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監督: 李滄東(イ・チャンドン) 出演: 全都娟(チョン・ドヨン)、宋康昊(ソン・ガンホ)、チョ・ヨンジン、キム・ヨンジェ 2007年カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞作品。 闇の中に差し込んだ一筋の光 ― 夫を事故で亡くしたシネ(チョン・ドヨン)は、幼い息子ジュン(ソン・ジョンヨプ)を連れ、夫の故郷の密陽(ミリャン)という町に移り住み再起を考える。ピアノ教室を開業し、ようやくこの町にも馴染みかけた矢先、最愛の息子ジュンが何者かに誘拐され殺害されてしまう。 抱えきれない絶望感に押しつぶされて、シネは子供のように泣き叫ぶ。 悲しみが強すぎて過呼吸に喘ぐチョン・ドヨンの演技が胸に迫る。 その後、犯人は逮捕され事件はひとつの決着を見せるが、絶望の淵をさまようシネは生きる希望を失い導かれるままに宗教に魂の救いを求める。けれど、無情にもシネの心に「救いの光」は与えられなかった。狂乱するシネは、「神」というものに真正面から対峙しようと考える。 ひとりの女性を限りなく追い込んでいく不条理な人生の試練。いくつもの大波に呑みこまれ、もがき苦しみ溺れていく。けれど、沈みゆく彼女の体に差しのべられた神の恩寵・・・一筋の光は、いつも彼女の傍で見守り支えてくれる「生きた存在」の愛の中にあった。密陽という町の風景もそこで暮らす人々も無残な殺人事件さえも、どこにでもある景色のように淡々と描き、崩壊していく主人公の精神世界だけを鮮烈なカラーで描きあげたこのイ・チャンドン監督作品に強い印象を受けた。
2010.05.29
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原作:梨木香歩のロングセラー小説を映画化 西の魔女こと(英国人の祖母)が住む森の奥、登校拒否をしている主人公:まい(孫)が大自然の中たったひとり生きる祖母のもとで魔女修行をする、こころ癒されるファンタジー。 監督・脚本: 長崎俊一 キャスト: サチ・パーカー 高橋真悠 りょう 大森南朋 高橋克実 木村祐一 「魔女修行」 と言っても、それは自然と調和し規則正しく生きていくということで、当然できることのようで、「当然」できないことであり、簡単そうに思えるけれど全然「簡単」ではない・・・。喜びも希望も、幸せも、何でも自分で決める、ということだった。 祖母の指導のもと、自然に包まれて、まいは規則正しい生活を送り始める。裏山で摘んだワイルドベリーでたくさんのイチゴジャムを作ったり、ラベンダーとお日様の匂いのするシーツに包まれて眠ったり・・ 庭に咲くハーブティーで体をゆっくり温めたり・・・自分を必要としてくれる祖母の愛の中で、少しづつ まいは答えを見つけ出していく。 印象に残った祖母のことば。「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」 「草や木が光に向かって伸びていくように 魂は 成長したがっているんです」 祖母は最後の魔法を使い、孫へのユニークなメッセージに変えて、人生の最後に訪れる「死」というものを決して怖くて悲しいものにはしなかった。ラストの演出が素敵です。 木村祐一さん演じる粗暴なゲンジさんの存在感も生きていました。美しい映像を背景にスローライフな世界を映し出し、人生を強く生き抜く知恵とやすらぎを与えてくれる映画でした。新緑の季節、爽やかに感涙できる映画です。 日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞
2010.05.11
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