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著者:角田光代 昭和15年、長野の貧しい農村から満州開拓移民として大陸に渡った藤代泰造の「希望」を求めた人生と、現地で知り合い辛い戦況を共に生き抜いた妻ヤエの一生を、現代の日本を生きる子や孫の人生観を織り交ぜて描いた長編小説。 戦後、闇市で物資を仕入れ、リヤカー1台から店を築き上げてきた新宿の中華料理店「翡翠飯店」の住居の一室でこの店の主人藤代泰造の生涯が終わった。葬儀の後、自室にこもっていた87歳のヤエは「帰りたい・・」とひとり言をつぶやく。祖父母に故郷の話も身内の話も聞いたことがなかった孫良嗣は「どこに帰りたいんだろう・・」と不思議に思う。祖母がかつての満州の地に思いを馳せていることを悟った良嗣は父真之輔から旅費を受け取り、ヤエを連れ叔父太二郎と共に大連周水子国際空港に降り立つ。当時の面影を残す建造物や広場や道路にヤエは佇み、時間を巻き戻している。良嗣、太二郎は、新京(長春)までは飛行機の国内線で行く手配を10時間かかる列車の旅へとヤエに押し通される。茨城の訓練所で特訓を受けた泰造は下関から三日かけて船で大連に渡り、大連から南満州鉄道に乗り込んだ。ヤエも別天地を求めて19の時にひとり渡ってきた。 この小説を読んで、戦前の皇国史観と、貧しいがゆえに新境地を目指した農村部の方たちの努力や開拓団の方たちの躍進、敗退、現地の中国民夫婦との真心の交流、ソ連兵の進攻、引き揚げの苦悩、焼け野原からの出発、0から築き上げてきた家族の居場所。羅針盤のない船のように大海に漂流し続け、ただがむしゃらに生き抜いてきたもの言わぬ老夫婦の姿に胸が打たれた。ヤエが「帰りたい」とつぶやいたのは、時間ではなくて場所でもなくて、人に帰りたかったのではなかったか・・と思った。 人が故郷なんだと思う。 咲き乱れるアカシアの木々は「希望」の象徴のような気がした。 それにしてもこの小説、泰造とヤエの家族が戦後の日本の風潮を滑稽なほど現しすぎていて、ちょっと織り込みすぎなんじゃ・・と思うふしもあったけれど、戦後の日本という国の流れが解り易くもあった。
2015.08.25
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監督・脚本:大塚祐吉 <ストーリー > 落雷に打たれて死んだ中年男の渋谷(生瀬勝久)は死後の世界で、ある男(古田新太)から前世の記憶を持ったまま生まれ変われる方法を聞く。あの世には生まれ変わる為に飲むという伝説のスープがあるが、それを拒絶し水に飛び込んだ渋谷は気が付くと全記憶を持ったまま現世にいた。若き高校生(野村周平)の生命の中にいた渋谷は、死んだ時まだ15歳だった一人娘のもとへ会いに行く・・。(生前、妻との離婚のせいで父娘の間には大きな確執があった。) 見ず知らずの高校生(渋谷)が一人前の女性として成長していた娘の結婚式のチャペルで花束を渡すシーンは泣けて泣けてしょうがなかった。 糖尿病で死んだ渋谷の知り合いの社長(松方弘樹)があの世で自分よりも若い母親(羽野晶紀)に偶然に出会い、すがって甘えるシーンが面白かった。 (松方弘樹さん、味があって良かった。) そしてこの社長は記憶を持ったまま渋谷の同級生の女の子(広瀬アリス)に生まれ変わる。このドラマは、生前、一緒に落雷に打たれて死んだ上司の女性綾瀬由美(小西真奈美)と渋谷のあの世での愛が、記憶を持たず生まれ変わったきた彼女に再び出会い愛を告げるというストーリーへと繋がっていく。 面白くて爽やかな映画だった。
2015.08.03

先週土曜日の町内会の打ち上げ花火。 町内会の夏祭りも終わった。 雨が降らなくて良かった。自治会の係の人たちは屋台だとか、盆踊りだとか、ゲーム大会だとか・・毎年大変だけど頑張っている。たった15分の切ないパノラマだけれど、家のベランダから見るこの花火が一番きれいだと思う。うちの犬がワンワンワンワンものすごい吠えまくっています。
2015.08.03
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