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2025.01.26
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カテゴリ: 報徳記を読む
報徳記を読む 現代語訳 第一集 報徳記  巻之二【1】 先生墾田役夫を賞す その1




巻の1は、先生の生まれと少年時代、青年期の服部家の仕法と大久保忠真候との出会い、大久保候からの桜町の復興の依頼と一家を処分しての旅立ち、桜町での仕法と妨害、成田山での誓願までその半生が時系列で描かれている。

巻の2では、尊徳先生の具体の仕法や教諭のありさまが、本紀に対する列伝のように具体に描かれている。
【1】先生墾田役夫を賞す
【2】先生横田村里正円蔵を教諭す
【3】物井村岸右衛門を導き善に帰せしむ
【4】凶年に当たり先生厚く救荒の道を行う
【5】三邑十有余年にて全く復興す

【7】先生辻門井二邑の里正を教諭す
【8】川副氏采有青木村の衰廃を興す
【9】先生青木村の貧民を教諭す

物井村の荒地を開墾したときのことである。

尊徳先生は朝は人夫がまだ出ないうちから出て指図し、夕方人夫が帰った後陣屋に帰るというように、陣頭指揮された。
才知のある者は大勢の先に立たせ、愚かな者を分に応じて働かせ、力を尽くす者は賞し、怠る者は励ました。
その様子は名将が士卒を自在に指揮したようであったという。



「尊徳の森」(佐々井典比古)の「尊親筆写の尊徳青年期の逸話」にはこのようなエピソードが紹介されている。
「尊徳の森」佐々井典比古著
「酒匂川の洪水で堤防が数百間破壊したとき、小田原の殿様は尊徳に「堤防場所奉行」を命じて修築させた。
それまでは、役人が工事の間数を測って賃金を定め、人夫10人を一組にして築堤を請け負わせ、工事が終ると役人が検査して賃金を渡す。人夫がそれを分配するとき、過不足が生じても役人は関知しないという方式であった。
尊徳は、老若・男女・子供まで人夫として使い、あらかじめクジを用意しておき、土砂運搬の距離によって一荷何文と決めておき、一荷運ぶごとにクジ一本を渡した。10本、20本とまとまると木の札と取り替えた。
そして帰るとき、これを点検、計算してお金を渡した。
女、子供など半日仕事でもよかった。
多くの人は早朝から夕方まで休憩も惜しんで終日働いたので、築堤工事も速やかに完成したという。
その後、堤防の修復には、このようにクジを用いるようになった。」

 なにか木下藤吉郎の鮮やかな工事の采配を思わせるようだ。
 尊徳先生も前例にとらわれず、いかにすれば合理的に迅速に工事が進むかを工夫し、また人間がいかにすれば自発的に働くかという心理にも通暁していた。
 そしてまた、自らの少年の頃の苦労もあって、常に女性や子供や年寄りといった弱者に常に温かい目が行き届く人であったのだ。




【1】 先生墾田役夫を賞す

或時物井邑(むら)の荒蕪(くわうぶ)を開くこと數十町歩、此の地の荒野に歸すること七八十年、大木(たいぼく)繁茂し、恰(あたか)も山林の如し。
邑(いふ)民のみの力に及ばず。
是に於て他邦(たほう)の者をも雇ひ、荊棘(けいきょく)を拂(はら)ひ、高木を伐(き)り、之を開く。
數月にして成る。
此の時に當り、先生朝(あした)には役夫の未だ出でざるに出で、之を待って之を指揮し、夕(ゆうべ)には役夫の歸るを待って然後陣屋に歸る。
役夫を使ふこと恰(あたか)も手足の心に隨ふが如し。
是故に役夫五拾人なれば百人の働をなし、百人なれば二百人の用を爲す、人皆其の功の迅速なることを感ず。
是民に先立って艱苦を盡し、其ものゝ知愚を計り、知あるものは諸人の先となし、愚なるものをして分に應じて働かしめ、力を盡す者は之を賞し、怠る者は之を励ます。
昔名將の士卒を令することも實(じつ)に此の如くなるべしと人々目を驚かせり。
先生と共に此の場に出で、指揮する吏三四輩あり。
時に役夫一人衆に抽(ぬきんで)て勉力流汗力を極む。
小田原の吏之を見て大いに感じ、彼諸人に勝れ、斯の如き力を盡すこと豈(あに)奇特に非ずや。
定めて先生此の者を賞し、必ず衆役夫の励みとなさん、早く賞せよかしと心に之を待ちたりしに、先生兩三度此ものゝ處に至り、その働を見ると雖も一言の賞詞なし、吏甚だ之を疑ひ惑へり。





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最終更新日  2025.01.26 00:00:21


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