃旅回り一座の人気者だったという病弱の父・喜八と長屋でのふたり暮らしだ。
蒲田撮影所での体験は何もかもが新鮮だった。ある日、守衛に案内されて小倉組の撮影見学をしていた小春はエキストラとして映画出演することになった。だが素人の小春にうまく演じられる訳がなく、小倉に怒鳴られた小春は泣き泣き家に帰り、女優になることをあきらめた。
長屋に戻って近所の奥さんにことのいきさつを話している小春を、小倉組の助監督島田健二郎が迎えにきた。「女優になりたがる娘はいっぱいいるけど、女優にしたい娘はそんなにいるもんじゃない」。健二郎の言葉で、小春は再び女優への道を歩み始めた。
やがて健二郎と小春はひと眼を盗んでデイトする間柄になった。小春は幸福だった。しかし時がたつにつれ、映画のことにしか興味をしめさない健二郎に少しずつ物足りなさを覚えるようになった。小春の長屋の住人たちは不況下の失業にあえいでいた。そんな中で、唯一の希望はスクリーンに登場する小春だった。
夏もすぎ秋になって、小春はプレイボーイとして有名な二枚目スター、井川時彦と親しくつき合うようになった。師走に入って、健二郎は、労働運動で警察から追われている大学時代の先輩をかくまったとして、留置所に入れられてしまう。その留置所生活で得たのは、かつてなかった映画作りに対する情熱だった。
年が明けて、小春が大作の主演に大抜擢された。主演のトップスター川島澄江が愛の失踪事件を起こしたため、その代打に起用されたのだ。しかしその大作「浮草」で演技の壁にぶつかって、小春は苦悩した。その小春を、喜八はかつて旅回り一座の看板女優だった母と一座の二枚目俳優のロマンスを語り励ました。実は小春の本当の父親はその二枚目であることも--。
「浮草」は成功した。人があふれる浅草の映画館でゆきと「浮草」を見に行った喜八は、映画を見ながら静かに息をひきとった。
有森也実の演技がひどい、山田監督の凡作との評価もありますが、田中絹代、小津安二郎
斉藤寅次郎、岡田嘉子、杉本良吉と思われる役者や監督がちりばめられ
それなりに面白い品でした。
33年前の映画ですから、亡くなった俳優も多くなつかしかったです。
エンドロールには 出川哲朗
の名前も見つけましたが、作品中には発見できませんでした。
大船撮影所は2000年に閉鎖され、今はブックオフと鎌倉女子大になっています。
うなぎ屋の女中の話や、屑屋の笹野 高史
とのやり取り、娘の出自を話すシーンなど
渥美清ワールド全開で、とてもよかったです。
他にも山田組の役者が多数出演しましたが、それもそのはずこの年は寅さんはお休みでした。
桃井かおり
は、なんと皇族の役で出演です。
角川映画の 蒲田行進曲
(1982年)にはりあった作品です。
キネマの天地(予告)
https://www.youtube.com/watch?v=euBz3XnmCko
キネマの天地 オリジナルサウンドトラック
https://www.youtube.com/watch?v=W4D1j6LBLPA
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